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Keisuke Shimakage

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# 211_“現実”の自給自足展

走馬灯 会期・場所 宣言文 感染対策 催し ふりかえりテキストver2+i 関係者 関連リンク

# 100_『FabBiotope1.0→2.0』

目次 # 101_FabBiotope2.0、はじまります # 102_本連載の概要 # 103_変わることを変えない # 104_「当時者兼つくり手」の定義について教えてください # 105_多様性の発明  # 106_なぜ対象が弱視者なのですか? # 107_FabBiotope2.0に参加する弱視者は、どのような実践をするのですか? # 108_これからのインクルーシブデザイン # 109_FabBiotope2,0の参加者がつくる「手触りのある経済圏」について教えて

# 101_FabBiotope2.0、はじまります

 はじめまして、島影圭佑と申します。ここでは、私たちの活動を紹介させていただきながら、これから私たちが手がけていきたいプロジェクト、FabBiotope2.0の参加者を募りたいと考えています。まず、私たちは今まで弱視者の方と共に、文字を代わりに読み上げるメガネ、OTON GLASSの開発を行ってきました。しかし、医療福祉の現場と開発の現場を行き来しながら活動する過程で、ただ単純に支援機器を広めることが、真の課題にアプローチする方法なのか疑問を感じ始めていました。  そこで、2

# 102_本連載の概要

 本連載における主要なコンテンツは映像です。また、FabBiotope2.0というプロジェクトに対するQ&Aの文章です。映像は、2019年夏に東京都美術館で開催されたTURNフェス5[1]に出展作家として参加させていただき、我々の展示空間内で実施した五つのトークを三十分×二回の計十話に編集したものです。当時の記録をふりかえると、その空間はある種の舞台に見えてきます。その舞台美術を、空間を扱う小林空が。そこで特殊な状況を立ち上げることを、ある意味で劇作家的に私、島影圭佑が。そし

# 103_変わることを変えない

 本映像は、TURNを運営されている森司さんと畑まりあさんをお招きして、TURNフェス5全体をふりかえるとともに、TURNの基盤となっているアートプロジェクトとしての実践、その考え方についてお話を伺ったときの記録映像です。  また、司会は私に加えてTURNフェス5における、我々の展示空間づくりを担当した小林空に入ってもらっています。しかし、本会においては私と小林とで、森さんと畑さんに質問させていただきお話を伺う予定が、冒頭、森さんからの鋭い質問が私に投げかけられ続けます。そ

# 104_「当時者兼つくり手」の定義について教えてください

 当事者に関して言えば、なんらかの問題を自分に直接的に関係することとして捉えている人であり、かつ、つくり手であるというのは、その問題に対してつくるという行為を通じて寄り添っている人と定義しています。つまり、一般に言う「当事者」や「つくり手」の定義とは異なる「当事者兼つくり手」という対になって成立する造語、独自の定義された言葉です。  そして、その当時者兼つくり手という見方において、FabBiotope2.0で募集する弱視者の方とエンジニアの方は、いずれも当事者でありつくり手で

# 105_多様性の発明

 本映像は、OTON GLASSを再発明したつくり手である弱視者とエンジニア、その三組のペアがそれぞれの再発明をプレゼンテーションしディスカッションを行った際の記録映像です。  一組目はエンジニアの野澤幸男さんです。野澤さんは三才で全盲になり十才から音声読み上げソフトなどを使ってプログラミングを始めました。現在も自作のゲームを開発し自身のウェブサイトで公開したり、アクセシビリティに関する開発などを実践されています。本回では、野澤さんが再発明したOTON GLASSの紹介を皮切

