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RPAはDXで救済される

この記事はのGYOMUハック/業務ハック Advent Calendar 202012月23日の記事として書いています。思いついちゃったので書きました



アドベントカレンダーといえばクリスマスに向けて毎日ひとつずつお菓子をあけていくという非常に楽しいイベントですが、今日はネタがない事もあり、最初はす~~~~~~~~~~んごく重いネタからはじめたいと思います。ただ、最後は希望のある結論になっていますので、可能であればさいごまでお読みくださればと思います。

なお後半は株式会社レッドジャーニー代表であり、現在は日本政府のCIO補佐官も務めている市⾕聡啓さんの話から引用しています。市谷さんの著書「カイゼン・ジャーニー」はRPAに関わる人達にもとても有益なので興味があればぜひ読んでください。


プロローグ

思い浮かべてください・・・ここは戦場です。激しい戦闘はいったん収まりあたりは静かで荒涼とした雰囲気の中に包まれています。その中でまともな道具もない状況でひたすら穴を掘らされているたくさんの捕虜の姿。捕虜から少し離れたところには銃を持った兵士たちの姿があります。少し離れたところにしっかりと設置された大型の機関銃には弾帯が装着されていていつでも撃てるようになっています。穴の横には人を縛り付けるための杭も立てられています。そんな絶望的な周囲の状況の中、捕虜たちは穴をひたすら掘り続けさせられています。そして穴の深さが人の背丈くらいに到達したところで、指揮官らしい兵士が作業を停めさせました。・・・・いよいよ・・・・

RPA黎明期の違和感

RPAというものが世の中に急速に認知され始めたのは2017年のなかばくらいでしょうか。IT系の雑誌なんかで大きな企業における導入事例とその効果取り上げられて「工数削減」「人員削減」の切り札としての期待があおられ続けました。「何万何千時間の工数削減を達成」みたいな言葉がブームをさらにあおっていた記憶があります。当時の導入の方法と言えば大手のSIerが手掛けた大型のプロジェクトが中心で、現場主導ではなくトップ主導で一方的に進められていました。RPAというものは通常のITシステムよりも細かいレベルでの業務の分析が必要となります。現場の人たちがそれを詳しく説明しないとロボットを作れません。現場の人達の多大なる協力が必須なのです。

・・・・・RPA導入の目的がもし「人員削減」だったとしたら、協力をした現場の人はまるで「銃殺した死体を埋める穴を掘る捕虜」のようです。今考えても嫌な光景です。


DXの本質

・・・・ここで話を大きく変えます。ここのところRPACommunityでも話題になることが多い言葉のひとつに「DX」があります。この言葉はスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が2004年に提唱した概念で「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」というものです。いまはいろいろ解釈がされてDXという言葉が混乱していますが、最初に紹介した市谷さんがこう定義しています。

「顧客の体験を変える新たな価値を生み出し続けられるようにすること」

ここではDXは「価値を継続して生み出す状態」であり「価値そのもの」ではないと定義されています。DXが求める結果はデジタル化の成果そのものではなく、デジタルで成果を生む組織そのものなのです。・・・ですからRPAを使って自動化をしてリストラして誰も居なくなった・・・はDXでは決してないのです。人員を再配置して・・・とか言うのかもしれませんが、経理という仕事が好きな人を無理やり営業に転換するのは、残念ながら人材の有効活用ではない気がします。


RPAがDXに変質する

最近になってRPA導入の「目的」は大きく変わってきています。ディップさんのRPA導入からDXに繋いでいた事例やDX企業として有名なフジテックさんのRPA導入など、単なる工数削減や人員削減のためのRPA導入から働く現場が自らカイゼンし続けてより良い成果を生み出せる取り組みにシフトしてきています。現に初期にRPAを導入した銀行さんもトップダウンの画一的なRPA導入から、それぞれの現場にあった複数のRPAを使用し、現場主導で導入するようになってきています。RPAという道具がDXという活躍する場所を経て、その存在を大きく変えてきている気がします。道具としての仕組みそのものは全く変わっていないのですけどね・・・。


そしてRPAはDXに救われる

明らかにRPAをとりまく流れは変わってきています。

かつては見え隠れしていた「人を殺す」道具の側面が消えてきて、いまは関わる人たちを成長させて「人を生かす」道具の側面がどんどん強くなっている気がします。これはRPAというものに関わる数多くの人たちの想いとか、様々な行動や活動がそうさせている結果だと思います。もちろんその一端をRPACommunityも背負ってきたものと思います。ほんの少しずつの変化だったかもしれませんが、確実に世の中の流れは変わってきています。

いまはこんな豊かな生活を我々にもたらしている自動車だって使い方を間違えたら人を殺す殺人マシーンに変わる・・・というのは具体的な例を上げなくてもわかると思います。これはどんな道具にも共通の事で、RPAだって充分にそういうダークサイドは絶対に存在します。・・・というか少しダークサイドに落ちそうになってました。

そこから、RPAを救うのがDXという言葉だと思います。DXが「価値を生み出し続けられるようにする」という事であれば、そこにある光景とは自ら頭と手を使って(人の力を借りてもいいけど)自らの仕事を改善し続ける組織の姿とその傍らで活躍するRPAツールのなのではないでしょうか。



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