子ども虐待は『依存症』であり『脳の病気』であり、それは『連鎖』する

(自分用備忘録)
虐待が『連鎖』する仕組み

together 虐待は『依存症』であり、『脳の病気』であり、『連鎖』する
の追加編集まとめ》


子ども虐待は『依存症』であり、『脳の病気』である

なぜ虐待は起きるのか?精神科医が明かす「やめたくてもやめられない」虐待依存症の実態(取材・文/みらいハウス 渡部郁子 話/精神科医 大塚俊弘先生)より抜粋まとめ

『依存症』には
ギャンブル・アルコール・仕事・暴力・虐待…
さらには特殊な人間関係などがあり
その共通の特徴として
「意志の力や精神力では行動をコントロールできない」
「やめたくてもやめられない」
という『行動障害』であること

『依存症』は大別すると
1、物質への嗜癖⋯アルコールや薬物など
2、行為過程への嗜癖⋯ギャンブルや摂食、ゲーム障害など
3、人間関係への嗜癖⋯共依存やアダルトチルドレンなど

に分類され
ひとりで複数の嗜癖を持っていたり
ひとつの嗜癖行動が収まったとたん別の嗜癖が表面化したりするといったこともある

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その中で
【子ども虐待やDVは、『暴力、力による支配』という行為過程(プロセス)への嗜癖】
である理解することができる
(見方によっては人間関係嗜癖とも言える)

虐待は個人の意志力や精神力などではコントロールできない
虐待やDVという「暴力、力による支配」は依存症であり
「脳の病気」である


その脳のメカニズムについて…

意志の力や精神力ではコントロールできない理由は
・脳の病気
・習慣の病気
・生き方に関する病気

であるから

とくに「脳の病気」であることをしっかり理解することが重要
(生き方に関する病気とは「生き方に関する考え方が窮屈でひとりよがりになっている」という意味)

アルコール
薬物
ギャンブル
買い物
暴力や力による支配など
の行為には
「気持ちがいい」
「ストレス解消になる」
「目の前の嫌なことから一時的に開放される」
などといった『快感』が伴う

そして快感を伴う物質や行為は
脳内報酬系という神経回路を活発化させる

この状態が恒常化すると
ちょっとした脳の刺激によっても
その物質を使いたい
その行為をまたやりたい
という欲動が起きてくるようになる

言い換えると「脳が自動的に物質や行為を求める」ようになる
もはや個人の意志力や精神力などでのコントロールは不可能 

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依存症は「劣悪な養育環境の人々に多い」一方で
社会的地位が高い層においても出現率は極めて高い

医師 弁護士 教師 会社役員など
総じてストレスが多く
孤独で
周囲に問題を指摘する人が少なく
経済的にも
アルコール ギャンブル 虐待 暴力といった依存行動を繰り返すことが容易で
依存が形成される確率が高い

このような人々は
本質的に仕事依存症であるという側面もあり
「あんなに立派な人に限ってまさか」ではなく
「あんなに立派な人だからもしかして」という見方が必要である

依存症になりやすい人の共通点として
他人の評価が過度に気になり

結果を出そうと行動に没頭し

限界が来てもやめられない⋯

そのうち無理がたたってつぶれ

自信を喪失していく

という行動パターンを繰り返しがちで

そういう人は
ものの見方やふるまい方
生き方に関する考えが窮屈で
ひとりよがりなために
同じことを繰り返す行動パターンに陥ってしまう

そしてその
依存症の親や配偶者は世間体が非常によかったり
仕事熱心な人物という事例も少なくない


子どもの虐待やDVは
愛情の欠如や育児ノイローゼではなく
むしろ依存的な愛情に縛られているから引き起こされる

「あなたのためにやっているのだ」と正当化しながら体罰を与え
子どもが望まないことを強要する
(支配欲の暴走を抑制することができず
共感能力が崩壊している)

虐待の加害者にも被害者にも共通することとして「自己評価が低い」ことがあげられる

虐待を防ぐには?

そういった人たちへ声をかけるとき気をつけるべきことは
他人の評価を過度に意識させるようなアプローチはしないこと

依存症の脳への対処方法は
「脳内報酬系スイッチを入れないようにする」こと
脳神経に過度の刺激を与えないよう
仕事や学業等に没頭することなく
過度な作業や労働を避けて
余裕のある生活を維持することが重要


そして他人の評価を気にせず
自分のありのままの姿を認め
自分に正直に生きること

他人からの評価を気にせず
心に余裕のある生活
自分に正直に生きる

(それが「『自己肯定感』を身につける」と言うことだろう)

