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「なぜ、DXは失敗するのか?」の理由は「チェックリスト」にある



なぜ、DXは失敗するのか?

DXの取り組みをしてない企業はないと言えるほど、DX化は重要な課題です。しかし、ほとんどは失敗しています。このことは、皆さん周知のことで、今更言われても興味がないでしょう。

しかし、その失敗原因と対応策が「チェックリスト」にあるというのは新しい視点だし、盲点です。

なぜDXは失敗するのか?  「破壊的な変革」を成功に導く5段階モデル、トニー・サルダナ著、EYストラテジー・アンド・コンサルティング監修、小林啓倫訳、東洋経済新報社、2021

この名著を基に、現役のデータサイエンティストの経験から、このDXとチェックリストについて語っていきたいと思います。

この記事を読んで欲しい方

  • DXを推進するマネージャーやリーダーの方

  • DXに関わったり、DXを活用して仕事をされている方

  • データサイエンティストやデータエンジニア、アナリティクスエンジニアやシステムエンジニア

  • データ大好きな方

  • チェックリスト大好きな方

DXの定義とデータサイエンティストの存在

DXとは、本書の定義を採用すると

DX(Digital transformation)
第3次産業革命から第4次産業革命への企業および社会の移行。これは企業にとって、デジタル技術を新しい製品、サービス、運用方法、ビジネスモデルの基盤にすることを意味する。

なぜDXは失敗するのか?  「破壊的な変革」を成功に導く5段階モデル、トニー・サルダナ著、EYストラテジー・アンド・コンサルティング監修、小林啓倫訳、東洋経済新報社、2021

です。ちなみに、

【第3次産業革命】
電子技術の発展を背景に、1980年代に始まったパソコンとインターネットによる広範囲な変化

なぜDXは失敗するのか?  「破壊的な変革」を成功に導く5段階モデル、トニー・サルダナ著、EYストラテジー・アンド・コンサルティング監修、小林啓倫訳、東洋経済新報社、2021

【第4次産業革命】
今起きている、物理空間、デジタル、バイオ技術の融合。それを推進している主な要因は、巨大なコンピューティング能力を、無視できるほど小さいコストで利用できるようになったことだ(そのコストは現在も下落を続けている)。かつては物理的なものがデジタルになり(小売店での買い物がオンラインショッピングになったように)、伝統的な生物学的知識に基づいていて行われていたおのがバイオテクノロジー化されている(伝統医学が遺伝子治療になったように。)

なぜDXは失敗するのか?  「破壊的な変革」を成功に導く5段階モデル、トニー・サルダナ著、EYストラテジー・アンド・コンサルティング監修、小林啓倫訳、東洋経済新報社、2021

と定義されます。

まさしくその革命の架け橋がDXです。
データサイエンティストは、DXで得られたデータを基にモデルを作成します。このモデルは予測を行いビジネスに効果を与えます。
また、また、このモデルを使ってシステムエンジニアリングとともに、業務の自動化や最適化をすることもあります。

DX自体は大きな投資が必要なコストですが、そのリターンの大きな部分(モデル、予測、自動化、最適化)を担うのがデータサイエンティストです。

これらについての詳細については、本ブログの内容から外れるので別の機会で述べたいと思います。

データサイエンティストにとってはDXの企業は顧客であり、DXは仕事をする環境です。まさしく、DXの成功と失敗は職業的な生命線でもあります。
DXの失敗は、データサイエンティストの終焉でもあります。

データサイエンティストとして、日本のDXの最先端の複数の企業で仕事をした経験で言うと、DXは道半ばで混乱状態です。組織内のデータの大半は使いものにならず、データサイエンティストやデータエンジニア、アナリストエンジニアなどのデジタル関係の技術職が、日々、最優先のデータから必死に使える状態に持っていっている状態です。まだまだ使いたいけど使えないデータは多いです。

チームとしても試行錯誤をして、なんとかうまい方法を模索しているところです。そして、なんとかいくつかの成功パターンを得られ始めています。レビューの文化や業務フローの確立、意思決定ルールの策定などが起き始めています。

もちろん、DXはデータサイエンティストのためだけのものではなく、第4次産業革命に関わる全ての人のためのものです。これは、ほとんど現代に生きているすべての人のためのものと言えるでしょう。

DXに必要な規律

なぜDXが失敗するかという問いに対する驚くべき答えは、DXを軌道に乗せ、継続させる正しいステップを定義し、実行するための規律が欠けているからというものだ。

なぜDXは失敗するのか?  「破壊的な変革」を成功に導く5段階モデル、トニー・サルダナ著、EYストラテジー・アンド・コンサルティング監修、小林啓倫訳、東洋経済新報社、2021

先進的なDX企業でようやくDXが規律ができつつあるなかで、現場に立つ一員ととして、本書が規律を作り上げるためにチェックリストを活用することを主張したことについては、膝を打って納得した。まさしく、DX現場で必要とされているのは規律であり、チェックリストです。

DXの70パーセントが失敗する

なぜDXは失敗するのか?  「破壊的な変革」を成功に導く5段階モデル、トニー・サルダナ著、EYストラテジー・アンド・コンサルティング監修、小林啓倫訳、東洋経済新報社、2021

というなかで、

70パーセントという失敗率を改善するたえに、航空および医療の分野で効果が実証された、チェックリスト方式を適用することができる

なぜDXは失敗するのか?  「破壊的な変革」を成功に導く5段階モデル、トニー・サルダナ著、EYストラテジー・アンド・コンサルティング監修、小林啓倫訳、東洋経済新報社、2021

しかし、現代にチェックリストとは、、、と思った方も多いかもしれません。

長い時間をかけて高度な技術と知識を身につけた人たちからすれば、馬鹿馬鹿しく思えるかもしれない。そう、チェックリストだ。

アナタはなぜチェックリストを使わないのか? 重大な局面で”正しい決断”をする方法、アトゥール・ガワンデ、吉田竜、株式会社晋遊舎、2011

と、チェックリストは軽視されることもありそうです。

ただ、DXでの業務は複雑で、朝令暮改で、混沌としており、その中で、適切な品質のデータやモデルを生み出し、DXを推進させるには、チェックリストを用意して、それを日々チェックするのが最適だと考えています。

航空機が重大な事故が発生した場合、あるいは、複雑な医療行為が行われている場合、複雑な混沌の中で、求めれる適切な能力を発揮するために、チェックリストを一つ一つ確認していく愚直な行為こそがDXの推進力になります。

結論:チェックリストをつくろうぜ!

結論は簡単で「チェックリストをつくろうぜ!」になります。

時代はさらに複雑混沌になり、DXの推進要求は高まる中で、現在、唯一無二の実現可能な方法である「チェックリスト」こそ、DX推進の大きな力になるはずです。

私もデータサイエンティストとして、DX業務の様々なタスクで、チェックリストを作成し、活用し、 DXチームによる生産力の向上と品質の向上を目指していきたいと思います。

みなさんはいかが考えましたか?





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