もしも私が小説の中の強い女の子ならば

これを読んでいるどこかに住む誰かさん。
あなたは物語をみたことがありますか?
ない、という人が多いでしょう。桃太郎を知らない日本人などほぼいないでしょうから。

もし、自分があの映画の主人公だったら。
もし、自分があのアニメのヒロインみたいにかわいかったら。
もし、もしも。
その if を、非現実的なものを、あなたは想像したことがあるでしょうか。

夏に観た映画のスピンオフ小説をやっと最近読み終えた。
自分で言うのもあれだが、その中に出てくる女の子がまるで私のようだった。私のような心境の持ち主だった。

よくある事だと思う。
物語の登場人物と同じ感情であることは。感情移入しすぎてしまうことは。
私は夢見る乙女なので、よく物語の中の感情を自分の感情であると錯覚する。
勝手に嬉しくなって、勝手に悲しくなって、勝手に怒る。
私のものではない感情に、私は侵食されていく。

ひどく、似ていたのだ。
その物語の中の感情と、今の自分が。
余計、辛くなった。
誰のせいでもない、仕方ないと思う。

結果から言えば、物語の女の子は、その感情を乗り越えていた。強かった。
私は、強くはない。あの子みたいに強くはないし、そんな余裕なんてない。
でも、私は錯覚している。その感情が私であると。
そうなると、私は彼女のように強くなくてはならなくなる。
私は現実で強くなれない私に絶望する。矛盾を感じて、勝手に悲観的になる。

もしも私があの女の子みたいに強かったなら、この想いもすぐに無くせたのだろうか。
素直に好きな人の恋を応援できたのだろうか。

全て、もしも、の話である。

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