それがむずかしい時代だから
虐待やDVといった行動に依存してしまう人が増えている

脳内報酬系スイッチを入れないように生活すること
地域に気になる子どもがいるときは
ためらわず通報すること

それが虐待被害を減らす一助になる


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連載 実は危ない! その育児が子どもの脳を変形させる 友田明美(幻冬舎ゴールドオンライン) より抜粋まとめ

【第1回】 親の何気ない一言で「子どもの脳」は物理的に変形する

虐待をはじめとする「マルトリートメント(不適切な養育)」
子どもの脳を物理的に変形させることがわかってきた

不適切な養育の最も典型的なケースが「虐待」

親からのひどい虐待で命を落としたり
大きくなってからもトラウマで苦しみ続けたりする子どもたちは後を絶たない

このような虐待が具体的に子どもたちの脳にどのような影響を与えるのか

結論から言うと
虐待は子どもの脳を物理的に変形させる

多くの親は「わが家は虐待と関係ない」思っているだろう

けれども
「マルトリートメント」は虐待だけを指すのではない

親の何気ないひと言や行動が子どもの脳を傷つけ
下手をすれば子どもの一生を左右してしまう

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↑参考図)防ごう!まるとり マルトリートメント より

脳は生命活動を担う身体の司令塔であると同時に
考えたり
理解して判断したり
感情を呼び起こしたり
記憶したり
人が人らしくあるために欠かせない大事な組織

脳が大人とほぼ同じになるのが10歳頃

この間の脳の成長に欠かせないのが
大切な人との楽しくて嬉しい関わりや
外からの様々な面白い刺激 

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脳はどのように成長するのか?

脳の細胞は神経細胞(ニューロン)と呼ばれ

情報(電気信号)を伝達するには「シナプス」と呼ばれている情報伝達回路が必要

脳が育つとは
簡単に言うと
シナプスを増やして脳の中に情報を届けるためのネットワークを張り巡らせていくということ

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↑参考図)脳はこうして記憶する より

親からの言葉かけや
肌と肌との触れ合い
自分の五感を使って感じたものなど
外界からの刺激を通して
子どもの脳はある時期までシナプスを爆発的に増やす

ところが劇的に増やしたものの
維持するためには大変なエネルギーがかかる

脳はなるだけ負荷をかけず
かつ情報を効率的に届けようとする

そこで
いらないシナプスの削除=「刈り込み」という
ダイナミックな働きが子どもの脳の中で行われる

言い換えれば

子どものときに何を経験するか
どんな体験をするかで
『どのような脳が育つか』が変わってしまう

『個性・才能』が決まってしまう

ということ

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↑参考図)生後発達期の小脳におけるシナプス刈り込みのメカニズム より

子ども時代の脳は柔軟で
その分とてもデリケート

だから
外からどのような刺激を受けるかでシナプスの形成も変わり
成長や発達の仕方が変わるということをまずは知っておくべき


【第2回】 虐待で「脳の傷」ができた子ども…どのような症状が出るのか?

子どもの脳の育て方が大事なのは
それが〝こころ〟の発達と密接に結び付いているから

年齢と脳の発達には関係性があり
しかもそれぞれの領域に「感受性期」という育ち盛りの時期がある

脳は10歳頃に大人の脳とほぼ同じくらいまで成長するが
脳自体は20代後半ぐらいまで
ゆるやかに成長を続けていく

ただ
例えば
記憶と感受性を司る「海馬 」の感受性期は3~5歳
音や言葉をキャッチして理解する「聴覚野」は6~10歳といったように
場所によって最も成長していく時期というものがある

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もし
この成長期に大きなストレスを受けると
実際に「脳の傷」となる


縮む
肥大する
本来と異なる形や大きさに変形する
など

子ども時代に虐待を受けた人たちを調べると
最も深い傷を脳とこころに刻みつけていた

傷ついた脳を持つ子供達には
学習意欲の低下
無気力
非行
うつ病などが見られた

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人との関係をつくれない
衝動的でキレやすく集団行動がとれない
アルコールや薬物依存に陥りやすいなど
こころや行動の面で問題を抱えやすくなる

喜怒哀楽といった感情を起こさせたり
情動をコントロールしたり
自己肯定感や他者への共感を獲得するのも
それを司る脳の領域が健全に育っていくからこそ

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【愛着障害】について

【愛着】(アタッチメント)は発達心理学の用語で
「子どもと親もしくは養育者との間に形成される
強い情緒的な結び付き」
を指す

強い情緒的な結び付きとは
親から愛されているという安心感が子どもの中にあること

愛着は親子関係の根幹を成すもので
子どもの健全な成長・発達に不可欠な大事な要素

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親との愛着関係が結べなかった子どもは
『不安や恐怖』を常に感じ続けることになり
それによるストレスが脳の成長や発達にマイナスの影響を与える

