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中国の消費者調査のやり方

中国に進出されようとしている企業や、すでに進出をしている企業は今後増えていくことは間違いありません。中国の13億人超の人口量は魅力的ですし、日本は今後人口減少に拍車がかかる中で、中国を攻略することは日系企業にとって重要な経営マターと言えるでしょう。

筆者は中国(上海)において、消費者調査会社に勤務しています。今後、中国での調査のやり方や注意すべき点などについて、noteでお伝えできればと思いますが、まずは中国で調査を行う場合何ができるのかをお伝えしてみようと思います。

基本的には日本と同じことができる

基本的に、日本でできる調査は中国でもできると考えていただいて大丈夫です。代表例を上げると以下のような消費者調査は実行可能です。

・オンラインアンケート調査
・オフラインアンケート調査
・Home Use Test(HUT)※自宅環境で製品を試用評価させる手法
・Central Location Test(CLT)※会場に来てもらい調査を行う手法
・オフラインインタビュー調査
・オンラインインタビュー調査
・家庭訪問調査
・有識者インタビュー調査
・デスクリサーチ(2次データ分析)
・ソーシャルリスニング※SNS分析

上記のように、日本でも行える手法の多くは中国でも実施可能です。

調査はどうやって頼めばいい?

調査を行う場合、自分たちで行うには少々無理があると思います。
特に中国調査の場合は調査会社を利用することを推奨します。
中国調査を実施する場合、以下のタイプの調査依頼先があることを抑えておきましょう。

・日系調査会社(Macromill、Intage、CrossMarketingなど)
・欧米系調査会社(Nielsen、IPSOS、Kantarなど)
・現地調査会社(CTRなど)
・その他(プロモーション会社、広告代理店)

日系調査会社の場合、日本語でやり取りができたり、報告分析も最初から日本語で記載をしてくれるなどのメリットがあります。
中国調査の場合、日本語の細かいニュアンスを正確に中国語に翻訳する技術が求められますが、日系調査会社はこのような細かい確認を行う際にもコミュニケーションが日本語と中国語で取れるため安心できます。

欧米系調査会社の場合、アンケート調査などは決まった形式の中で調査を行う場合が多くなります。そのため調査目的をしっかりと定めておくことが重要です。日系企業の場合、調査目的が広くなる傾向にあり、分析時に考えながら論点や仮説を立てていくケースが多いため、欧米系調査会社の形式化されたアンケート様式は向いていないことがほとんどです。
一方で、形式化されているため、コンセプト調査やパッケージ調査などでは
ノルムという基準値が設定されていることが多く、過去の調査結果を基準として自社のパフォーマンスがわかるという、メリットも存在します。

現地調査会社の場合、費用面でのメリットやスケジュールの柔軟性、そして現地を理解した調査提案などができることがメリットとなるでしょう。
しかし、言語の壁は存在するため、日本語で調査依頼をしたいとなった場合はやはり日系調査会社に依頼することが良いと考えられます。

もちろん調査会社に直接依頼をしなくても、代理店を経由して調査を実施することも可能です。その場合はもちろん費用が間を挟む分だけ高額になってしまいます。

調査会社選定のポイント

調査会社を選ぶ際のポイントは多数あると思いますが、以下を参考にして選んでいただければ問題ないと思います。

1. やり取りのスムーズさ(レスポンスの早さ、言語など)
2. リサーチ課題にあった手法を持っているか
3. コンサルティング内容
4. 費用とスケジュール
5. アフターサービス

1. やり取りのスムーズさ(レスポンスの早さ、言語など)

ここはビジネスの基本でもありますが、はやり調査を運用する上では、やり取りのスムーズさは重要です。皆様の意思決定をお手伝いするデータを提供している以上、ミスコミュニケーションが発生することは絶対にあってはならないことだと思います。そのため、ビジネス判断を遅らせないためにも素早いレスポンスや、言語の壁はチェックしておくべき項目でしょう。

2. リサーチ課題にあった手法を持っているか

これについては当然ですね。ただし、手法ありきになりすぎることは注意が必要です。中国ではやろうと思えば何でも出来ちゃいます。しかし、これが落とし穴だったりしますので注意してください。

例えば、通常のオンラインアンケート調査の場合50代以上の対象者は殆どと言っていいほど回収ができません。そのため、オフライン形式でアンケートを行うケースがほとんどです。しかし、オフラインアンケートはオンラインに比べて高額です。しかし、オンラインでもやろうと思えばできてしまうのが中国なんです。本当にその結果が信頼できるものかどうかは、詰めて確認をすべきですね。
※調査条件によっては実施可能な場合はもちろんあります。

3. コンサルティング内容

調査依頼を出した際に、簡単なヒアリングをされただけで、見積をもらうのはおすすめしません。調査会社は多くの企業の案件を運用しており多くの知見を持っています。そのため、皆様の状況を理解したうえで、適切な手法を提案できるはずです。また、本当にいま確認すべき内容がご依頼頂いた内容でよいのか、もっと他に確認をしたほうがいいべきことがないかなどの提案をする場合もあります。このようなコンサルティングはポイント1にもあったとおりコミュニケーションの一環として重要であるため、見積もりだけで判断するのは推奨しません。

4. 費用とスケジュール

これはについては説明は不要ですね。しっかりと明朗なお見積書と納期を守れる現実的なスケジュールを提出する会社を選びましょう

5. アフターサービス

調査が終わった直後はレポートの報告会などがあると思いますが、その後のアフターサービスにも注目をしましょう。例えば、調査を実施して3ヶ月後に新しい分析が必要となった場合、柔軟にその要望に応じてくれるかどうかも大切なポイントです。また、営業マンや窓口が調査後の調査結果活用状況についてヒアリングしてくれる調査会社であるかどうかなど、調査が終わった後もコミュニケーションを取れる調査会社と長くお付き合いをすることが良いと思います。

まとめ

異国の地で調査を実施するのは不安だと思います。だからこそ、しっかりとコミュニケーションが取れる会社と手を組むことをおすすめします。
調査会社と皆様はパートナーの関係性であるべきと私は思います。自分への自戒も込めてこの記事を書きました。パートナーになれるべく、信頼を築いていく仕事が引き続きできればと思います。

ご質問がある方はいつでも、ご連絡ください。

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明路市场调查(上海)有限公司
営業経理 長谷川恵介
k_hasegawa@macromill.com


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