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改革に反対する人=何か良くない/悪い人、ではない

先日、「宋名臣言行録」という、中国の北宋(960年-1127年)時代に名臣(優れた皇帝の家臣)と呼ばれた人たちの言行をまとめた本を読んでみました。本書は、中国の儒教学者として有名な朱子がまとめたもので、日本では明治天皇が愛読したものとしても有名です。
 
本書を読んでいて一番印象深かったのは、「改革に反対する人だけど、人格・学識が高い人物」が何人も描かれていたことでした。北宋の時代には、「新法改革」という、豪農や豪商と貧しい一般庶民との間の格差を是正しようという改革がありました。王安石という宰相(首相)が中心となって進めたのですが、政府高官や学者の中にはこの改革に反対する人も多くいたのです。
 
それでは、こうした政府高官などは豪農や豪商と結託して堕落していたから反対していたかというと、必ずしもそうではない。その筆頭である司馬光という人物などは人格も高く、文人としても歴史に名前を残す学識があった人でした。そうした人格・学識をもってして、改革の遂行に懸念があるからこそ反対したのです。
 
ここで思うのは、その改革反対の中身や是非ということより、「改革に反対する人=何か良くない/悪い人」ということではないことです。しばしばメディアに現れる「改革する人=良い人、改革に反対する人=悪い人」というステレオタイプな捉え方は実態と離れていることもあり、信念、見識をもって改革に反対する人もいるということです。そうであるならば、仮に改革に賛成だったとしても、反対する人の声も謙虚に耳を傾けたいものです。

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