(そこが『依存症』や『強迫神経症』や『自己愛性・妄想性パーソナリティ障害』に繋がっでいく
さらにそれが『意識の分裂』→『善悪二元論』『優越の錯覚』に繋がり
『前頭前野の衰弱』『抑制機能の低下』『支配欲の暴走』『共感能力の喪失』に繋がり
『誹謗中傷』や『ヘイトスピーチ』や『陰謀論』や『歴史修正主義』に繋がっでいく)

脳をMRIで比較調査すると

【愛着障害】のある子供の脳は
そうではない子供に比べ
左脳の「一次視覚野 」と呼ばれる場所の容積が約20%減少していた

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また

「線条体」と呼ばれる
やる気や意欲を生み出す部位の働きも弱まっていた

 脳科学では「報酬系」と言われ

 線条体の働きが弱くなってしまうということは
〝ご褒美〟をもらっても脳が活性化しなくなり
喜びや快楽を感じることも
やる気や意欲をもつこともできなくなる

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安定した愛着が形成されないことで出てくる症状の総称を
【愛着障害】と呼ぶ


それが「内向き」に出ると
無気力
他人に対して無関心
用心深い
イライラしやすい
他人との安定した関係が築けなくなりま

症状が「外向き」に出ると
多動
友だちとのトラブルが増えケンカが絶えない
対人関係に支障を来す

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また
ちょっとでは快楽を得られなくなっているため
強い刺激を求めるあまり
比較的早い時期から薬物やアルコールに依存しやすくなる

身体的暴力
暴言・脅し
性的暴力
育児放棄…

愛着障害になる原因は
乳幼児期の脳とこころの重要な発達期に
親との温かで愛情たっぷりの関係をもてなかったため

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このような子どもの側が愛情を受け取りにくい養育の仕方を「マルトリートメント」と呼び

主に
身体への暴力
言葉の暴力(暴言・脅し)
性的な暴力
育児の放棄(ネグレクト)

などの虐待だけでなく

弱者である
子供の脳や心に悪影響をおよぼす不適切な親の言動・行為すべてが含まれる

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【第3回】 子どもの脳を変形させる親の行為とは?


「マルトリートメント」は大きく5種類に分けることができ
養育者によるそれらの行為は
子どもの脳を変形させるばかりか
その後の人生に深刻な影を落とす

①身体的マルトリートメント

体罰をはじめ
直接的な子どもの身体への暴力

叩く
殴る
蹴る
物で叩く
火傷を負わせる

ほかに

溺れさせる
髪をつかむなど
外傷として残らない暴力

過度な体罰は感情や思考のコントロールを司る「前頭前野」の一部を萎縮させる

集中力や意思決定
共感などと関係の深い前頭葉の「前帯状回」の萎縮も引き起こす

脳の一番外側に広がる大脳皮質の「感覚野」へ痛みを伝えるための神経回路が細くなり
痛みに対して鈍感になるように脳を変形させる

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厳格な体罰を長期かつ継続的に受けた人たちの脳では
感情や思考をコントロールし
犯罪抑制力に関わっている
右前頭前野内側部の容積が平均19.1パーセントも小さくなっていた

さらに集中力・意思決定・共感などに関わる右前帯状回も
16.9パーセントの容積減少がみられた

物事を認知する働きをもつ左前頭前野背外側部も14.5パーセント減少していた

これらの部分が障害されると
うつ病の一つである感情障害や
非行を繰り返す素行障害などにつながると言われる
参考)心理学ワールド 80号 体罰や言葉での虐待が脳の発達に与える影響 友田明美(福井大学)

②心理的マルトリートメント

「あんたはバカだ」「グズだ」「何をやらせてもダメな子ね」「生むんじゃなかった」「橋の下に置いてくるよ」などの蔑み
差別や罵倒
脅し
存在否定の言葉を投げかけ続ける

こうした言葉の暴力は
子どもに「自分はダメな人間だ」という強い自己否定の気持ちを植え付ける

脳もダメージを受ける

長期間にわたって暴言にさらされた子どもの脳は
側頭部にある「聴覚野」の一部が肥大
聞こえや会話
コミュニケーションがうまくできなくなることがわかっている

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③面前DV

子どもの前
あるいは子どもの耳に届く場所で家庭内暴力が行われること

両親間のDVや
夫婦ゲンカを目撃することも面前DVに入る

親同士の激しい罵り合いや暴力を見ていると
大脳後方の「視覚野」が萎縮し
他人の表情を読めず
対人関係がうまくいかなくなる

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DV曝露を受けた子どもには様々なトラウマ反応が生じやすく
知能や語彙理解力にも影響がある

