<店づくり>費用と手法、利益の作り方。

『ものづくり+まちづくり』を実践する名古屋市中村区・新大門商店街のソイロ松本啓太です。

ここ数か月のソイロをとりまく環境変化について、共有をしたいと思います。設計・デザインをする方、お店の施工業者、そして、お店を始める事業者、と全方位に読んで頂きたいところです。

留まるところを知らない、工事費の高騰。

日本全体が物価高なのは消費者としても実感があります。コストプッシュによって、物の値段は上がり続けており、今のところ落ち着く気配がありません。建築資材も漏れなくその対象となっています。物の値段が上がると同時に、職人の人手不足のあって人件費も上がっていく。本年の初任給の高さが新聞など各メディアで取り上げられるほどの注目を集めています。

資材は高騰&人件費も高水準ならば、今までの感覚で設計をしても数年前の施工費に同じになる訳がない。ソイロが関わる規模のお店においても体感上は1.5倍くらいの工事費用になっています。

だからと言って、事業者の売上(もっと言えば利益)は1.5倍になっていません。殆どの方が賛同する筈です。ここに費用と開業費のアンバランスが拡大していく原因があります。

開業費と、手法と、利益。

真っ先に思いつくのは「いかに開業費を安く抑えるか?」です。これは100%正しい。経費が低ければ、利益は増えるもの。開業費が借入だとすれば毎月の返済額を小さく抑えられます。

その観点で、内装工事を考えると出てくる答えが「施主のDIY」です。
この施主DIYのメリット・デメリットについては、以前書いた記事もご参照ください。

でも、安くお店を作るならDIYしかない!と言い切るのは少々乱暴です。なぜなら『経費が最小だと、利益が最大になるか?』と言われるとちょっと違いますよね。

それでは、下記の画像をご覧ください。

縦軸に利益。そして、横軸に費用(開業費)とします。
事業の目的の一つとして『利益の最大化』を考えるとDIYの限界は勿論あります。プロに頼むべきお仕事はあるはずです。
ここの見極めが最重要だと思います。
逆に、施工業者はDIY以上の仕事をしなければ「プロとしての価値が提供できていない」と言っていい。プロへ発注する意味として、施主が時間をお金で買う側面もありますが、やはり素人DIYレベルの仕事では到底対価はいただけないと考えます。(自分で書いていて、耳が痛い笑)

そして、もう一点、大切な事。それは「過剰投資」です。

夢を叶えたいから、過剰になりがち。

お店づくりは、ある意味で「夢の実現」の第一歩です。あれも!これも!と夢と費用は膨らんでいき、どう見ても損益上に問題となる投資額に増えがちです。したがって、冒頭の「経費は安いに限る」というのは正しいと思います。

この画像で言いたいの、ブルーゾーンのピーク部分をどうやって狙うか?です。
『このピークを越えるようなことになっていないか?』
『必要以上にDIYにコダワリ過ぎていないか?』
と言う話になります。

あくまでも、これは概念図。実際の業態、立地、改装する物件の程度などによって大きく変わります。ですが、こうした意識で持って店づくりに臨んでますか?と言う投げかけでもあります。

設計であれば、顧客要望を叶えつつも、顧客や施工業者だけでは作れない計画とデザインが達成できているのか?

施工者であれば、クラフトマンシップ溢れる仕上げを適切にお店に投影できているか?

事業者は、利益を最大化するためにも、お店づくりを「誰と、どうやって、やるのか?」を考えているのか?

ソイロの向かうべき、改装手法。

最後に、今後ソイロが向かうべき方向についてサラッと触れます。
通常、業者はオレンジゾーンの過剰投資に誘導しがちです。なぜなら、売上は大きくなるからです。
このオレンジゾーンをできるだけ排除し、ソイロが関わる場合は、ブルーゾーンのトップを目指します。
でも、予算は事業者さんによってマチマチ。イエローゾーンのDIYで済ませるしかない場合もあります。そんな時には、ちょっとしたDIYのコツや資材を提供する、あるいは、工房を使ってもらうなどのサポートができると良いかと考えています。

これから先のソイロの活動にご注目頂ければ幸いです。

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