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つれないつり

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釣りについての短編です。スズキ、イワナなど魚種ごとに短編があります。釣りを知らない人でも、読み物として楽しめるようにしています。
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#小説

つれないつり(12) ヤマメ

真名川の真ん中を歩く。前方にまっすぐ川が伸びている。上には広い空が広がっている。瀬に陽の…

日下慶太
3年前
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つれないつり(10) セイゴ

大阪にいてどうしても釣りに行きたくなったときは安治川の河口で釣りをする。両岸は工場地帯で…

日下慶太
3年前
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つれないつり (9) アイナメ

竜宮城の竜をとれば宮城になる。宮城の由来は竜宮城なのだ。スピリチュアル系の友人はそう力説…

日下慶太
3年前
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つれないつり(8) イワナ

大野の白く長い冬が揺らぎ始めると、渓流釣りは解禁になる。 大野に通って1年ほどになった。…

日下慶太
4年前
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つれないつり (7) メバル

冬は釣りにいくものではない。容赦ない北風が襲ってくる。魚は水温が暖かく安定している沖の深…

日下慶太
4年前
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つれないつり(6) ハネ

前回の釣行の二日後、また釣りににやってきた。 釣れなかったことがあまりにも悔しかった。 そ…

日下慶太
4年前
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つれないつり(3) ガシラ

Sがカヤックを買った。釣り用のカヤックである。Sは釣りを始めたばかりで糸の結び方も知らず、満潮も干潮もよくわかっていない。それがいきなりカヤックを買った。固定電話もないのに、ポケベルも飛び越えて、いきなりケータイを持ったマサイ族のような技術の素っ飛ばし方である。釣りには順序というものがある。まあ、それはさておき、彼はカヤックを買った。さっそくカヤックで釣りに行こうということになる。ぼくはカヤックをレンタルした。10月頃だった。 カヤックは背丈ほどの長さである。中央に背もたれ

つれないつり (2) サバ

女川の町は色がなかった。永遠に灰色が続くようだった。曇りの日は本当に切なくなってくる。津…

日下慶太
4年前
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つれないつり (1)  スズキ

川のように見える瀬戸内海を越えて国東半島に降り立つ。寝ぼけてまだ起きたばかりのような山を…

日下慶太
4年前
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