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「当社の社員は真面目な社員が多いのです」で止まっていませんか

子いわく「十室の邑(ゆう)にも、必ず忠信、丘(きゅう)のごとき者有らん。丘の学を好むにしかざるなり」
(論語、公治長第五)
(先生がいわれた「十軒ばかりの村にも、私くらいの忠信の徳を持つ性質の人はきっといるだろう。ただ、私の学問好きには及ばないというだけだ(人は学んではじめて向上する。生来の良い性質だけではだめなのだ)」)

 
多くの経営者様とお話しする機会がありますが、多くの方が「当社の社員は真面目な社員が多いのです」と言われます。「当社の社員は不真面目な社員が多いのです」と言われる経営者様は、記憶の限りではいらっしゃいません。
 
しかし、これまた多くの方が、この「当社の社員は真面目な社員が多いのです」の後に、社員の方々が抱える問題・課題についてお話しされます。
 
具体的には、以下のようなことでしょうか。
・今までもやり方に疑問をもたず、変化を好まない
・問題・課題意識が乏しく、課題解決に向けた行動にならない
・受け身が多く、主体性に欠ける 等々
 
社員の方々が抱える問題・課題は多様だと思いますので、一律には言えないと思いますが、原因として思考力についての学びの機会が乏しいこともあるのではないかと思うのです。
 
日本の教育は、決められた事を学び、それをアウトプットする機会は多くあります。
一方で、あるべき姿を考え、それに対して現状がギャップがある場合に、ギャップを問題として捉え、解決に向けて考える機会は、教育現場において多いとは言えません。
 
そうした学びがなかった中で、「今までのやり方がおかしい場合に、それを問題として捉え、課題解決に向けて取り組む」ことを期待するのはなかなか難しいのではないかと思うのです。
 
特効薬・即効薬があるわけではなく、こうしたことを学ぶ機会として、社内研修のような場の他、実際の実務でも社員の方々に「あるべき姿」を考え、現状とのギャップに対して解決策を考える支援を、経営や現場の上司が担っていくことが大事ではないでしょうか。
 
社員の真面目さだけに期待するのではなく、学びの機会を創出することも、今後の大事な経営課題ではないでしょうか。
 

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