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RPA勉強会!RPALT広島~RPA × 職業訓練~遅ればせながらレポート

2021年1月18日(月)RPACommunityのイベントは広島支部。昨年はコロナ禍の中で唯一オフラインとオンラインのイベントを行った活発な地方支部です。しかも今回のテーマは「職業訓練」という事で個人的には技術的な話よりも興味がある分野です。当日リアルタイムで聞いたのですが、諸般の事情でスマホからの視聴がメインだったため同時レポートは出来ず、今回動画の公開とともにレポートする事ができました。Youtubeっていいですね。



労働行政の枠組みとRPAの職業訓練:豪先生

広島で職業訓練を行っているビットゼミと言う会社を経営している豪先生のお話から。昨年2020年9月から今年の1月まで行ったRPAを使った職業訓練について紹介します。

1.労働行政の枠組み

労働行政の基本的な枠組みは「創出」「促進」「安定」を支援対策する事です。大まかにいうと産業構想の変化をキャッチして、知識技能の習得を支援して、雇用や就業を促進するということです。

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職業訓練もその枠組みの中のひとつなのですが、在職者向けの訓練、求職者向けの訓練、在学者向けの訓練などがあり、そのうち求職者向けの職業訓練の施策を挙げると、公共の訓練施設で行う公共職業訓練、民間委託して行う委託訓練、雇用保険が適用されない求職者に対する求職者支援訓練があります。今回紹介するRPA職業エンジニア養成コースは委託訓練です。求職者はハローワークでそれを紹介されてコースに参加します。

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今の時代は環境変化が激しい時代です。昨年の今頃までは観光産業が伸びると言われていましたがコロナで一変して仕事がなくなってしまいました。すべての業界がこの時代をどう生き伸びるかを模索している状況です。

こういった時代になると最初はニーズがあった「予定していた業務」も時間が経つとミスマッチが発生してもいsかしたら無くなってしまいます。この時代に目指すべき職業訓練はまずは「就業先の業務に適応した」後に「自ら学習し、変化に合わせて業務を適合させていく」ようなことが求められます。

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2.今回実施した訓練

広島の労働市場は有効求人倍率は1倍チョット。そのうち事務職は0.3~0.4倍、事務職希望の職業訓練希望者は多いのですが、求人は少いうえに将来ITなどに代替されてしまう可能性も高い職種です。RPA職業エンジニアコースはその領域にあてたコースで、エンジニアという名称ですが業務改善や効率化は将来目標としていますがまずはWordやExcelから学び事務業務担当者としての就業をまずは目指すコースです。

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カリキュラムもWordから充分に時間を使って最後にRPAに学んでから職業実習に取り組むみます。

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基本的な考え方は応用力は実際に働いてからという事で訓練そのものは基礎力に重点を置いてます。しかしながらVBAやRPAは基礎と実務との段差が大きいので、もうひとステップが必要ですが、そこを埋めるのがユーザーグループやコミュニティだと感じています。

今回の訓練を終えて訓練生から感じる思いは「使える証明」ではなく「使える実力」が欲しいという事です。それまでは資格取得を目標として行うケースがありましたが反省しています。ツールを使える楽しさを知ってもらえれば自然とコミュニティの活用とか持続学習に向いていくと思っています。

今後は重点を資格取得から実務的な機能にフォーカスして基礎はもちろん、応用力をつける為に演習を多めにもウケようと検討しています。

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最後は広島県高等技術専門校の池宗校長先生からの言葉です。

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RPA教育の実際:おーい先生

RPACommunityでいつもYoutube配信をしていただいている大井さんです。いつもは普通の会社員ですが3年くらい前からRPAの活用支援や教育などの業務を並行で開始し、さらに最近はワークデザイン改善をお手伝いしたりしています。

感じているRPA関係の悩みは、本業を抱えたままでのRPA化には限界があるので専属のRPAエンジニアの必要性を感じています。自分自身ももっとパフォーマンスを発揮したいと思っていた時にちょうど豪先生からお話があり職業訓練のRPA講師をする事のなりました。

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今回は時間が充分にあるという事で私なりのカリキュラムを考えました。初日は業務効率化の話、プロセスの可視化をしてからRPAとは何かの話をして、翌日以降実際にインストールからはじめました。使用したRPAツールはBizRobo!です。

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まずは業務の本質を理解するところから・・・

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そして業務のイメージをつかみながら業務プロセスの可視化を説明しています。楽しく学ぶためにボードゲームも活用しました。大切なのは自分自身でその業務を理解したうえでプロセスに落とし込んでいく事です。

