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理不尽な離婚請求に負けない~コラム③~離婚するには理由がいる?法定離婚事由について

前回のコラム②で、理不尽な離婚請求を受けた場合、相手方に離婚理由を聞くことを私は勧めていました。

ここで離婚理由について考えてみたいと思います。

まず、離婚の種類ですが、協議離婚(当事者間での話し合い。もちろん代理人として弁護士を立てることも可能。)→調停離婚(家庭裁判所で調停委員と裁判官が当事者間の話し合いを仲介)→審判離婚(まれにあるケース。)→裁判離婚(離婚訴訟を裁判所に提起し、裁判所の判決によって離婚が成立。)があります。離婚協議から始まり、まとまらない場合は調停、裁判の順に移行していきます。

実に9割近くが、協議離婚で終了します。家庭裁判所のお世話になる調停離婚以降のステージに上がるのは、離婚全体の約1割です。さらに、裁判離婚のステージに上がるのは、離婚全体の約1%だそうです。

調停離婚までは、当事者同士が合意さえすれば、これといった離婚理由がなくても離婚は成立します。しかし、裁判離婚になると相手方に法定離婚事由(民法770条に規定)がないと、離婚することができません。

民法が定める法定離婚事由は次の5項目です。

(裁判上の離婚)

第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。


詳しくは他の離婚サイトでたくさん説明されていますので、ここでは簡単に説明します。1号はいわゆる「不倫」です。2号の悪意の遺棄ですが、夫婦の義務を放棄することです。民法752条で定められた「同居義務」、「協力義務」、「扶助義務」をわかっていながら放棄することです。同居義務の放棄とは、理由もないのに別居するなどの事で、扶助義務の放棄とは、配偶者に生活費を支払わない事などが挙げられます。3号、4号については、あまり例はないのではないでしょうか?5号については、1号から4号と同等レベルの事由で、長期間(例えば5年以上)の別居生活をしている、DVやモラハラがある等が挙げられます。

裁判離婚においては、これら法定離婚事由を裁判所が認めない限り、離婚は認められません。逆を言えば、これら法定離婚事由がない場合、離婚に応じる必要はないということです。

ということは、離婚理由が問われることのない協議離婚や調停離婚においても、上記法定離婚事由がない場合、離婚に応じる必要はないとも言えます。だからこそ、相手方から理不尽な離婚請求をされたと思ったら、相手方に離婚理由を問いただす事をお勧めします。それも出来るだけ、文書での提出を求めるとよいと思います。そうすることで、離婚が避けられない状況であっても、こちら側に有利な離婚条件を引き出すことができる可能性が高まります。

ただし、この方法では当然、離婚成立までに時間がかかるので、相手方に子供たちを連れ去られているような場合、子供たちとの面会交流が早期に実現しない等のデメリットもあるので注意が必要です。私の場合も、子供たちと最初の面会交流を実現できたのは、子供たちが連れ去られてから11か月も経過してからでした。また、相手方から婚姻費用(離婚成立まで支払う相手方と子供たちの生活費のことで、離婚成立後に子供たちの生活費として支払う養育費より高い。婚姻費用は「子供達の生活費+相手方の生活費」なので、養育費よりも高くなる。)を請求されている場合も離婚成立が長引けば、婚姻費用を支払う期間が長くなってしまいますので注意が必要です。

長期戦にはなりますが、落ち着いて相手方と対峙することで、より有利な離婚条件を勝ち取ることができるケースが多いと思います。

次回のコラムでは、親権についてお話ししようと思います。よろしくお願い致します。

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