子供にサンタクロースがいるかどうかを聞かれた場合

「サンタさんって本当にいるの？」
子供がいる家庭なら必ずと言っていいほど出てくる話題。
この質問の答え方は様々。

親として避けられない道である。
そして何気に子育ての方針としての重大な分岐点となる。

夢をもたせるのか？
現実を突きつけるのか？
なんとなく誤魔化して成長を待つか？

この選択によって子供の性格や、下手をすると将来就く職業なんかも変わってくるかもしれない。
その子供達が大人になったあとの子育て方針も。

まだ素直な心を持つ子供に夢を持たせてあげたいけど、どうにも隠しきれそうにない。いつかバレる不安から早く解消されたい（笑）

各家庭で頭を悩ませていることだろう。
「赤ちゃんってどこから生まれるの？」
「赤ちゃんってどうやって作るの？」
この2つの質問を加えた子育て三大問題だ。

当然我が家にもその時はやってきた。
「ねぇお父さんサンタっているの？」
ハッとした表情をして固唾をのみ、俺と子供を見つめる嫁。
腕を組み、パソコンのモニターを睨みながらゆっくりと目をつぶる俺。

どうやら学校で議論になったらしい。
まあよくある「いる派」と「いない派」の例のアレ。

ついにきたか。
この時のために俺は何年も答えを考えてきた。今が発表の時。

「俺はサンタに会ったことがある」

「え？！」驚く末っ子の娘。
何を言い出すんだ？！と一緒に驚く次男と嫁。長男はバイト中。

興味津々で娘は聞いてくる。きっと「いる派」だたのだろう。
「どこで？ねえどこで会ったの？！本物なの？？」
焦る娘を落ち着かせるように答える。

「札幌駅のビックカメラの地下で会った」

「はぁ？そんなわけ無いじゃん」
3％くらいあった疑いの気持ちが80％くらいまで跳ね上がる。
しかしそれは事実なのだ。

「本当だ。あのデパ地下のお菓子とか惣菜売ってるとこあるだろ？その奥のモスバーガーの前にいた」

「モス・・・」疑惑指数が100まで上がる娘。
何言いやがったんだこいつという視線を送る次男と嫁。
だが紛れもない事実なのだ。説明は続く。

「まずいいか？サンタが家に勝手に入ってきて、プレゼントを置いていくなんてことはないんだよ。不法侵入という犯罪だからな」
口を尖らせながら頷く娘。

「そもそも子供ら全員のプレゼントなんて用意したら運べねーだろうが。だから世の中のお父さんやお母さんがサンタの代わりにプレゼントするんだよ」

あー言っちゃったよ・・・という顔の次男としょんぼり顔の娘。
それを無視して話を続ける。
「だがな、サンタがいねーとは言ってねーだろうが。言ったろ会ったことあるって」
「でもそれ本物じゃないじゃん多分」
「いいや本物だ。本物のサンタは居る」

そう言って俺はパソコンで検索したフィンランドのサンタ村のサイトをモニターに映し出した。

「嘘？！ホントに？？？」
「いるんだよフィンランドに。神様みたいなあやふやな存在だと思ってただろお前。本物のサンタになるのには資格もいるんだぞ」
「えーー！！」

話を続ける。
「で、ひとりひとりの家にはそりゃ行けないけれど、色んな国の子供が集まるところにたまにやってきてくれる。俺はそれに会ったんだ」

「本物のサンタに会えたら嬉しくて子供が笑うだろ？そして笑った子供を見て親が可愛いと思ってついプレゼントを買うわけだ。だからプレゼントを買ったのは親かもしれないけれど、プレゼントをくれたのはサンタなんだよ」

キラキラと目を輝かしながら頷く娘。
なるほど～となんとなくだが納得した次男。
そして詐欺師を見つめるような蔑んだ目で見る嫁(笑)

嘘はついちゃいない。だが誤魔化しきったとは思う。

口八丁手八丁。
真実とでまかせをこきまぜて相手にそう思い込ませるのはギャンブラーとしての資質。ちょっとした催眠術のようなもの。
俺が初めて書いた「確率の波・コインの表と裏の話」の結末と変わらない。
気がつけば無理やり納得させられて操られるのだ。

こんな催眠術は子育てでは重要だ。そもそも子育てなんて解けない催眠術を賭けるようなもの。
ただし使い方を絶対に間違わないこと。それによって子供は白にも黒にも染まる。

因みに残りの2つの問題、赤ちゃんについてはあっさり答えた。
嫁の後ろから不意打ちでパンツを下げ、ギャー！！と叫ぶ嫁の両足を持って御開帳させ「ここだここ！女のここに穴開いてっからそこから生まれて来るんだよ。ここにチンコ突っ込んで合体したら子供出来んだよ」と説明。

ショックを受ける娘の前で嫁にボッコボコにされた。

追記
上の息子ら二人は分娩室で妹が実際出てくるところを見ているので説明の必要なし。
「ふ～！」と叫び声を上げる嫁の姿を見て爆笑してしまった俺と一緒にその映像も残っている。

いや3人目ともなると嫁が命がけで必死になってるのがもうおかしくておかしくてつい・・・