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大河ドラマ「どうする家康」が挑戦したこと

もう少しで大河ドラマ「どうする家康」が終わりますが、今回のドラマはなかなか挑戦的だと思ったことがありました。そう感じるストーリーが2つありましたが、そのうちの1つについてです。
 
それは、家康の正妻であった築山殿と長男の信康が殺されたことが、ひ弱な家康が天下を目指す虎に変貌した最大の分岐点だったと表現したところでした。
信長の命令によって、徳川家のなかで殺害されたとされる築山殿と信康。
長年、家康にとってこの2人の死は最大の痛恨事であったと考えられてきた一方、近年は徳川家の分断を防ぐために家康が実はむしろ積極的に妻と長男を粛清したのでは、という見方も有力になってきました。
 
今回の「どうする家康」はこうした見方に挑戦するかのように、築山殿と信康の死を乗り越えてみごとに変貌する家康を表現しました。その変貌はあざやかなもので、2人の死の前後の家康はまさに別人でした。
 
築山殿と信康の殺害に関わる真相は闇のなかですし、恐らく永遠に闇のままでしょう。
しかし、人間の人生は「0」か「1」かといったデジタルなものではありません。
もしかしたら家康は徳川家の分裂を防ぐために積極的に殺害に動いた事実もあったのかもしれません。
しかし、仮にそうだったとしても、それでもこの2人の死は家康にとって人生最大の痛恨事であったことには変わらず、それを乗り越えたことが、家康のリーダーとしての器を一回りも二回りも大きくするきっかけだったのかもしれない。
そんなことも考えさせられる今回の大河ドラマでした。

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