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逃げるは恥でもなく、役に立つ

こんなことはありませんか。自分と比較してあまりにも大きなライバルと戦い、その結果として価格競争などに陥り、疲弊するということが。
 
そんな時には、中国の昔の兵法書「孫子」のこんな一節を思い出して欲しいのです。
 
「故に用兵の法は、十なればすなわち之を囲み、五なればすなわち之を攻め、倍すればすなわち之を分かち、敵すればすなわちよく之と戦い、少なければすなわちよく之を逃れ、しかざればすなわちよく之を避く」(「孫子」)
 
(兵力運用の法則は、自軍の兵力が敵の十倍であれば、敵を包囲して一気に攻める。五倍であれば、正面攻撃をかける。二倍であれば、敵を分断して各個撃破する。兵力が匹敵していれば、勝敗は奮闘いかんにかかってくる。自軍の兵力が敵よりも少なければ、兵力を保全していかに退却するかを画策する。まったくかなわないほどの兵力差であれば、ただちに戦場の離脱をはかる)
 
この節で大事なのは、「自軍の兵力が敵よりも少なければ、兵力を保存していかに退却するかを画策する」です。要は逃げるのです。同じ中国の兵法に、「三十六計、逃げるにしかず」(どんな戦い方よりも、逃げるにかなうことはない)という言葉があり、逃げるのも立派な戦い方なのです。事業で言えば、大企業のような大きなライバルと戦う市場からは中堅・中小企業は逃げるのです。
 
こんなことを言うと、こういう声もあるでしょう。「逃げていては、事業の売上はあがらず、成り立たないではないか。」と。確かに、逃げた市場においては、事業が成立しません。
 
しかし、逃げた後、他の市場で戦えるようにすればよいのではないでしょうか。
その市場とは、自分達がライバルよりも倍以上の力が注げる市場なのです。例えば市場規模が小さい、また手間暇や技術が必要なニッチ市場であれば、一定の市場規模が必要な大企業は多くの力を振り向けられません。こうした市場では中堅・中小企業でも大企業よりも倍や五倍となり、攻め込むことができます。
 
ニッチ市場を見つける為には、市場規模だとか、必要となる手間暇・技術等から市場を分けていくことが必要です。そして、大手が力を振り向けられない市場を見つけ、中堅・中小企業が攻め込んでいくのです。
 
大企業がライバルとなるような市場から逃げることは恥でもなんでもなく、立派な戦い方です。その上で、大企業が力を入れられず、また自社の強みが活きるニッチ市場に、自社の力を注ぎこむべきです。

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