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信頼を失うことの怖さ

今日、世界の耳目を一番集めたニュースだと思いますが、ロシアのモスクワでコンサートホールの銃乱射事件が起こりました。現時点で115名亡くなられているとのことで、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。
 
事件後、過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出しているそうなので、実行犯はイスラム国である可能性が高いのでしょう。
一方で、米国がロシアにテロ発生の可能性を警告していたという報道もあり、もしそうだとするなら、ロシア・プーチン大統領が何らかの意図があって、そのような警告を無視していたのでは、という勘ぐりをしてしまいます。多くの国民の生命に関わることですから、そんなことは本来絶対にあってはいけないことですが、どうもプーチン氏の過去の疑惑を振り返ると、そんなことも考えてしまいます。
 
1999年、当時プーチン氏は首相に就任した直後だったのですが、モスクワの高層アパートが連続して爆破される事件が発生しました。この事件に激高したプーチン氏は、記者会計で「テロリストはどこまでも追跡する。こう言っちゃ悪いが、たとえ便所にいてもぶち殺す」と発言するとともに、高層アパートを連続爆破したとされたチェチェンの独立勢力に戦いを仕掛けました(第2次チェチェン戦争)。この戦争で指導力を発揮したプーチン氏は、2000年に大統領に就任します。
 
しかし、この高層アパート連続爆破事件、なんとプーチン氏の自作自演だったのではないか、というのが疑惑、というより現在の有力な見方となっています。そのことを暴露しようとした元KGB職員のアレクサンドル・リトビネンコ氏がイギリスに亡命したのち、当地で毒殺され、一時期ロシアとイギリスの関係が悪化したことは有名なことです。
 
こうした過去をもった人物が大統領である以上、今日のような銃乱射事件が発生し、かつその可能性を知っていたとすると、プーチン氏はあえてテロが発生するのを放置していたのでは?、と疑わざる得ません。
特にプーチン氏は大統領選挙で圧勝したとはいえ、ウクライナ情勢が膠着していることに加え、反体制派のリーダー死亡に対する抗議活動が続くなど、決して安定しているわけではありません。このようなテロ事件を口実にして、統制を強化することを考えても不思議ではありません。
 
そうした見方をせざるえないのも、1999年の高層アパート連続爆破事件が自作自演だったのでは、という疑いがある以上、信頼が失われているからです。論語の一節にも「民、信無くば立たず」という言葉があるとおり、統治者とは信頼がないと成立しないものだと改めて感じます。

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