解離症状をはじめとするトラウマ反応が最も重篤なのが
「DV目撃+暴言」による虐待


身体的虐待やネグレクトを受けた人よりも
親のDVを目撃し
かつ自分も言葉でののしられた人のほうが
トラウマ症状が重篤

④ネグレクト

必要な養育を子どもに与えないで放置すること

食事をさせない
お風呂に入れない
服を着替えさせないなどのほか

わが子が泣いているのにゲームに夢中でほったらかしにする
スキンシップをしないといった
子どもの要求にきちんと応えてあげない行為

ネグレクトは愛着障害につながり
喜びや快楽を生み出す「線条体」の働きを弱め
左右の脳をつなぐ「脳梁」を萎縮させる

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⑤性的マルトリートメント

身体に触るといった接触
性行為の強要のほか
性器を見せる
ポルノグラフィーを見せる
裸の写真を撮る
性行為を見せるといった行為

性的マルトリートメントを受けると
後頭葉の「視覚野」が萎縮する

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【第4回】 「言葉の暴力」は身体的暴力よりも「子どもの脳にダメージ大」

虐待同様の不適切な養育は
生活の中に「しつけの一環」として
日常の中で当たり前のように行われている

“悪い行いを正すため”
“反省させるために”

“大きくなってから恥をかかないよう”

その「しつけ」が適切でないことは子どもの脳が証明している

日常的に体罰を受けてきた人には
顕著な共通項があり
脳の「前頭前野」の一部が萎縮していた

ここは判断力
思考力
理解力
記憶力などを生み出し
感情をコントロールする理性を司っている場所

言うなれば
人が人であるための
人間が社会の中で周りと支え合って生きていくための
とても大切な部分

体罰は
子どもの悪い行いを正すために
「よかれ」と思って
「しつけ」だ
と考える人が存在する

しかし
それによって子どもの脳が傷つけられ
子ども自身が長く苦しむことになることを知っておくべき

体罰はもちろん
怒鳴りつけるなどの言葉の暴力を浴びせることも
大きな影響を与える

むしろ
言葉の暴力のほうが
身体への暴力よりも脳へのダメージが大きい

暴言によるマルトリートメントがあると
「聴覚野」が約14%も肥大
していた

さらに

両親間のDVの目撃は「視覚野」を萎縮させる
身体的暴力の目撃だと3.2%の萎縮
言葉の暴力に接してきた場合は19.8%の萎縮

親同士の怒声を聞き続ける
怒鳴ったりなじられたりするなどの言葉の暴力は
身体を傷つける身体的マルトリートメント以上に
子どもの脳を傷つけてしまう

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【最終回】 子ども時代に虐待で「脳に大きな傷」…

大人の不適切な関わりによって
子どもの脳が物理的に変形してしまう

子どもの脳の形が変わるのは
「外部からのストレスに耐えられるように情報量を減らす」
ための脳の防衛反応

ストレスの影響を最も受けやすい場所が
【海馬】
【扁桃体】
【前頭葉】

大人がパワハラなどで
うつ病や身体的不調に陥るのは
ストレスが【海馬】や【扁桃体】を刺激して脳にダメージを与えるから

【扁桃体】は情動と深く関係している感情の中枢で
好き嫌いや快・不快を判断したり
敵か味方かの判断をしたりする場所で
とりわけ危険に結び付く情報には強く反応する

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【海馬】は大脳から送られてくる情報を処理し
記憶をつくって保管する場所で
扁桃体に近いために
感動・興奮・恐怖などの強い情動を伴う出来事はとくに記憶されやすい

この2つの働きをコントロールし
【扁桃体】が危険や恐怖に過剰反応しないよう
適度にブレーキをかけているのが【前頭葉】

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感情の中枢である【扁桃体】は
刺激を受けるとストレスホルモンを分泌するよう
副腎皮質に指令を出す

過度のマルトリートメントを受けると
大量のストレスホルモンが脳の中に放出され

それが脳に重大な傷を負わせる

この状況を回避するために脳が選んだ方法が
外部から入ってくる情報量を減らすこと

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つまり変形すること
脳を麻痺させ鈍感にすること

見たくないものを見続けなくていいように
「視覚野」が萎縮し

痛みを感知したり
起こっていることを認識したりしなくていいように「前頭前野」が萎縮する

それらは苦痛に適応し生き延びるため
脳が自らを守ろうとする自己防衛反応

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一方で⋯

暴言を受けることで“聴覚野”は肥大する

肥大はシナプスの「刈り込み」が止まってしまうから

シナプスが伸び放題になり
聞きたくないことを聞かなくていいように
音が拾えない状態に自らを変えてしまった

いずれの変形も
脳がマルトリートメントによる苦しみに
適応しようとした結果と言える

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