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仕事に活かせる中国古典

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数千年の風雪に耐え、今なお世界中で評価されている中国古典。現代を生きる私達が「よい仕事」を取組むにあたり、どのような中国古典の教えが活きるのかご紹介できればと思います。
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#孫子兵法

ビジネスの本流(正兵)ではない奇兵にフォーカスをあてる

しばしばビジネスにおいては、ビジネスモデルの本流でないところがビジネスの勝敗を決することがあります。 例えば機械販売。機械本体の販売が本流でしょうが、実は販売後のメンテナンスや部品供給が大きな収益源だったりします。身の回りだと、コピー販売後のメンテナンスサービスやトナー販売が分かりやすいでしょう。 例えばカミソリ販売。ジレット社はカミソリ本体販売後の付け刃が収益源です。 例えばシステム業界。システム開発が本流のように見えますが、その後の保守・メンテナンスが大きな収

「孫子」から考える組織力を比較する軸

会社などの組織を比較する軸として何があるのでしょうか。売上や利益とか、社員数とかいった指標で比較されることはあります。しかし、これは事業の結果を比較したものであって、組織の力を比較できる軸とは言えません。 そんな時、中国の兵法書、孫子の「七計」というのは組織を比較する軸として興味深いものです。 「七計」というのは次の7つになります。 ・主:君主、組織のリーダーがどちらが優れているか ・将:どちらの将軍がすぐれているか ・天地:自然条件はどちらが有利か ・法令:どちらがきち

孫子から考える、危機感、緊張感がない理由

こんな人は周りにいないでしょうか。このままでは大変厳しい状況になるのに、のんびりしている。計画を立てて、実行しないといけないのに、計画を立てない。一緒に計画を立てても、時間が経って「あの計画やっている?」と聞いたら、「まだやっていない」と涼しい顔。 こんな光景に出くわすと、「孫子」の次のような一節を思い出すのです。 「孫子いわく、兵とは国の大事なり。死生の地、存亡の道、察せざるべからざるなり。故にこれをはかるに五事をもってし、これをくらぶるに計をもってして、その情をも

方向が明確だと経営はなぜうまくいくのか

経営の中で、「とにかくまずはやってみよう」と見切り発車していることはありませんか。そんな時には、中国の昔の兵法書「孫子」のこんな一節を思い出して欲しいのです。 「勝兵はまず勝ちてしかる後に戦いを求め、敗兵はまず戦いてしかる後に勝ちを求む。」 (勝利の軍隊というのは、まず開戦前の検討段階で勝ち、その上で実際の戦争に勝つ。逆に、敗北の軍隊というのは、入念な事前計画もなく、とりあえず戦ってみて勝ちを求めようとする。) この一節、大河ドラマ「どうする家康」の三方ヶ原の戦いでも

逃げるは恥でもなく、役に立つ

こんなことはありませんか。自分と比較してあまりにも大きなライバルと戦い、その結果として価格競争などに陥り、疲弊するということが。 そんな時には、中国の昔の兵法書「孫子」のこんな一節を思い出して欲しいのです。 「故に用兵の法は、十なればすなわち之を囲み、五なればすなわち之を攻め、倍すればすなわち之を分かち、敵すればすなわちよく之と戦い、少なければすなわちよく之を逃れ、しかざればすなわちよく之を避く」(「孫子」) (兵力運用の法則は、自軍の兵力が敵の十倍であれば、敵を