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ライト級相互監視社会
近年コロナウイルスの影響で、就活においてオンライン説明会を行う企業が増えた。勿論、自分も21卒の学生であるため連日この説明会に臨んでいる。
オンライン説明会... イメージだと「ラクになったよね」という声があがるだろう。自分もそう思う側の人間であった。例えば、会社までの交通費がかからない点やスーツに着替えなくても良い点である。しかし、ある特定のオンライン説明会はかえってリアルの説明会よりも苦痛を強いられる、なんてこともある。それは、「相互カメラオン型の会社説明会」である。
オンライン説明会の形態は2種類ある。1つ目は会社側が一方的に話し続けるタイプである。この時、学生のログインは認識しているが顔は見えていない。これを「YouTube型」と呼ぶことにする。もう1つは就活生のカメラもオンにし、相互で顔と名前が識別できるタイプである。これが「相互カメラオン型」である。略称として、「カメラオン型」と呼ぶことにする。
YouTube型は、会社が就活生に対して一方的に説明し続けるだけなので、就活生の姿は一切会社側に映らない。自分も、興味無い会社だと分かった瞬間ベッドで寝転がった。もはやラジオである。ここでは会社→就活生という図式のみが成立しているため、相互でコミュニケーションが取られることは少ない。少なくとも、最後の方に質疑応答がある程度である。
一方カメラオン型は、会社と就活生が相互に監視することになる。就活生の姿が、本名と共にワイプにに映り続けるのである。多くのカメラオン型は、他の就活生の顔も映り続ける仕様になっている。そのため、必然的に自分の顔も他者の顔も見続けることになる。つまり、会社⇔就活生だけではなく就活生⇔就活生の図式も成立してしまっている。
これが苦痛であった。自宅に居続けるのにコンタクトレンズ着用とかワックスセットとか、そういう問題ではない。例えば、人がよくやる仕草である鼻を擦るとか髪を触るといった行為が全て晒されているのである。また、少々おかしな動きとなるために水を飲むのもなんとなく恥ずかしい。そして何よりあくびだ。説明会が退屈な内容だとすぐ眠くなるのだが、これがバレてはならない。何なら居眠りなどもってのほかである。そのおかげで、1時間でそこそこの疲労度になる。2時間となると気が抜ける。ここで、リアルの説明会のあるメリットに気づかされる。それは、"間"である。
リアルの説明会は、実のことを言うと隙だらけだ。水を飲むことだって特段おかしなことではないし、なんならあくびなどちょっと見えないようにする工夫だってできる。個人名が特定されない場面では、普通に居眠りしたことがある。また、他の就活生も半径5m以内でないと認識しない。我々は、知らず知らずのうちにこの"間"に助けられていたのだ。
ここにライト級の相互監視社会を感じた。確かに、ネットでは相互監視社会だなんていうのは早期から言われてはいた。しかし実感しにくいものだった。この本質が、意外と身近に感じられたのである。
これは、説明会のみに限定する話では無いと考えている。例えば、最近Zoom飲みが流行っている。相手の立場が上の場合、嫌だったとしても断る理由が見つからない。ちょっと言い訳苦しい展開になる。これもまた、ライト級相互監視社会の一端なのだろうか。
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