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# 101_FabBiotope2.0、はじまります


 はじめまして、島影圭佑と申します。ここでは、私たちの活動を紹介させていただきながら、これから私たちが手がけていきたいプロジェクト、FabBiotope2.0の参加者を募りたいと考えています。まず、私たちは今まで弱視者の方と共に、文字を代わりに読み上げるメガネ、OTON GLASSの開発を行ってきました。しかし、医療福祉の現場と開発の現場を行き来しながら活動する過程で、ただ単純に支援機器を広めることが、真の課題にアプローチする方法なのか疑問を感じ始めていました。
 そこで、2019年に発表したのがFabBiotopeというプロジェクトです。私なりの定義で簡単に説明してしまうと、Fabとは真に生きるためにつくること、Biotopeとは小さな生態系を指します。つまり、FabBiotopeとは真に生きるためにつくる、そのつくり手によって構成される小さな生態系のことです。その具体的な実践として、弱視の建築家の方や全盲のプログラマーの方と、エンジニアの方が協働してOTON GLASSを再発明するという試みを実施しました。この試みをFabBiotope1.0とし、引き続きFabBiotope2.0として発明をし続けるラボやアトリエのような活動を実践していきたいと思っています。
 ここで募集するのは、つくり手である弱視の方、自らが真に生きるためのつくる行為としてエンジニアリングを実践しているエンジニアの方です。ある意味でFabBiotopeを舞台と見立てて、出演者としての参加者として、その方たちを招き入れたい。そこで、参加者個々人が持つ自立のための方法論を抽出したい。そこから、自立した参加者同士で協働し発明を実践したい。プロジェクトの過程で生まれる方法論を中心とした知を流通可能な形にし、近い課題感を持つ人に届けていく。分かりやすくは、そのプロジェクトの過程をドキュメンタリーの映画にし、新たな弱視者像を、新たなエンジニア像を表象する。プロジェクトを通じて生まれた知を書籍の形にする。映像や文章でウェブ上の連載にする。また同時に、そのコンテンツの読者が参加者に対して、直接、価値を循環させることができる回路を開き、参加者の小さな経済圏を形成していく。
 このFabBiotopeのプロジェクトの実践を積み重ねていくことで、弱視者もエンジニアもいずれも「当事者兼つくり手」として生きていく人が増えていくのではないかと考えています。当事者兼つくり手として自立する。その自立した個同士が、つくるというコミュニケーションを通じて協働する。その先に、創造的な共生というのがあるのではないか。そのような自立や共生によって立ち上がる新たな社会像において、今まで存在しないとされていた個別性や多様性が、ありのまま在るということがありえるのではないか。多様性の発明というのがありえるのではないかと考えています。そして、それこそが真に私たちが取り組むべき課題なのではないかと考えています。
 本連載にお付き合いいただきながら、本プロジェクトに参加したいと思われた方は、ぜひこちらのフォームからご応募をお願い致します。

 本連載では、どのような方に本プロジェクトに参加いただきたいか、より想像しやすくするために、2019年に実施したFabBiotope1.0のコンテンツを展開していきます。具体的には、プロジェクトに参加した方々とのトークや、私たちと協働しているクリエイター、研究者、キュレーター、当事者の家族などとのトークの映像を、全十話のシリーズものとして制作しました。それを段階的に公開していきたいと考えています。加えて、FabBiotope2.0に関するQ&Aの文章も段階的に公開していきます。では、FabBiotope2.0はじまります!

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Keisuke Shimakage

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