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フランス総選挙から考えた、民主主義のあり方

もちろん都知事選挙も興味をもって見守っていたのですが、個人的にはフランス総選挙の方が驚きが大きかったです。極右の「国民連合」が最大会派になると報道から思っていたのですが、1位が左派連合の「新人民戦線」、2位がマクロン大統領が率いる「与党連合」で、最大会派が予想されていた国民連合は3位となりました。
 
フランスの総選挙は、日本と同じく小選挙区制で1選挙区1人のみ当選するものですが、2回選挙をします。1回目で過半数の票を獲得する候補者がいれば、その人が当選しますが、過半数を獲得できなければ2回目の選挙となります。
今回、1回目の選挙で国民連合の躍進したため、2回目の選挙に進んだ選挙区では、新人民戦線と与党連合の候補者調整が進んだのです。その結果、国民連合の候補者よりも、新人民戦線、もしくは与党連合の候補者が小選挙区で勝利したのでしょう。
 
この結果から感じたことが2つあります。
1つ目は、小選挙区は極端な主張をする政治勢力を排除しやすい効能はあるのだな、ということを改めて認識しました。極右である国民連合の支持者が確実に増えていることは間違いないですが、過半数を占めるとまではいかないでしょう。また、極端な排斥の主張に抵抗感がある人も多く、小選挙区で過半数割れした選挙区も多かったのでしょう。
 
元々、小選挙区導入が進んだ先進国では、過激な政治勢力が大きな力をもたないことを導入目的の一つとしていました。しかし、ここでの過激な政治勢力とは、概ね各国の共産党のことを指していたはずです(実は日本もそうです)。しかし、それが現代では極右拡大の抑制に効いているところに、世界的な右傾化を感じます。
 
2つ目は、一方で極端な政治勢力を排除するための調整、離散集合が、別の政治的混乱をもたらすリスクがあるということです。今回、国民連合の拡大を防ぐために、新人民戦線と与党連合が候補者調整をしたわけですが、両者の政治的主張にも乖離があります。
実質、新人民戦線、与党連合、国民連合が勢力を3分するような形となり、安定した連立が組めるのか懸念する論調もみられます。議会が空転する可能性も懸念されています。
 
これも日本も他人事ではありません。(やや弱まりつつあるものの)自民党1強のなかで、野党の候補者調整や離散集合が主張されることがありますが、勝利だけを目的とした調整、離散集合は、最終的には混乱しかもたらさないかもしれません。
 
この先がまだまだ見えない状況ではありますが、「民主主義がどうあるべきか」、について考えさせられるフランス総選挙でした。

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