一緒の時間は意外と少ない
夫婦で一緒に過ごす時間は、どれくらいありますか?
一緒に住んでいるから、と思っても、具体的に計算すると意外と少なかったりします。
どちらかが勤務していれば日中いないし、寝る時間・起きる時間が一緒でなければそこもズレる。
平時ならそれでも問題はあまりないかもしれませんが、家庭内で何か問題が起きた時は、一緒に過ごす時間が少ないことで、双方の「ズレ」が少しずつ大きくなっていきます。
特にどちらかがうつ病の場合。
一緒に過ごす時間+話が出来る状態かどうかなど、条件が増えていきます。
関係を良好に保つためには、効率よく、必要な情報を共有する必要があります。
1.1日のうち、一緒にいる時間はいつ?どのくらい?
事例をご紹介します。
例えば
夫:うつ病、休職中、昼夜逆転気味
妻:日中は仕事
だと、夜しか顔を合わせる機会がなかったりします。
寝室が一緒でも、寝ている時は話は出来ませんので、情報共有と言う意味ではカウントできません。
「一緒に住んでいるからいつでも話せる、相手のことはよく分かっている」と思い込んでしまうと、意外と見逃している変化があるものです。
2.何を共有すればいい?
①お互いの感情を刺激しない話題
お互いの気持ち、メンタルや体の状態、どうしたいか、何がイヤか、何が心地よいのか、といったものを共有するためには、感情を刺激した状態では正しい情報を共有できません。
「今日、涼しかったね」
「そうだね、だからかな、調子いいかも」
(そうか、暑いより涼しめのほうが快適なのか)
と、理解が一つ進みます。
②感情を刺激するけど必須度が高いもの
とはいえ、一緒に生活していく上で避けて通れない話題もあります。
生活費、いつまで休職するのか、お互いの実家・両親の話題、ご近所づきあいなど。
ある程度片方が方針を決めた上で、OKかNOかの意見をもらう、というのでもいいでしょう。
ただし、何の確認もせず片方が全て決めて実行してしまうと、揉め事の元になる場合があります(相手の性格にもよります)。
どうしても話しづらい、相手が話したく無さそうな時でも、
『考えるの辛いかもしれないけど、一緒に考えたいから協力して』のように、何故相談が必要なのかを伝えた上で切り出してみましょう。
3.いつ共有する?
①期限があるもの(支払、通知等)⇒直前はNG、検討する時間が必要
言い出しづらくてずっと黙ったままでいることはありませんか?
「相談必須のもの」を、直前まで放置しておくのはリスクが高いです。
そして期限ぎりぎりになって相談すると、「どうしてもっと前に言ってくれなかった」と言われてしまう可能性があります。
言い出しづらかった理由はたくさんあると思いますが、折角の配慮もタイミングによっては逆効果になります。
検討する時間を設けるためにも、直前ではなく、余裕のあるタイミングで共有しましょう。
②タイミングは文脈に逆らわず、自然に
さて、いざ面と向かって話す状況になりました。
相手のタイプによると思いますが、うつ病の人は脳内が常に疲労状態です。
パッと言われてパッと答えることが出来ない人がほとんどです(うつ前はそうじゃなかったとしても)。
お笑い番組を見ているのに「いつ復職するの?」などと切り出されると、思考が付いて行かず混乱します。
その場の話題や思考がシームレス(途切れ目が無い状態)につながるように切り出してはどうでしょうか。
4.どうやって共有する?
方法も気を遣うところです。
実際の共有・相談は直に話し合うことになりますが、事前・話し合い中・事後に工夫することも出来ます。
5.メリットと注意点
①情報共有するメリット
・抱え込みを防ぐ
お互いがそれぞれに抱え込み過ぎないことで、
「自分ばかり辛い思いをしている」「自分ばかり頑張っている」
「相手ばかり頑張っている」「自分は何も頑張っていない」
という思い込みから解放されます。
特にサポートする側は辛さを抱え込みやすいです。
サポート側の辛さを一番理解してくれる人は、実はサポート対象であるうつの人です。一番そばで見ているのですから。
・手遅れにならない
「必須度が高いもの」が該当します。
もっと早くに話し合っていれば、というのはお互い後悔します。
うつ病への配慮が結果としてうつ病を悪化させるきっかけになってしまうことを予防できます。
②情報共有時の注意点
・感情的にならない、なりそうになったらやめる
うつ病の人はもちろん、サポート側も疲労が蓄積していると、些細なやり取りが感情を刺激することがあります。
うつ病になる前なら気にもならなかったキーワードが地雷になる場合があります。
どちらかが感情的になった・なりそうになったら、中断しましょう。
・選択肢を限定しない。「〇〇しなければならない、絶対に、何があろうと」と考えない
精神的な余裕がなくなると、どうしても選択肢が少なくなります。
たった一つしか正解はなくて、それを選択しなければならないような錯覚に陥ります。
しかし、どんな時も選択肢は一つではありません。
自分達が気づいていないだけ、まだ知らないだけなのがほとんどです。
選択肢を思いつかない時こそ、パートナーと相談する必要があります。
二人で思いつかなければ、話し合うメンバーを増やしましょう。
お互いの両親、兄弟姉妹、職場の上司・同僚、主治医、カウンセラー、ソーシャルワーカー、友人・知人。
どこから知恵やヒントが与えられるかは、話し合ってみないと分かりません。
「理解しあっているつもり」で突き進んでしまうのが、うつ生活は一番怖いです。
いずれも同じくらい大事です。
片方だけが努力するのではなく、「双方」が「出来る範囲」でコミュニケーションを工夫したいですね。
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