見出し画像

-Tangoな日々- 素敵なアブラッソ

タンゴの魅力の一つ、Abrazo。

あたたかくて、とろけるような、包み込まれるような素敵なアブラッソをする人に出会った日は、それはそれは幸せな気持ちに!
そう、アルゼンチンタンゴでは、いかに素敵な抱擁をするか…はとってもとっても大事な要素の一つなのです。

Abrazo(アブラッソ)....抱擁の意味。
日本ではあまり馴染みがありませんが、アルゼンチンでは日常の挨拶でも相手を抱擁し、Besoと言ってお互いのほっぺを合わせます。


さて、今日はそんなアブラッソについて。

どんなアブラッソ、していますか?
またはしたいですか?

今回は、
基本的なアルゼンチンタンゴの踊り方を既にご存知で、ミロンガ等に通って踊っていらっしゃる方へ、アブラッソをする時の手の位置、特に相手の背中へまわす手についてピックアップしてみたいと思います。


アブラッソの手の位置は、スタイルによっては置く位置が決まっていたりします。
が、そうではない場合、

踊り手によって、
その日によって、
踊る相手によって、

かなり大きく変わります。

画像2

[Pfoto:Darío González]


私が日本でよく見かけた光景は、相手の背中に回す腕(女性の左手、男性の右手の位置)が決められたかのように置かれていて、踊っている間微動だにしない光景です。
そして踊る相手が変わっても、今まで踊った人と同じ位置に手を置き、アブラッソしています。

皆、美しいアブラッソをしています。
ですが、私にはなんだかマネキンのような、ただそこに置かれている”モノ”のような、少し冷たい雰囲気に感じてしまいます。


踊る相手は毎回、違います。

背の高さ、体型、胸板の厚さ、背中の大きさや腕の長さ、踊るスタイル。

誰一人として同じ人はいません。

全てが、違います。

なのにアブラッソは、いつも同じ形なの?




私はアブラッソに、
”この位置でなければならない”
という正解の位置はないと思っています。

また、同じ人と踊るのであっても、その日の感覚によって、一番心地よく抱擁できる場所は違います。毎回、同じ場所でなければならない理由は、ありません。

更に更に言うと、一曲の中でアブラッソの位置はどんどん動きます。動いて良いです。
最初に組み始めた身体のポジションを保ったままで最後まで踊るわけではないですから、その瞬間瞬間で手が快適な位置に動くのは理にかなっています。
また、一曲の中での曲調の変化や、曲を聞いた自分の感情の変化、相手から来るエネルギーによって、アブラッソの位置がその都度変わるのは、とても自然なことなのではないかと思います。

そして、踊る相手へのリスペクトと愛。
約10分間、時間と空間と、曲と、お互いの身体を共有することへのリスペクト。
それは、形ではなく、自然と溢れ出てくるものですよね。


美しいアブラッソは素敵です。

しかし、周りから見た美しさにこだわり過ぎず、自分が相手を、そして音楽をどう感じるのか、
何が心地よいのか。
もっと自分に、そして相手にフォーカスしてみると、マネキンのような感情のない手ではなく、もっと血の通った手になるのではないかな、と思います。


アブラッソは、抱擁。 

ポジション、形としてではなく、
自分が心地良いと感じる場所はどこなのか、に
アンテナを立ててみる。


その変化は、必ず踊る相手にも伝わります。


ますます快適で心地よい、
とろけるような極上のアブラッソをー。



この記事が参加している募集

私のイチオシ

読んで下さり、ありがとうございます。 サポート、とても嬉しいです。ありがとうございます。