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「頭文字D」を無理やり掘り下げてみる

この記事は「GYOMUハック/業務ハック Advent Calendar 2020」の記事として書かれています。

※注意:本記事はしげの秀一先生の漫画「頭文字D」そのものの記事ではありません。


なぜ「頭文字D」なのか

なぜこのGYOMUハックネタの記事に「頭文字D」(イニシャル・デー)なのかという理由をまずは説明します。

「頭文字D」というのは2020年10月12日~16日に行われたウィングアーク1stさんのイベント「UPDATANOW2020」で登壇された武闘派CIOの一人である日清食品の喜多羅さんの講演での言葉です。

講演タイトルは「危機に強い、あの企業は何が違うのか〜 DXはCOVID-19にドライブされる。NewNormalに求められるリーダーの視点とは」というテーマでNPO法人 CIO Lounge理事長の矢島さんがモデレートする中での話でした。この時の内容はレポートしています。

このときはコロナ対策の中で企業がどう対応し、そのあとどうしてゆくかといったテーマでしたが、その中でDX(デジタルトランスフォーメーション)に対する「これからのCIOが果たすべき之役割」の話の中で出てきました。「これからはDXではなくて頭文字D」といった感じの話で登場しました。

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頭文字D」というのは週刊ヤングマガジンで1995年から2013年まで連載されアニメにもなった人気漫画のタイトルです。峠の「走り屋」と呼ばれる若者たちの話で、主人公が旧型のスプリンター・トレノ(AE86)を駆って新型車に乗ったライバルを得意のドリフトテクニックを駆使して破っていく話です。

喜多羅さんの本当の真意は別として、DXを語るうえで題材として非常に面白そうなので、無理やり妄想して(ゆがんだ)真相を掘り下げてみます。


バズワードであるDX

DX(デジタルトランスフォーメーション)について少し書きます。ここのところITの世界でバズワードとなっているこの言葉です。「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」というスウェーデンのウメオ大学教授のエリック・ストルターマンにより提唱された概念ですが、なんかいろんな解説がされています。ポイントはデジタル化、新しい価値とサービスの創造、ビジネスの変革などがポイントとなってきます。実際には何かRPA導入したとか、AIやIoTを使ってみただけでDXと語ってみたり、逆にUberとかみたいに現在のビジネスを破壊(デジタル・ディスラプション)しないとそんなものはDXじゃないと語られたり・・・・ととにかくわけわからんですね。

実際にDXをやってるわけでもない自分がDXを語るのもなんですが、道具入れただけではDXでも何でもないけど、やたらハードル上げられても手も何にもつかないといったのが実際のITの担当者の気持ちでしょう。

・・・・前置きがだいたいできたところで、まぁ早速、頭文字Dのほうの掘り下げに入りたいと思います。


ハチロク

AE86というのが主人公の乗っているトヨタスプリンター・トレノの形式名で1983年に発売された車体です。姉妹車のトヨタカローラ・レビンとほぼ同じ仕様の1600ccのDOHCエンジンを積んだ小型自動車です。「頭文字D」の舞台は1990年代の後半ですから、この時点でも10年以上経過した「旧型車」です。しかもエンジンは名機と呼ばれる「4A-G」というものではあったが、小さなエンジンで非力というライバルたちの車に対して大きなハンデを背負っています。

これって、いまのDXにおける日本企業の状況とそっくりです。経済産業省が2018年に発行した「DX推進システムガイドライン」に示されたように日本の企業には「レガシーシステム」と呼ばれる古いITシステムが多く残っています。しかもそれが経理、生産、販売といったような企業の根幹をつかさどる「基幹システム」に存在していて、これがAIやらIoT、モバイルといったような新しいIT技術を使う上での足かせとなっている事が指摘されています。・・・・逆に言うと「言い訳」にもなっています。

