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[無料]登山でヘルメットをかぶるのか問題

ヘルメットをかぶっていれば生きられただろう人がいます。ヘルメットをかぶっていたために死ななかった人がいます。

最近、クライミングをする人はヘルメットをかぶる人が多いのですが、一般登山ではまだまだかぶらない人が多数派ではないでしょうか?かくいう私も、一部岩稜の山でしかかぶっていません。

果たして、ヘルメットはかぶったほうがいいのか、かぶらなくてもいいのか?考えてみました。

クライミングでは7割の人がかぶっている

まず、クライミング(岩登り)でヘルメットをかぶってる人がどれくらいいるのか調べてみました。毎度おなじみTwitterのアンケート。

環境によっては文字が省略されてしまうようなので、スクショも載せておきます。

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結果は、フリークライミングでもアルパインクライミングでもかぶる人が約7割でした。思ったより多いと思います。

16年前(2005年くらい)はフリークライミングでヘルメットをかぶってる人なんて全くと言っていいほどいませんでした。私は当時外岩で登ることがほとんど無かったのですが、外で登っている仲間でヘルメットを持ってた人は一人もいませんでした。

2割の人はアルパインクライミングならかぶるけど、フリークライミングではかぶらないそうです。どういう違いがあるとかと言うと、

アルパインクライミング
岩場などを登って山頂を目指すクライミング。整備された岩場と違って落石が多い。中間支点が少ないのでロープを着けていても落ちたらまず怪我をする。倒木や出っ張った岩などに頭をぶつけることも多い。雪山のバリエーションルートや沢登りもアルパインクライミングに入る。要は、リスクが高い山登りです。

フリークライミング
よく整備された岩場で行われるクライミング(クラックの場合はちょっと違うけど)。アルパインクライミングと比べると落石のリスクは少なく、冒険よりはスポーツ寄り。比較的安全とされる。岩壁に設定されたルートを登り切るのが目的なので山頂は目指さない。落ちることが前提のクライミングなのでよほど失敗しなければ怪我をしにくい。

アルパインクライミングの方が落石などのリスクが高いので、フリークライミングではヘルメットをかぶらない人でもアルパインだとかぶるようです。

全くかぶらない人は4.4%いました。全体で113票なので4.4%は5人ってことですね。アルパインクライミングでヘルメットをかぶらない人はあまり見ないので、レアな人かと思います。

今どきは、クライミングならヘルメットをかぶる人が多数派です。では、登山ではどうか?

登山ではどういう時にヘルメットをかぶるのか?

高尾山や奥多摩の一般ルートでヘルメットをかぶってる人は稀です、というか見たことがありません。一方で、南八ヶ岳や槍ヶ岳、穂高などでは最近かぶっている人が多いようです。

私も2018年に奥穂高に登ったときはヘルメットをかぶりました。

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この時は、本当は北穂と奥穂に登ろうと思ってたんですが朝雨が降ってたのでビビって北穂はやめて奥穂と涸沢岳だけ山頂を踏みました。ええ、もうビビリで。

埼玉県警の山岳救助隊ニュースでは『ヘルメットを携行し、岩場や痩せ尾根、急な斜面を通過する際は、転倒・滑落・落石などの危険から身を守るためにヘルメットをかぶりましょう。』と、ヘルメットの携行や装着を勧めています。

埼玉でも両神山や二子山のように、一般ルートでも険しい岩山はあります。二子山なんてクライミングルートより一般ルートの方が怖くないですか?でも一般ルートでヘルメットをかぶってる人は稀です。

今のところ一部岩稜の高山や、低山ならバリエーションルートでしかヘルメットをかぶっている人は見かけません。

各地の県警ではヘルメットを推奨しています

長野県警のTwitterでは実例を出してヘルメットの着用を推奨しています。ザイテングラートで滑落した方は、ヘルメットをかぶってたおかげで助かったという話です。

富山県警も実例を紹介してヘルメットの効果を伝えています。

どちらもアルパインクライミングの範疇に入る内容かと思いますが、そういうシチュエーションではヘルメットを着けた方が良さそうです。

警察庁の山岳遭難概況にも、

『また、滑落・転落する恐れがある場所を通過するときは、滑落・転落や上方からの落石に備え、必ずヘルメットを着用する。』と書かれています。

山域によってはレンタルもあります

補高のベースキャンプ、涸沢小屋や涸沢ヒュッテではヘルメットのレンタルも行っています。

代金はどちらも1000円です。

南八ヶ岳のベースキャンプである赤岳鉱泉と行者小屋でもヘルメットのレンタルをしているようです。こちらは1日500円。

本日は晴れ。 最低気温 プラス5℃ 最高気温...