# 106_なぜ対象が弱視者なのですか?

 弱視者の方、また、その方たちを囲む眼科医療福祉従事者の方たちと本格的に出会い始めたのは、とある美術館にてOTON GLASSの展覧会を開催したときでした。  もともとOTON GLASSは、私の父の失読症をきっかけに仲間と共に開発を始めたのが最初でした。父のため、というのはもちろんあったのですが、それ以上に自分のため、自らの身内が文字を読めないという特異な状態になって、その自分ではどうしようもできない問題に寄り添う、それについてどうすればいいのか考え続ける方法として、つくる

# 107_FabBiotope2.0に参加する弱視者は、どのような実践をするのですか?

 今回、FabBiotope2.0に参加いただきたいと考えている弱視者の方は「自らの生き方をつくられている方」です。方法は異なるのですが、それぞれの工夫によって自らの居場所をつくる、働き方をつくる、生き方をつくる、ということを実践されている方です。  例えば、既に民主化されている支援技術を組み合わせ、自らが一人でできることを増やしていくことで自らの仕事をつくる、勤め先の人と話し合い自らの居場所をつくる。例えば、自らが具体的な作業をするのではなく、協働する仲間との対話によってプ

# 108_これからのインクルーシブデザイン

 本映像は、多様な人々を包括してクリエイションを実践するプロジェクトを手掛けるライラ・カセムさんをお招きして、お話を伺った際の記録映像です。ライラさんはTURNのプロジェクトデザイナーとしてTURNフェス5の運営にも関わり、その他にも様々なインクルーシブデザインに関するプロジェクトを手がけられています。  ファッションデザインやデザインリサーチを専門とする川崎和也さんが編集された『SPECULATIONS—人間中心主義のデザインをこえて』が2019年に刊行され、こちらのダイ

# 109_FabBiotope2.0の参加者がつくる「手触りのある経済圏」について教えてください

 FabBiotope2.0の参加者の方は、プロジェクトの中で、我々運営チームが準備した方法論を使っていただくことを想定しています。また、その実践の過程で、参加者の方、独自の方法論が導かれることを想定しています。それら生み出された方法論を中心とした知を、似た課題感を持つ人に書籍や映画、また、それらのウェブ上での連載という形を取って流通させていきます。また同様に、プロジェクトの参加者同士で協働して生まれた発明や、その協働のための方法論も流通させていきます。運営チームでは、実

# 110_多様性と機械学習

 本映像は、情報工学系の研究者、とりわけヒューマン・コンピュータ・インタラクションや機械学習を専門とした方と、科学技術社会論を専門とした方をお招きして、お話を伺った際の記録映像です。  お一人目は大学で教員をされている情報工学系の研究者であります菅野裕介さん。 お二人目は民間企業の研究所で研究員をされていて、ご専門は科学技術社会論の中尾悠里さんです。 お二人とも多様性と機械学習をテーマとしたプロジェクトJST CREST xDiversityのメンバーであられまして、私も

# 111_なぜ対象がエンジニアなのですか?

 端的には、実質、エンジニアが私たちが生きる新しい社会をつくっている当人であるからです。もちろん当たり前ですが、あらゆるすべての人工物をエンジニアがつくっているわけではありません。ですが、私たちが今生きている時代の社会システムとエンジニアリング、とりわけ情報技術というのはとても相性がよい。いわゆる世界が変わった、社会が変わったというときに、情報技術がそのテコのような存在になっている場合が少なくありません。社会を形づくる、もう一層目の地層のようなものをテクノロジーが担っている。

# 112_FabBiotope2.0に参加するエンジニアは、どのような実践をするのですか?

 今回、FabBiotope2.0に参加いただきたいと考えているエンジニアの方は「真に生きるため、あるいは死なないためにエンジニアリングを実践されている方」です。誰に頼まれているわけでもなく、つくり続けている何かがある。そのつくる行為によって自らにとっての現実が生起する。私的で詩的なエンジニアリングと言ってもいいかもしれません。そういったことを実践されている方を募集致します。  プロジェクト参加後は、まず誰に頼まれているわけでもないのだけどなにかつくり続けているものや、過去に