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 2日目からは開発教育の基礎と応用です。応用ではツールの機能を幅広く理解するようにしました。様々な業務に対応できるように考えてカリキュラムを作りました。RPAは簡単と考えがちですが、プログラミングの基本動作(変数や条件など)はしっかり学びます。できるだけ理解しやすいように、プログラミングの考え方は人間に置き換えて説明しています。

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そこからはツールの使い方をしっかりやります。

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そこからは演習問題を行っていきます。そこでたくさんある機能から実際に自分が使っている機能を厳選んしています。

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自分が今何の仕事をしているのをイメージしやすいようにしています。マニュアル人間にならないようにあえて手順書は作成・配布しませんでした。そこは回答ファイルとロボット構成図の提供でカバーしました。

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6日から9日目から各自、受講生が自由に復讐したり実習をしてもらいました。質問対応は大変でしたが、「自走でRP開発が出来る事」が大事と考えました。

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開発基礎までは教えられるでいいのですが応用は自ら調べて技術を学ぶごとが大事です。学習方法を伝えることが大事なのかなと思っています。

最後は「他社ツールの理解」です。会社員になったら、ツールを自分では選べないことが多いので、どんな開発ツールにも対応できるように考えました。

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 最後に受講前のスキル

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最後に教えることによって、教える側自身がこれまで以上にRPA開発の理解が高まったと感じています。

↓資料です



地方のRPA人材の需要と人材業者としての試み:松尾先生

最後は実習の支援をした人材会社に勤める松尾先生です。人材を探している企業の声を聴いているので、そのあたりを踏まえてのお話です。

広島県の最新の求人倍率は1.2、事務職は02倍くらいです。球求人の絶対数は全国的に下がっていて、派遣の仕事も激減しています。逆に上がっているものは即戦力です、企業が育成できなくなっていてポテンシャルだけでは採用されなくなっています。そして慢性的な停滞感が多少あって「・・・どうせ」といった感じがあります。

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RPA案件では、既存の業務を簡単にする事なので自社の社員でなんとかするものと考えている事が多いです。そういった企業へのアプローチは2種類あって「社員の技術力を上げる」→トレーナー、「社員の代わりにに作る」→開発・構築エンジニアです。

トレーナー

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広島と言うより中国地域全域での仕事になります。単発の短い仕事も多くトレーナー以外の仕事もできる能力が求められます。ユーザー目線でトレーニングできることが大事だと思います。またトレーニング後に継続的に支援していく仕組みも必要だなと感じています。

設計・構築エンジニア

数か月規模の案件も多く、リモート前提で県外からの引き合いもあります。技術力はもちろんですがコミュニケーション能力がかなり求められます。実務者とのコミュニケーションをする能力が必要です。システム開発経験が求められますが人間力、コミュニケーション力があれば対応できます。

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RPA人材の需要

RPA人材の求人は顕在化していません(具体的な引き合いはほとんどない)。できるとすると隠れているニーズにどうアプローチするかです。RPAのみにこだわらず、元の何かのスキル(事務、エンジニアなど)と組み合わせてのアピールがいいと感じます。

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人材業者としての試み

オンラインをフル活用して企業と求職者が「ひと」と「ひと」としてつながるプラットフォームができないかなと考えています。今回は職場実習で4名の実習生に来ていただきましたが、ほとんどSlackをつかったりしてオンライン上で完結しましたが、そういった取り組みも求人企業の方にも見ていただければより「ひととなり」や潜在的なニーズがわかってもらえるかと思います。企業側の情報も一緒になってRPAに取り組んだりすることで会社の仕組みや人も見えるようになってよりマッチングしやすくなるかと思います。

今後いままでのような人材業者の在り方はなくなると思っていて、こういったプラットフォームを共創して、例えば「RPAサポートセンター」のようなものを作って企業と人を繫げることが出来るかと考えています。

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生徒によるLT1:受講者全体の実習感想まとめ(BizRobo!、UiPath、WinActor)林さん

実習生の林さんからの生徒からのアンケート結果です。

・VBAを使用したことがあるのは20名中4名くらい

・VBAを学ぶ時間が短くてRPA学習の前に分岐などのプログラムの思考が重要だと感じました。

・自分で組立てるという事で手順書が無い状況という事で、そこで迷ったなという感じです。解答例で理解が深まったと思います。

・2週目に質問ができることが出来るレベルになりました。

・実務で何に使えるのか、導入事例などが欲しかったという声がありました。

・短期間での習得はやはり難しいと感じる人も多かった。

・無地かしいと感じたところは「変数」。あと「RPA用語」のカタカナ言葉

・「プログラミング思考」は大井先生の作業の手順のところでやっとわかりました。

・RPAを実務でどう使っていくのか・・・どう組み込んでいくのかが難しいなと感じました

・BizRobo!、UiPath、WinActorを比較しました。講習や企業実習で実際に使った感想です。

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生徒によるLT2:PC触ったことのないやつがRPAやってみた 平澤さん平澤さん

