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新型コロナの死亡率ー「インフルエンザの10倍」で済むのか

はじめに

新型コロナウイルスは世界中で200万人近くの感染者数を出し、12万人近くの命を奪っているが、未だに分かっていないことが多い。今回の投稿では、新型コロナの死亡率について思うところを書いてみたいと思う

予めお断りしておきたいが、僕は医師ではないし、医学的な知識はない。従い、新型コロナに関して医学的に何かを断定的に言うことはできないし、言うつもりもない。ここで書かせて頂く内容はその前提でお読み頂けると幸いである。

死亡率は1.0%程度?

さて、新型コロナの死亡率である。一般的に言われているインフルエンザの死亡率は0.1%程度のようである。そして、アメリカの新型コロナ対策タスクフォースの主要メンバーの一人であるファウチ博士は「新型コロナの死亡率はこの10倍程度、つまり1.0%前後ではないか」とのコメントを出していた

これは事態が目まぐるしく展開する中でのコメントにて、新型コロナの死亡率が実際にこの通りであるかは分からない。とはいえ、各時点での感染者数と死亡数を基にした死亡率は当然計算できる

ただし、「正式な陽性判定を受けていないものの症状が出ていて自宅待機している人」「無症状の感染者」などが一定数いると思われることから、実際の死亡率は前述の計算から導かれる死亡率よりは低くなることが想定されるのである。これは素人でも一定の納得感がある。

死亡率が上がり続けるアメリカ

さて、これを踏まえて、アメリカの新型コロナの死亡率の推移を見てみよう。下の表をご覧頂きたい(3月10日~4月13日のデータ、出典:CDC)。

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当初、4%近辺であった死亡率はじわじわと下がっていき、3月22日に0.8%というここまでの最低値に至っている。これは、新型コロナの検査体制が整備されていったことに伴い検査数が徐々に増えていった結果であり、違和感がない。

注目すべきはここからである。

これ以降、1.0%程度の水準を維持していくのかと思いきや、死亡率は上昇に転じ、ほぼ一定のペースで上昇を続け、4月13日時点で4.0%というこれまでの最高値を叩き出しているのである。

医療崩壊?検査体制不備?

これはなぜなのか?

ぱっと思いつくのは、いわゆる医療崩壊が起こっていて、本来の状況であれば救えるはずの患者が死亡していることで、死亡率が必要以上に高まってしまっている可能性である。

これは本当なのか。

アメリカで最も感染者数が多く、かつ、集中しているのはニューヨーク州であるが、4月13日時点での感染者数は188,694名、死者数は10,056名なので、単純計算すると死亡率は5.3%である。たしかに全米平均の4.0%よりも高いが、べらぼうに高いわけではない

参考までにアメリカにおいていち早く外出禁止令を出し、結果として感染者数をかなり抑えられているカリフォルニア州のデータを見てみる。こちらは4月13日時点での感染者数は24,329名、死者数は725名なので、死亡率は3.0%である。

これはたしかに全米平均の4.0%よりも低いが、それでも1.0%は大幅に上回っている。4月13日時点でのカリフォルニア州の新型コロナによる入院患者数は約3,000名で、医療崩壊と呼ばれる状況にあるとはいいがたい。事実、先日は人工呼吸器500台を他の州に貸し出すことを発表したばかりである。

つまり、医療リソースには余裕があるにもかかわらず、そして、世界でも最高水準の医療環境が整っているにもかかわらず、死亡率は3.0%あるのだ。

検査が広く行われておらず、この死亡率を算出する際に使用している母数である感染者数が実態よりも少なくなっている可能性はないかと思い調べてみたが、カリフォルニア州ではこれまで約19万人が新型コロナの検査を受けている。これで感染者数が24,329名なのだから、陽性率は13%程度である。もちろん陽性と判定されていない感染者はいるだろうが、凄まじい数いるとは考えにくい。

実は新型コロナは想定よりも強い?

これらを総合して考えると、全米平均の死亡率4.0%という数字は、検査体制不備や医療崩壊などの”特殊事情”の影響を受けているものではなく、結構新型コロナの実態を正確に示している数字なのではないかという気がしてくる。

仮にこれが事実とすると、新型コロナは、死亡率0.1%と言われる通常のインフルエンザの10倍どころか、40倍の殺傷能力を有する強烈なウイルスであるということになる。

確定的なことは専門家の見解を待つとして、素人は感染者数のみならず死者数が極力増えないことを願いながら、動向を注視していきたい。


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