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[無料]登山者&家族が登山をする人は今すぐ全員やっておくべきGoogleマップの位置共有

登山において最も悲劇的な遭難の一つが『行方不明』です。事故で怪我をしてもどこにいるのか分かっていれば助けようがありますが、行方不明になってしまうと、まずどこにいるのか探さなければいけません。

どこの山のどのコースに行ったのか分かればまだマシで、どこに行ったのか分からなければ公共交通の防犯カメラを探したり、乗って行った自家用車やレンタカーを探すところから始めなければいけません。

何日も登山口で放置された車が見つかり(あるいはバスの防犯カメラに写っているのが見つかり)、登った山が分かってからがまた大変。

広大でほとんどの場所は人間が歩くように出来ていない山の中から人間一人を探し出すのはとても難しい。谷を降り、尾根を探し、痕跡、遺留品、時には遺体を探す果てしない作業…。山岳救助に関わる人の苦労は計り知れません。

最終的に見つからなければ行方不明者となります。生きているのか死んでいるのか分からないのだから、生命保険や仕事の面で問題が出ます。法律的に行方不明者が死亡したと見なされるには1年または7年掛かります。

登山で遭難したと考えられる場合は1年で認められた判例がありますが、それでも1年かかります。行方不明は『厄介』なのです。

広大な山から人を探すのは無理ゲーですが、それをやってる人たちがいます。

で、Googleマップです

皆さんのスマホにまず入っているだろうアプリ、Googleマップ。Androidスマホならプリインストールされています。iPhoneなら自分でインストールしてください。

Googleマップには、ユーザー同士(家族や仲のいい友人など)で位置を共有する仕組みがあります。

Googleマップの位置共有

下の画面が共有した位置情報が表示されている状態です。中央に僕の妻の現在地が表示されています。

僕の位置情報は妻のスマホのGoogleマップに表示されるようになっていて、今どこにいて、スマホのバッテリーがどれくらいあるのかGoogleマップで分かるわけです。

これを全登山者が設定するだけで、登山の行方不明者は激減すると思います。今すぐやってください。

位置共有の設定方法

スマホでGoogleマップを開いて、右上にある丸いユーザーアイコンをタップしてください。

メニューが開いたら「現在地の共有」をタップ。

これで、現在共有している人の位置が表示されますが、右下にある「新たに共有」をタップするとユーザーを追加することが出来ます。

あとは画面の指示に従ってやっていけばいいでしょう。家族の場合は「自分で無効にするまで」にしておいてください。時限式にすると、行方不明になった時に限って共有が切れていたなんて事になります。

共有している現在地を見るためには、上に書いたようにメニューから「現在の共有」を選んでください。

スマホに疎い人と一緒に使う場合は、現在地を見る方法をメモに書いて残しておいてください。いざという時に位置を見る方法を理解していないと助かるものも助からなくなります。

「自分で無効にするまで」ならスタートや停止の手間が無い

拙作のジオグラフィカにも位置送信の機能はありますが、グループを設定したり、トラックログを記録中だけ送ったり、設定や使い方が少しややこしいです。常に送っていたらバッテリーが多く減ってしまうので、送信をするのに開始や停止があります。

Googleマップの位置共有は、スタートも停止もなく、共有の設定をすれば随時適当な間隔で位置を送ります。開始も停止も無いので、開始忘れなどもありません。

家族とであれば、「自分で無効にするまで」で位置を共有してしまってよいでしょう。そうすれば、「いつもは共有してるのに今回に限って共有を忘れてしまった…」というミスが起こりません。

時限式で登録する人数が多い場合はリンクを使います

例えば、10人で一緒に登山をする際に時限式で位置を共有したい場合は下記の手順でやるとよいでしょう。

1.リーダーが上に書いた手順で「新たに共有」を開きます。

2.共有期間のボタンをタップ。

3.共有期間を指定してください。最大で24時間指定できます。それ以上の場合は無効にするまでを選んで、解散する時に忘れずに解除してください。

4.画面下部の「その他のオプション」をタップ。

5.コピーをタップ。共有リンクがクリップボードに入ります。メンバーのLINEグループがあるなら、そこに貼り付けてメンバーに開いてもらってください。

目の前にメンバーが揃っているのなら、QRコードを使うといいです。拙作のQuickQRというアプリがあるので、それをインストールしておいてください。

Android版

iOS版

QuickQRは、クリップボードに入っているテキストを即座にQRコードにして画面に表示するアプリです。QRにしたらスマホの画面を見せて、参加者に読み取ってもらってください。

6.ここからメンバーの操作。QRコードは、iPhoneなら標準のカメラアプリで読み取れます。Androidは機種によってはカメラアプリで読み取れます。読めない機種の場合は、ジオグラフィカのツールに読み取り機能があるので、それを使ってください。あるいは、上記QuickQRにも読み取り機能があります。

7.共有リンクを開いた側で、エラーが表示される事があります。その場合は「修正」を押してください。

8.ここまでの手順で、リーダーの位置が自分のスマホに表示される様になりました。自分の位置をリーダーに共有したい場合は、「現在地の共有」を開いて、画面下部の「xxxさんと現在地を共有」をタップしてください。