・元々ゲームくらいでしかパソコンを触ったことが無かったです。

・なぜRPAを学ぼうと思ったか・・・システム関係の仕事に絡んでみたいな・・・くらいです

・思ったよりわかりやすかったです。楽しく勉強させてもらいました

・RPAは万能ではないなと思いました。幅は広いですが

・IPhoneのショートカットはRPAに似ていて、やってみようかなと思っています。ゲームのログインボーナス稼ぎとかwww

・就活のRPAで自動化したいなww

・自分視点で色々考えられるようになったのが収穫

生徒によるLT3:元理系出身販売員がRPAやってみた 田口さん

・RPAはハローワークで初めて聞いた。「プログラムの一種だよ」と誘われた

・コードを書かずにブロックで書けるのは素晴らしい。でも一筋縄ではいかないなとも思いました

・自分がハードルかなと思ったのは、どうしたら組立てられるのか、求めたものが組めるのか・・・それの組み方です

・BizRobo!だけでなくすべてのRPAを使えるようにっていう教育

・RPA用語を呑み込めないうちに授業が進んでしまった

・科学を学ぶ学生だったころに実験をレポートにまとめるというのをしていましたが、その時に培った能力がRPAの学習に生きました。分岐を考える力は理系のほうがあるのかなと思います。

・2週間は短いようで濃密な時間だった

・実習先で少しRPAに関わりましたが基礎的な能力はあるよと言われたことがあって、結果は出ているわけではないのですが、考え方と言うのはどこでも使えるものになるので、「どのツールでも使える」に近づいたと思います。

生徒によるLT3:ExcelVBA活用OLがRPAやってみた:林さん

・EXCELのVBAは10年くらい使って事務員をしていました。

・受講した理由はVBAよりももっと簡単に使えるという事で学んでみたいと思いました。

・最初から事務員のスキルはあったのでEXCELやWordの授業の間にVBAとかを進めさせてもらってました。

・誰もができるというものではないなと感じました。

・自分のやり方は他人の真似をして拡張していくほうなので、他人の作ったものを見ないと組めない、自分の発想力が無い人間だと気が付きました。そういったタイプの人も居るのかなと思いました。

・2周目に回答ファイルを見てから一気に理解が進みました。

・講習ではBizRobo!でしたが今はUiPathを使っています。

・VBAできたから簡単かと思ったら1週間で挫折しましたww

・ある程度自分で作れるようになったのが学習成果です


締めの言葉:おーい先生

教えている中で皆さんからたくさんの気づきをいただいたのでお互いにレベルアップできたのかなと思います。大事なのは継続学習という事なので考えていきたいと思います。ツールベンダーも寄り添っていかないといけないですし・・・

興味を持つことからスタートすることが大事


個人的な感想

フクイの勝手な感想です。

今回はRPAに限らず職業訓練の話として教える側教えられる側両方の声が聴けたので非常に貴重なイベントだったと思います。先生側の話を一方的に聞くのはたまにあるのですが、ホントこのイベントは素晴らしいです。広島支部の皆さんありがとうございます!

RPAの話をすると・・・ここのところRPAやクラウドのベンダーは「1人1RPA」とか「ITの民主化」を明確に目指していると言っています。確かにそういう方向であるべきだし、個人的にも支持しています。ただ今回の話を聞いて、まだまだギャップはあるのかなとも感じました。

このギャップはベンダーがもっともっとわかりやすくて汎化されたものにしていく事もそうですが、豪先生が言ったみたいに「教育」と「実務」を繫雲のが大事だと思います。教育が終わってしまうと生徒は一人になってしまうので、学習の継続とかモチベーションの維持ってすごく難しいと関します・・・もちろん出来る人には出来ますが、そういったところをコミュニティが繋いでいって学習を楽しく続けることが出来るようになればなぁと思います。そのためにはコミュニティももっともっと手の届きやすいようにしていかなければ・・・・と思うのでした。





<RPACommunity>

自動化・RPA・業務改善・働き方改革に興味のあるメンバーで構成!RPA業界では初の完全な「ユーザー主体」「オフライン主体」コミュニティ。
特定企業・団体の主導/運営ではない、純粋な「ユーザーメインのコミュニティ」です。
※企業ではなく、ユーザーが主体となって運営。また、法人ではなく非営利の任意団体です。

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