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少しずつ、仲間を集める

2023年8月6日(日)晴れ時々雨

9時起床。午前中はMUBIで映画を観た。Anders Emblem監督の「a human position」というノルウェーの作品。何ヶ月か前に一度観ているのだが、とても好きで今必要だと思ったのでもう一度観た。捨てられている椅子や空になった住居のベッドなど、誰かがいた形跡が映し出される映像に、不在や過去に起きたことを想像させられる。主人公のAstaの目が印象的で、遠くを見つめているよう。彼女自身に起きた出来事をその目でちゃんと見てきたのだろうなあと感じた。そういう過ぎ去った時間を宿しているような深い目をした人はとても魅力的だ。

午後は稽古の準備。通っている演技のワークショップで、3ヶ月ほどは演じる側として参加していたが、シーン稽古のときは見る側に戻って、使うシーンを書かせてもらっている。準備が出来ているのか出来ていないのか実感がなかなか得られないまま、少し焦りながら台本を読み込み、シーンをどう作っていくかの段取りを考える。参加している俳優の方たちにとっても久しぶりのシーン稽古になるので、全員にとってちゃんと発見がある機会にしたいし、最終的には作品づくりに繋げたい。

17時半くらいに家を出て、下北沢へ向かう電車へ。電車内でも座れたので準備をしていたら、稽古のグループにLINE。急遽来られない方が何人か出て、用意していたシーンをやるのが難しくなってしまった。周りで他にも風邪を引いている人がいて、夏風邪流行っているのかなと思う。私の場合風邪を引くとすぐに喉にきて扁桃炎になってしまうので、これから長めの地方撮影もあるしどうにか避けたいところ。

下北沢に着いて吉野家でねぎ玉牛丼を15分くらいで食べた。稽古の前は大体いつも時間がなく、安さもあってここで食べるのだが、とりあえず腹ごしらえをしている感が強い。ねぎ玉牛丼は結構好きで美味しいけれど、本音はもう少し丁寧に食事をしたい。同じ価格帯や時間で食べられるもので、他にうどんやそばもあるけれど、なんだか結局いつも米が食べたくなる。

稽古は用意していたシーンは出来なかったものの、元々私が参加する前からここのワークショップで使っていた抜粋台本を、設定や役同士の関係性などを決めてシーン化してやってみるということはできた。指導してくれている石原さんの声かけを聞きながら、自分はまだまだ分かっていないことがたくさんあると実感した。今日このような形で図らずとも、石原さんの導き方を見ることが出来てよかったのかもしれない。

終わった後、石原さんと0時近くまで話した。台本を書いている時点でどうしても、私は演じてもらう俳優の身体性や個人としての存在を無視してキャラクターを作ることができないという話をした。架空のキャラクターを本の上で作っても、その人物の存在がピンとこない。私にとって目の前の俳優が演じるということが重要で、その人に起因していないキャラクターには正直あまり興味がもてない。これは個性かもしれないけれど、どちらからというと弱さのような気がする。

やっぱり私自身の中では日常生活と、表現の場での自分は分かち難いということ。そのことはプロフェッショナル(職業的)ではないけれど、私はそう感じているということを素直に伝えられたような気がする。石原さんも、その人がどう生きているかが演技に出る部分があると思うと言っていて、完全に一緒ではもちろんないけれど、考えが共通している部分もあるなと思った。私がやってみたい映画の作り方を伝えると、手伝えることがあればぜひと言ってくれた。時間をかけて丁寧に話せば、こうやって協力してくれる人が少しずつ集まるのかもしれないと嬉しかった。


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