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【経セミ・読者コメント vol.5】丸茂宗平さま(株式会社エコノミクスデザイン) 2024年4・5月号 特集「経済学で格差を読み解く」

はじめに(編集部より)

経済セミナー編集部です。
『経済セミナー』2024年4・5月号(特集:経済学で格差を読み解く)から読者モニターの皆様からのコメントを本格的にご紹介していきます! いただいたコメントの中から、批判的な考察や具体性のある議論などを含み、他の読者の皆様にとっても有益な内容と思われるものを3~4つほど選定し『経済セミナー』本誌や経セミnoteでご紹介させていただきます。

※頂戴したコメントは本誌やnoteで公開していないものも含めすべて拝見しております。コメントは今後の企画・制作の参考とさせていただいております。

もちろん、ご執筆者のご了解をいただいたうえで、掲載内容をご相談して進めています(記名でも匿名でもOKとさせていただいております)。

今回は丸茂宗平まるもしゅうへいさま(株式会社エコノミクスデザイン)のコメントをご紹介します!

エコノミクスデザイン様のXスペースにて最新号(6・7月号)をご紹介させていただきました! 聴き逃した方も音声アーカイブをお聞きいただけます。

【以下、コメントです👇】




弊社エコノミクスデザインは、経済学の学知を民間企業や行政機関に提供し、実社会・現実経済に点在する課題の解決を目的とした会社です。現在では、スタートアップから東証プライム市場上場企業、巨大な多国籍企業まで様々な企業にコンサルティングサービスを提供しています。

前回に引き続き、いくつかのトピックについて、ビジネス・社会との関係性に触れながらコメントさせていただければと思います。

認知しないと問題は解決できない

〇職業スキルと男女賃金格差/山口一男(p.43〜)より

本稿では、男女間賃金格差をSTEM(科学・技術・工学・数学)系の職種スキル「科学技術スキル」と「対人サービススキル」に焦点を当てて書かれています。男女の科学技術スキルの差が男女間賃金格差に繋がっているとのことです。最近では、フリマアプリの運営で知られる株式会社メルカリが2023年10月の会見で、同社の平均賃金に男女間で差が存在する原因を説明しました。その一つは、まさに経営層やエンジニア職など高い科学技術スキルを必要とする高報酬のポジションに男性が多く就いていることでした。同会見では、オファー年収そのものに男女間の差があることも賃金格差の原因として挙げられました[1]。これは本稿でも触れられている「女性に対する偏見意識を改革する」といった対策が男女間賃金格差の解消に繋がりうるという意見に説得力をもたせています。

[1]のリンクはこちら

男女間賃金格差を解消するには、まずは自社に存在する男女間賃金格差を認知し、その原因を明らかにすることが大事です。

現在、東京大学エコノミックコンサルティング株式会社が男女賃金格差診断ツール「GEM App」を提供していたり、東京大学の⼭⼝慎太郎教授が株式会社資生堂と共同でジェンダー平等への分析[2]を行っていたりするなど、男女間賃金格差解消のためには、ツールでの分析や研究者とのコラボなど多彩な取り組み方があります。

※「GEM App」はこちら↓

[2]のリンクはこちら↓

人的資本経営DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)に取り組もうとしている企業の皆さまは、まずは「自社に男女間賃金格差がないか」を簡単に分析してみることから始めてはいかがでしょうか。


経済の基本を学び、意思決定に活かす

〇はじめてのマクロ経済学/盛本圭一 マクロ経済学の事始め(p.56〜)より

ビジネスパーソンにとって、企業を取り巻く環境を把握することは重要です。しかし、単にニュースの見出しや、「こういうイベントがあった」「次はこういうことが起こるだろう」といった解説だけを見て、ビジネス環境を理解した気になってはいないでしょうか。1つ1つのニュースを個別の現象として捉えると、今後の流れを予測することは難しいでしょう。点と点のニュースを結びつけるメカニズムが背後に存在し、マクロ経済学はそのメカニズムを分析するためのツールとなります。

今回の連載は、初学者でも学びやすいように平易な言葉で解説されています。経済メカニズムを学ぶことで、いま何が起こっているかを結びつけて理解することができるので、ぜひこの機会にマクロ経済学を学び、日頃の意思決定に生かしてみてください。

歴史とメカニズムから学ぶ

〇どうする独裁者/浅古泰史・東島雅昌 独裁者に平穏なし──暗殺と粛清のスパイラル(p.101〜)より

「独裁」「暗殺」「粛清」といった言葉をビジネスの文脈で使用するには物騒かもしれませんが、ガバナンスの視点から考えると、有益な洞察を提供してくれるかもしれません。「独裁→ワンマン経営」、「暗殺→内部告発などによる排除」、「粛清→左遷・解雇」というふうにです。そういった目線で見つめてみると、ビジネスという観点でも本稿から得られる示唆は多くあるでしょう(*決して企業の経営陣の方々に「独裁」「暗殺」「粛清」を勧めるものではありません)。

本連載は、歴史を題材にしながらその背後にあるメカニズムを解き明かしていきます。歴史や過去の経験を経済学のモデルに当てはめて考えることができれば、特定の結果が生じた原因を理解しやすくなるものです。このような経済学的なアプローチを身に付けることで、日常生活やビジネスシーンで遭遇する様々な状況に対して、自身の行動がどのような結果を引き起こすのかをより鮮明に予測することが可能になります。経済学の教科書を読むのが難しいと感じる方でも、本連載を通して経済理論の実用的な側面を気軽に学ぶことができるでしょう。


読者の皆様からコメントをいただいた『経済セミナー』2024年4・5月号(特集:経済学で格差を読み解く)の詳細情報は、以下のリンクよりご覧いただけます!(電子版も発売中)

5/27(月)発売の2024年6・7月号はこちらから! 
「立ち読みする」をクリックしていただくと、今号の内容を少しだけご覧いただけます!

また、発売日にエコノミクスデザイン様のXスペースでの生配信にお邪魔させていただき、6・7月号の見どころや、おすすめ書籍の紹介をさせていただきました! 聴き逃した方も、以下のリンクから音声アーカイブをお聴きいただけます!

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