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八月

蝉の鳴き声が、青すぎる空に響く。
公園は子供たちで溢れかえるほどで、砂場の隣のベンチで誰かのお母さんがつまらなそうにスマホを見ていた。
その様子を家から眺めていた僕は、今生きているこの瞬間がわからなくて泣いた。
今がわからない僕は「そういえば今年の夏は街中華にばかり行っていたね」、「中華屋のラー油は持ち手がべとべとしてないとダメだよね」と君が笑いかけてきたことだけは鮮明に思い出せる。

夜のスーパーのお惣菜に30%引きのシールが貼られるまで寝ていよう。そんなこと考えていたら、今が八月であることを思い出してしまった。

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