9.リーダーと同じ時間を指定して「共有」をタップすれば位置共有が開始されます。

位置共有はいつでも停止できますので、予定より早く行動が終わったら手動で共有を解除してください。

位置を共有しても一緒に行動しましょう

パーティーで位置を共有しておけば万一はぐれた時に探せる可能性が上がりますが、パーティーで登山をするのなら最初から最後までまとまって行動してください。「遅いから先に行ってる」とか「靴紐を直すから先に行ってて」は遭難の原因となり、厳禁です。「位置を共有してるから安心してバラバラに行動できるね!」とはなりません。同じパーティーなら最後まで一緒に行動してください。

先頭を歩くリーダーは後ろが来ているか適宜確認してください。メンバーが「先に行ってて」と言い出したら、「いや、待つよ」と言いましょう。遅いメンバーを置いていくことなく、イライラもせず全員で安全に登山を終えられるようにするのがリーダーの役割です。

任意地点の座標を取得する

Googleマップは、地図上の任意の地点を長押しするとそこにピンが立ち、経緯度などが表示されます。下の画像の(35.7630670, 139.1347030)が経緯度です。関東だとだいたいこれくらいの数字になります。

自分や家族がいる場所を拡大してから長押しすれば、その地点の経緯度が手に入ります。捜索する上で非常に大きな手がかりになります。

ただし、電波が通じる場所でないと位置を送れません

スマホから位置を送るのだから当然ですが、携帯圏外では位置を送れません。山でもピークや尾根ではけっこう送れますが、谷や深い山では圏外になってしまいます。そういう時に得られるのは、「最後に通信できた位置」なので、そこから先で遭難した時は正確な位置は分からないことになります。

また、機内モードにした場合も送れないので、位置共有をしている場合は機内モード非推奨になります。

モバイルバッテリーは必須

機内モードにしないで登山をすると、スマホのバッテリーはどんどん減ってしまいます。必ずモバイルバッテリーを持ってください。

モバイルバッテリーとケーブル、変換コネクタなど。

充電忘れ、ケーブル忘れ、ケーブルの断線は登山前にチェックしてください。いざ充電が必要になった時に充電出来ないとなったら詰みます。

ケーブルが壊れることもあります。予備があると安心です。

モバイルバッテリーについては下記記事に詳しく書きました。

位置送信デバイスについて

スマホのバッテリーを節約するために、専用の位置発信デバイスを使うという手段もあります。ただ、月額料金が数百円掛かるので年間だと6000~1万円程度掛かります。

通信回線としてLTE-Mを使っている端末については、スマホと送信範囲があまり変わらなかったりします。むしろスマホの方が通信できたり…。とりあえずはGoogleマップの位置共有を使ってみるのがよいでしょう。タダだし。

用途によっては位置共有デバイスが役立つシーンもあるので、自分の使い方に合わせて検討してみてください。

圏外でも探せる端末

上で書いた位置送信デバイスは、GPSで測位した座標を端末自体が通信回線に送って位置を共有します。Googleマップの位置共有も、スマホの通信回線で位置をGoogleに送っています。どちらも家族などに座標を送るには通信回線が必要で、携帯圏外では送れません。

一方、ココヘリは仕組みが違って、GPSの測位も座標の送信もしていません。会員証端末は自分のIDを含んだ信号を発信しています。その信号を専用の受信機(ヒトココ端末)で受け取って信号の強度から方角と距離を計算します。そういう仕組なので携帯圏外でも遭難者の位置を知ることが出来ます。

ココヘリで捜索してもらう条件は、「会員証端末を持っていった事がわかっている」と「どこの山に行ったのか分かっている」、「遭難したことが分かっている」です。この3つが揃わないと探せません。

どこの山に行ったのか?は、登山届や計画書から分かりますが、遭難した人の9割だか10割だか、とにかく大多数は登山届を出していません。家族に「埼玉の山に行ってくる」とかひどいと「山に行ってくる」しか言わなかったりします。それでは探せませんよね…。

一番いいのは、家族に「奥多摩の雲取山の鴨沢コースに行ってきます。下りは三峰神社に降ります」など、正確な情報文字で残しておくことです。口頭ではダメです。LINEなどでいいので文字で残してください。

捜索する上で、Googleマップの位置共有があればある程度位置を追うことが出来ます。最後の1kmが圏外で分からない場合でもココヘリがあれば早期救助が期待できます。実際に多くの登山者がココヘリで発見されているそうです。単独で登山をする人は絶対に入っておくべきサービスです。

ただし、救助を待つ間はセルフレスキューが必要です。ファーストエイドキットやツエルトは持っていってますよね?山で死にたくなければ遭難対策をしておきましょう。

遭難して捜索が始まるまで1日程度、それから発見されて救助に至るまでには時間が掛かります。3日程度は自分で生き延びなければいけません。

まとめ

  • 山で行方不明になるとメチャクチャ迷惑で大変なことになります。

  • 登山者や家族が登山をする人は、今すぐGoogleマップの位置共有を設定してください。

  • 高齢の親が登山をしてる人は、実家に帰った時に共有設定をしておくとよいです。

  • モバイルバッテリーは必須装備です。山で死にたくなければ持ちましょう。

  • 位置送信デバイスはスマホのバッテリー節約に寄与する。

  • ココヘリも入ってください。

  • ファーストエイドキットとツエルトも持ちましょう。使う練習もしておいてください。

わぁい、サポート、あかりサポートだい好きー。