靴が買えない男は救われない

予想通り。
笑っちゃったよ。俺の人生なんてこんなもの。

スマホの設定がようやく終わってなんとかかんとか。
まだまだ不便はあるけどようやく電話ができる。

設定してる時に履歴を見たら、故障中に警察署から連絡があったことを知る。
まあそのうちもう一度連絡が来るでしょうと放置。

それから数日が経ち、9月23日にようやく連絡が着た。

この日ちょっとした用事があり、嫁と共に車で出かけた。
嫁は午後から仕事なので出先でタバコとビールを買ってもらってバイバイ。
早々と用事を済ませリサイクルショップへ靴を見に行った。

俺の足は24cm（23.5かもしれない）しかないので、まず男物の靴でサイズが合うものはない。
なので24.5cmでなんとか妥協するしかない。
そのサイズならなんとか男物の靴もあるし、そのサイズの男は少ないからリサイクルショップだと売れ残って安いのだ（笑）

靴の値段は770円。
財布には千円札が2枚入っていたがこれは使えない2千円。
眼科に行かねばならないのだ。

LINE Payでの支払いが出来るそうなのでそうしようと思った。
LINE Payの残高は680円くらいだったので1000円ほどチャージしようと思った。

が、結果チャージは出来なかった。

残高はあるはずだが、どうやら最近あった不正入金事件(？)で先週から殆どの銀行で一時的にチャージが不可となっているらしい。
なんと残念なんだ。

770円の靴が買えない男。

トボトボと歩き帰路につく。
日も暮れ始め、冷たい風が顔に当たる。
少しだけ暑かったので風が気持ちよく感じられたものの、それもすぐに邪魔をされてしまう。

冷たい風が顔に当たると、殴られた顔の左半分が引きつり麻痺するのだ。

縫った左目の横辺りから左耳の上部まで。
触ってるのに触っている感覚が鈍い。
感覚的には爪を触っているよう。もしくは痺れすぎて感覚が無くなった足。

夜冷えることが多くなってきた北海道だとこれが地味にキツい。
夜中に顔の左半分が引きつり感覚を失い、慌てて左手で顔を抑える。

これが一時的なものなのか？一生続くものなのか？

俺は事故による左膝の怪我で、一生痛みが引かないという絶望を若い頃に味わった。
もちろん30年近く経った今も当時の痛みが続いている。
もしもこの経験がないならば、この顔の痛みに絶望していただろう。

これに対して俺は一体いくら慰謝料を貰えばペイになるのか？
というか逆に考えて「〇〇円貰えるけど顔の左半分が一生麻痺するボタン押す？」という質問を考えた時、一体いくらが妥当なのか？
もし加害者とその親と話が出来るなら、この質問をしてみたいと思った。
5万じゃ流石に安い。500万でも押したくはないなぁ。

酒を飲み歩きながらこんなくだらないことを考えていたその矢先、噂をすればなんとやら警察署から電話が着た。

とりあえず犯人は捕まって家庭裁判所送りになったそうだ。
この期に及んでまだ嘘をついていたけれど、もはやそんなものはどうでもいい。
かかった医療費と慰謝料、それさえ貰えればどうでもいい。

一ヶ月布団に横になることも出来なかった辛さ、おそらく一生残る顔面の麻痺、嫁にかけた負担、台無しになってしまった子供達の夏休み。
お金じゃ解決にはならないけれどそれ以外の解決方法はないのだ。

それを警察に伝えたところこんな答えが帰ってきた。

「それは弁護士雇って民事裁判でそちらでやってください。」

「は？」
素っ頓狂な声が出た。
「（犯人が未成年のため）向こうの素性もこちらから教えることは出来ないのでね、裁判所を通してということになると思います」と。

「あとは弁護士費用と慰謝料の両天秤にかけてどうなるかってところですかねぇ。まあこちらで出来ることはやったんで。では」

電話を切ったあと乾いた笑いが出た。
これが日本の警察。これが日本の司法。
弁護士を雇って民事裁判を起こしたところで、もし認められなかったら弁護士費用を払うすべが俺にはない。

だから770円の靴が買えない男が救われることは絶対にないのだ。

嫁にすぐさまラインを送った。突き付けられた現実に嫁もこの反応。
未成年は無敵。
貧乏人は泣き寝入り。

法で裁けぬ悪人を始末する必殺仕事人ですらお金がなければ雇えない（笑）

皆さんの目の前に「〇〇円貰えるけど顔の左半分が一生麻痺するボタン」があった時、一体いくらなら押せますか？

俺は警察と司法に守られた未成年の他人に無理やりそのボタンを押されたわけだが。

追記
まあ俺みたいな貧乏人被害者用の相談窓口もあるにはあるんだけれども、どうせまた疑われるし犯人扱いされるだけなのはわかりきってる為、それならもう面倒に巻き込まれたくはないというのもある。

警察、裁判官、弁護士は味方じゃない。昔から全部俺の敵だ。