韓日経済フォーラム 潜入レポート!
■ 韓日経済フォーラムとは?
韓日経済フォーラムは日本経済学会、韓国経済学会、駐日本国大韓民国大使館が毎年共同で開催しているフォーラムです。テーマは毎年異なります。今回のフォーラムでは「人口減少及び少子高齢化」が取り上げられました。
■ プログラム(講演・PD部分のみ)
韓日経済フォーラムには、韓国・日本両国の経済学者が登壇します。今回、日本からは青木玲子先生、北尾早霧先生、横山泉先生、山口慎太郎先生の4名の経済学者がご登壇されました。
※以下敬称略
【 講演1 】
「日本における家族形成と技術進歩の長期的趨勢」
北尾早霧(東京大学教授)
【 講演2】
「人口の変化と韓国経済:展望と課題」
李澈義(ソウル大学教授)
【 パネル・ディスカッション 】
座長:青木玲子(日本経済学会副会長・公正取引委員会)
パネリスト:朴雄用(ソウル大学教授)、権挺賢(KDI研究委員)、崔炳鎰(韓国高等教育財団事務総長)、山口慎太郎(東京大学教授)、横山泉(一橋大学教授)
■ ご講演の様子
メインとなるご講演では、北尾先生と李先生に今回のフォーラムにおける議論の土台となるトピックをお話しいただきました。
特に、北尾先生のご講演の中で登場した "carrer-or-child" trade-off (女性の労働参加と家族形成とのトレードオフ)は、今回のフォーラム全体で重要なポイントであったように思われます。
実際、女性の労働参加については、その後のパネル・ディスカッションでも議論の焦点となりました。
※今回のご講演で紹介された北尾先生のご研究(Kitao and Nakakuni 2023)は、以下のリンクをご参照ください。
■ パネル・ディスカッション
パネル・ディスカッション(座長:青木玲子先生)では、今回のテーマに関連する研究成果などを各先生が紹介したのち、「人口減少及び少子高齢化」について闊達な議論がおこなわれました。
議論の詳細はここでは書きませんが、登壇された先生方のご紹介をさせていただきます。
■ 韓国語と日本語で議論
韓日経済フォーラムの特徴の1つに、両国の経済学者がそれぞれの母国語で議論を交わすという点があります。つまり、日本の先生は日本語で、韓国の先生は韓国語で話します。
国際的な学術会議では、共通言語として英語でコミュニケーションをとることが多いかと思います。ですが、韓日経済フォーラムではあくまで日本語・韓国語を使い、同時通訳を介して発表・議論をします。
両国の先生方が英語で議論しても問題ないわけですが、それぞれの先生が母国語でお話をすることによって、このフォーラムが「韓国と日本との間での知的な交流の場である」ことが伝わりました(少なくとも私はそう受け取りました)。また、すべて英語だと一般の方々にとってハードルが高くなるとも思われます。韓日経済フォーラムでは、両国の学術的な交流を広く一般の方にもご覧いただくために様々な配慮をしているのだろう、と想像した次第です。
■ おわりに
今回の韓日経済フォーラムは、韓国・日本の両国から家族・子育て・労働政策に関するエキスパートが登壇し、素晴らしい議論の場となりました。
しかもマクロ・ミクロ・社会保障政策など、各先生が異なる視点から今回のテーマを分析していたため、人口や少子高齢化の問題が多角的に議論された印象を持ちました。
実は、私は以前にも韓日経済フォーラムに参加したことがあります。その時は「人的資本」がテーマでしたが、今回と同じく韓日の経済学者が知見を存分に共有していたという印象を持っています。
来年の韓日経済フォーラムにもぜひ参加したいと思います!
■ 【おまけ】この用語、韓国語でなんて言う?
韓日経済フォーラムでよく登場する「韓国経済」なら、「韓国」한국(ハング)を足して한국경제(ハングキョンジェ)となります。학は「学」です。
「東京大学教授」なら、도쿄(トキョ、「東京」)をつけて도쿄대학교수(トキョテハクキョス)です。文頭に저는(チョヌン、「私は」)、文末に입니다(イムニダ、「~です」)をつければ、저는 도쿄대학 교수입니다.(チョヌントキョテハクキョスイムニダ、「私は東京大学教授です。」)となります。
※間違っていたらご指摘ください。
■ 新刊・関連書籍
経セミ最新号(2023年12・2024年1月号)はこちら!
【今回のフォーラムにご登壇された先生方による書籍もご紹介します!】
青木玲子先生が監訳を務めた『企業の経済学』はこちら!
山口慎太郎先生の『子育て支援の経済学』はこちら!
サポートに限らず、どんなリアクションでも大変ありがたく思います。リクエスト等々もぜひお送りいただけたら幸いです。本誌とあわあせて、今後もコンテンツ充実に努めて参りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。