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「半径2メートル」に集中すれば、未来はコントロールできる-『エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」』

  • 新規事業やスタートアップの起業に取り組んでいるけれど「どこから手を付けていいのか分からない」や「予想外のことばかり起こる」

  • 「新しいことをやりたいけど、なかなか行動に踏み出せない」

という悩みや不安。チャレンジ心旺盛なボクたちにとって「あるある」なのではないでしょうか。

ここで紹介する「エフェクチュエーション」という考え方は、こんな問題を乗り越えるためのヒントになるかもしれません。

今回は「エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する5つの原則」(吉田満梨/ダイヤモンド社)について紹介します。


そもそも「エフェクチュエーション」って?

「エフェクチュエーション」という言葉、初めて聞く方も多いかと思います(ボクも去年、MBAの講義で初めて知りました)。

簡単に言うと、

「熟練した起業家の意思決定実験から導かれた、高い不確実性に対して予測よりもコントロールを優先する思考様式」

となります。

この理論は、サラス・サラスバシー教授(ヴァージニア大学ダーデンスクール)が、「不確実性の高い環境での問題解決の手法」として提唱したものです。

エフェクチュエーションの5つの原則とは?

エフェクチュエーションでは、優れた起業家に共通すると言われる5つの原則を提唱しています。

引用元 https://diamond.jp/articles/-/328597

■①手中の鳥の原則(Bird-in-Hand Principle):

この原則は、手元にある資源(知識、技能、人脈など)を最大限に活用せよという考え方です。

いわく、「あなたが手にしている一羽の鳥は、姿の見えない多くの鳥よりも価値がある」。

「私は誰か?」「私は何を持っているのか?」「私は誰を知っているか?」という問いから出発し、そこから糸口を見つける心構えです。

■②許容可能な損失の原則(Affordable Loss Principle):

熟練した起業家は、命がけのジャンプはしません。

起業家は新しい事業やプロジェクトに投資する際に、最大でどれだけの損失を許容できるかを考慮します。

■③クレイジーキルトの原則(Crazy Quilt Principle):

不確実性の高い環境では、そもそも誰が顧客になるか?競合になるか?は分かりません。

そのため、顧客・競合ふくむ「ステークホルダー」に対して、積極的にパートナーシップを構築しよう、という考え方です。

■④レモネードの原則(Lemonade Principle):

予期せぬ出来事や偶然が発生したとき。それを機会として受け入れ、問題や障害を「チャンス」として捉え、それを利用して新しい価値を生み出そうという考え方です。

ちなみに「When life gives you lemons, make lemonade(人生にレモンを与えられたら、レモネードを作ればいい)」ということわざから命名されています。

■⑤飛行機のパイロットの原則(Pilot-in-the-Plane Principle):

未来に起こるだろう結果を予測したり、過去の成功・失敗に捉われるのではなく、まさに「いま・ここ」に集中して、望ましい結果を導こうという考え方です。

そして、これらの原則はそれぞれが単独で存在するのではなく、有機的に繋がっている考え方です。

不確実な状況では、「自分の半径2メートル」にまず集中する

「エフェクチュエーション」の本質をボクなりに表現すると、

  • 「不確実なことが多い状況(特にまったく新しいチャレンジ)では、自分の半径2メートルにまず集中することが大事」

  • 「未来は、予測するのではなく、コントロールするもの」

ということです。

そもそも「先行きがどうなるか分からない」という状況では、ゴールを見据えてそれに向かって最短距離で進むという、いわゆる経営戦略的なアプローチは困難です(エフェクチュエーションでは、従来の経営戦略的なアプローチを『コーゼーション』と呼びます)

そうではなく、不確実性が高い状況下においては「コントロール可能な範囲で、どう新しい行動を生み出していくか」という心構えが重要だと説いています。

単なるポジティブシンキングではない

特に、ボクが重要だと感じるのは「レモネードの原則(Lemonade Principle)」です。

この原則によれば、予期せぬ出来事や失敗に遭遇したとき、その状況を単に放棄するのではなく、新しい可能性として活用することが求められます。

具体的なステップは以下の通りです。

  • まず、予期せぬ事態に気づく。好ましくないと感じたとしても、それを無視しない

  • 同じ現実に対する見方を変える(リフレーミング)

  • 予期せぬ事態をきっかけに「手持ちの手段」を拡張する。それを自分のリソースとして活用する

  • 拡張した手持ちの手段(資源)を活用して、新たに「何ができるか」と考える

また、この「レモネードの原則」は、自己啓発でよく言われる「ポジティブシンキング」とは似て非なるものかと。

比較すると、

ポジティブシンキングでは、

  • 困難な状況でも、前向きな「態度」や「思考」を持つことを重視することが幸福に繋がる

と考えますが、

レモネードの原則は、

  • 困難や偶然性を受け入れ、どのように「実践的に活用」していくか?

に重点を置いています。

まとめ

ー優れた起業家に必要なこと。

それは、不確実性の高い状況に陥ったときには、無力感を感じたり、能動性を失うことなく、「自分を取り巻く半径2メートルの世界」にまず集中することです。

そして、そこから得られるフィードバック(失敗も含む)を手がかりにして、コントロールできる範囲を広げていくことが重要だと、ボクは理解しました。

また、エフェクチュエーションは、

  • 「キャリアプランニング」

  • 「人間関係」

  • 「プロジェクト管理」

  • 「教育」

など、不確実性を伴うようなさまざまなシーンでも使えそう!

エフェクチュエーションは、これからの世の中を渡っていくための行動指針にもなりそうです。

※ここから結構な分量の試し読みもできるみたいです!


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