昔好きだった曲を聴くと月日が経つ早さに引く

今から十数年前、私が中学生の頃にとあるロックバンドにハマっていた。ちょうどデビューしてドラマやアニメなどに起用されたり、メディアにも取り上げられたりでとても話題になっていた時期だ。その時に私はたまたま友達から借りたCDに入っていた曲を聴いてそのバンドの虜になった。

人生初めてのライブもそのバンドだった。初めて行った時の光景は今でも覚えている。すぐ目の前に私が憧れ大好きなバンドがいる。そしていつも私が聞いている曲を生で聴けることの喜びは本当に大きかった。ファンとの一体感もとても心地よかった。そこからさらにハマり、ライブに何度も行ったし、ラジオの公開収録に行った。常に雑誌などのメディア掲載も追いかけ、情報を集めていた。さらにファンクラブにも入った。そのバンドに出会ってから4年くらいはひたすら追いかけていた。

だが、大学受験が近くなるにつれて忙しくなり、自然と私はそのバンドから離れていく。そのバンドに飽きたとかではなく、自分の人生の中で大事なことが、音楽から受験に変わっていったのだ。だが、大学受験が終わり大学生になってからも新たに私の興味を引く物が目の前に沢山現れ、私の興味は他へと移って行った。音楽にも関心がなくなってしまい、結局そのバンドに再び興味が戻ることは無かった。

社会人になるともう中学時代は10年以上前のことになる。過去を美化するのには十分な年月で、中学時代のことは「懐かしく良い時代」に変化していく。ことあるごとにそのバンドのことを思い出すようになるのだ。そして、「昔好きだったあの曲を聴きたい」と思うことが増えた。実際に聴くと、懐かしさでテンションが一気にあがる。心の中は「なつかしいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」という感情で一杯になるのだ。(ストレスが溜まるとこれをやりたくなるから、私にとってストレス発散法の一つになってしまっているのかもしれない。)

しかし、興奮が少し冷めてくると少し冷静になる。その時頭をよぎるのが、「この曲何年前のだ?」という疑問だ。そしてネットで調べると最低でも10年以上前だと判明する。最悪15年以上前だったりもする。その瞬間、私はドン引きする。「え・・・・??せめて7〜8年でしょ?!10年以上も経ってるの・・・・え・・・・・」となるのだ。ガチでこの瞬間はドン引きする。

何にドン引きするのかというと、体感時間と実時間の経過のズレに対してだ。

昔、よく大人が「15年以上ぶりねー」とか「25年ぶりだ」という言葉を、ほんの少し前かのように言っていることに疑問を抱いていた。「え、15年以上前とかめちゃくちゃ昔のことじゃん」と思っていた。だが、自分が今その大人側になっているのだ。私は着々と歳を重ねていること、そして「え!これ10年以上前の曲なの!!つい最近じゃん」とか言っているのだ。今の中学生くらいが聞いたら、昔の私が思っていたことと同じことを思うだろう。

人間自分勝手なもので、自分が着々と歳を重ね、老いる方向に向かっていることを中々受け入れられない。私もまだ反発があるのだろう。

私は今アラサーだが、二十数年間という時間は短く感じる。体感時間でいえば15年ほどかもしれない。ぼーっと生きていたらあっという間にこの年齢だ。本当に月日が経つのは早い。だが、もっと恐ろしいことに「30代になってからの方がもっと早くなる」というではないか。怖すぎワロエナイ・・・状態である。しかも年々早くなるんだろう。

一説には「生まれてから20代まで」と「30代から死ぬまで」の体感時間は同じだと言われているんだとか。ということは、今の調子でぼーっと生きていたら、あっという間に私の人生は終わってしまう。時間は有限で貴重だ。それを肝に命じて生きねば。