Posted by 赤岳鉱泉・行者小屋 on Wednesday, June 26, 2019

穏やかな北八ヶ岳と違って、南八ヶ岳は岩稜の急斜面が多いですし、岩が脆いのでヘルメットをかぶってもいいんじゃないかと思います。

富士山でもヘルメットの着用が推奨されており、デポジット制で貸し出しを行っているそうです。

私はあまり行かないのですが、南アルプスや中央アルプスも一部の山ではヘルメットを推奨されています。

私はどうしてるか?

まず、クライミングでは必ずヘルメットをかぶります。フリークライミングでもアルパインクライミングでも絶対にかぶります。朝着けたら終わるまで外しません。

バリエーションルートで、斜度が厳しいルートの場合でもヘルメットをかぶります。例えば奥多摩の小怒田ノ尾根(一部急な箇所があるバリエーションルート)ではかぶりました。

バリエーションルートでも、斜度が緩いルートではヘルメットはかぶりません。一般ルートの低山でもヘルメットをかぶったことはありません。

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残雪期の南八ヶ岳や、秋の奥穂高では一般ルートでもヘルメットをかぶります。最近無雪期の八ヶ岳には行きませんが、行ったらどうだろう、かぶるかなー?かぶらないかなー?悩みますね。

雪山もかぶることを推奨されている山は多いのですが、北八ヶ岳の天狗岳はヘルメット無しで登っています。ただし、最近冬の天狗岳はヘルメットを推奨されるようです。

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本当は、ピッケルが必要とされる山ではヘルメットをかぶった方がいいでしょうね。

天狗岳くらいストックで登れる、という人もいますが斜度を考えたらピッケルはあった方がいいと思われ、つまりヘルメットもかぶった方がいいのでしょう。

という、ヘルメットをかぶるかどうか悩む山に出かける時は、こういうものを使うことがあります。

ミドリ安全のインナーキャップ

帽子の下に着ける簡易的なインナーキャップで、プラスチックで出来ています。

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帽子の内側に着けることで、少しだけ防御力を上げられます。

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頭頂部はそこそこ守られそうですが、サイドは貧弱です。あくまで簡易的なものですね。当然メーカーは登山用のヘルメットとして推奨なんてしていません。私が勝手に使ってるだけ。

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価格は1000円弱。黒と白があります。

オプションのあご紐を着けるとかなりしっかり固定できます。

あご紐込みの重さは104g。帽子を足すと180gくらいでしょうか。よく比較してみると、そんなに軽量化にはならないんですよね😅

最近のヘルメットは軽い

最近のヘルメットは軽量なものだと200gを切ります。ペツルのシロッコだと160~170gです。

ブラックダイヤモンドのベイパーで186~199g。

モンベルのL.W.アルパインヘルメットは225~235g。

200g程度なら、インナーキャップと帽子を持っていくのと大差ありません。ただ、インナーキャップは「こんな場所でヘルメットをかぶるのは恥ずかしいんだけど頭は守りたいんだよなぁ…」というニーズには合います。

見た目や恥ずかしさを気にして安全を犠牲にするのか?と言われると反論しにくいのですが…でもやっぱり丹沢や奥多摩の一般ルートでヘルメットをかぶるのはなぁ、とも思ってしまいます。

そういう時はインナーキャップかな。

ヘルメットについては、私自身かぶったりかぶらなかったするので、煮え切らない部分もありますがまとめます。

まとめ

・私が行ったアンケートの結果としては、クライマーの7割がフリークライミングでヘルメットをかぶり、アルパインクライミングも含めれば9割がかぶっている。

・私は、クライミングはもちろん、岩稜の雪山やバリエーションルートではヘルメットをかぶっている。一般ルートでは状況次第でかぶる。

・最近、岩稜や雪山ではヘルメットの着用が推奨されいる。レンタルもあるので活用するとよい。

・ミドリ安全のインナーキャップは、ヘルメットをかぶるのが恥ずかしい場所でもそこそこ頭を守れる。ただし、そこそこ。

・最近のヘルメットは非常に軽いものがある。

クライミングのヘルメット着用率は今後も上がると思いますし、一般ルートでも岩稜帯や雪山でのヘルメット着用率は上がっていく気がします。かぶらない派の人も、積極的に導入してみてはいかがでしょうか?

腕や足は折れてもなかなか死にませんが、頭に衝撃を受けるとけっこう死んじゃいますからね。

わぁい、サポート、あかりサポートだい好きー。