しかしながら「頭文字D」の主人公はそんな不利な状況をものともせずに強力な車を駆るライバルたちに果敢に挑み、テクニックや様々な戦略を駆使して打ち勝っていきます。小型で非力な事は、逆に軽量というストロングポイントを生み出します。そういったことをうまく利用して戦う・・・この姿勢はDXを進める上では大事な姿勢だと思います。もちろん基幹システムを最新のものに置き換えていくのが良いのですが、ライバルたちはそれを待ってはくれません。今自分たちの置かれた状況のなかでどうやって工夫してゆくのか?・・・古いシステムの考え方に縛られず、新しいものを知ったうえでどうチャレンジするのか・・・・こういった発想がDXの土台となる文化だと感じました。

ドリフト

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この漫画のテーマとも言えるドライビングテクニックが「ドリフト」です。ドリフトというのはリア駆動の自動車が後輪のトラクションのコントロールによって・・・・・まぁいいや・・・・そんな後輪を滑らせながら曲がる方向とは別にハンドルを切りながら進むという、普通の運転の基本とは真逆の運転方法なのです。いらすとやの絵でも…わかりにくいですね・・・。

大事なのはそんなことではなくて、こういう運転をするのは接地面の状況をしっかりと感じて、それに合わせて曲がる方向とは別の方にハンドルを切って車をコントロールして走る・・・ということです。道路の状況というものは雨が降ったり、凍っていたり、砂が浮いていたり・・・と予測不能なくらい変化しています。雨が降ったって一律に摩擦係数が減るのではなく、乾いていたり、水が溜まっていたり・・・それを事前に予測するのは不可能でしょう。さらに車全体の挙動だって予測不可能です。実際の重心の位置の変化とか、左右の動きの加速度とか、そういったものを五感で感じながら、巧みにアクセルやハンドルやブレーキを操作することが大事なのです。


これもDXにおける我々のやるべき対応と全く同じと言えます。接地面、いわゆるお客様とか、お客様に直接接する現場とかの状況をしっかりと把握し、ビジネスの中で動いている現場(製造部門とか)もしっかりと把握し、ちゃんと現場・現物を見ながら、逆にハンドルを切るくらい思い切った施策を考えていく事が大事なのです。そして次々に起きる小さな失敗(タイヤの空転など)にあわせて素早く修正していって、大きな失敗(スピン)をしないようにしてゆく・・・・まさにこれは「ドリフト」そのものです。

DXは目的や目標を定める必要はありますが、この予測不能なVUCAの時代で事前に作戦を立てきることはできません。地面の反応を見ながら対応を修正していって走り切るしかないのです。

ライバルとの交流

「頭文字D」の主人公は群馬県のチームに所属して他県の様々なライバルにチャレンジしますが、そのなかで様々なドライバーに出会います。女性もいるし、普通の青年たちもいる。レーサーやラリードライバーもいるし、少年やオジサンまで居ます。レーシングシーンだけでなくそれぞれのライバルたちとの交流があります。それぞれ考え方があって、それぞれの情熱があって・・・・それに触れることによって主人公が成長していく、そういったストーリーです。

これもDXにとっては大事な事だと思います。DXをするには自由な発想や情報を共有する文化が大事です。社内にこもることなく、社外の様々な立場の人達、進んでいる会社、そうでもない会社の人達ともふれあい、意見や情報交換し、そしてお互いの情熱を後押しすることが大事です。そういった中から自由な発想や新しい試み、イノベーションが起きると思います。同一の組織の同質の考えを持った人たちが集まったところでイノベーションは生まれません。オープンなマインドがDXには必要です。


まとめ

というわけでまとめです。

DXにおける「頭文字D」とは、自分の会社の基幹システムが古いシステムだからとあきらめたりせずに(ハチロク)、ちゃんと現場や顧客を見て、逆にハンドルを切るくらい思い切って素早く対応し(ドリフト)、社外のいろんな人と関わりあう事によって(ライバルとの交流)進めていくものだという事です。

あくまでも私の勝手な妄想ですが・・・・




たぶん正解はこれです

Dizitization(デジタイゼーション):アナログをデジタルに替える

Dizitalaizetion(デジタライゼーション):デジタルをビジネスに活用

Dijital Transformaition(DX):デジタルでビジネスそのものを変革

イニシャルはDですね


これからはDXではなく頭文字Dです。



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