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能力の低い銀行員による事務検査に効果はあるのか?

金融機関における本部の事務検査は、銀行運営の効率性と信頼性を保証する上で、欠かせない業務の一つとされています。

ただ、この業務が必ずしも最適な成果をもたらしていると私は思いません。

本記事では、元銀行員の視点から「事務検査の効果」というテーマを掘り下げ、銀行における事務検査の現状と問題点について考察してみます。

事務検査の本質

銀行業務における本部の事務検査は、一見すると業務の透明性を高め、ミスや不正を防ぐための重要な役割を果たしているように見えます。

融資の承認プロセスや顧客情報の管理など、銀行業務のあらゆる面が含まれます。しかし、その実施方法に対して私は大きな疑問があります。

以下に理由を示します。


プロフェッショナルでない人材

多くの銀行では、事務検査は「銀行で使えない人」が割り当てられることが少なくありません。

つまり、業務に必要な深い知識やスキルが不足している人材が、事務検査の担当部署に配置されることを意味しています。

その結果、表面的なミスは検出できるかもしれませんが、複雑な不正行為や根本的な問題の特定には至らないケースが多々あります。

こうした状況は、事務検査の目的が本質的に損なわれていることを示唆しているのではないでしょうか。


事務検査の実状

効果的な事務検査を行うには、業務プロセスを深く理解し、緻密な分析能力を有する専門的な人材が必要だと考えます。

にもかかわらず、事務検査の部署に配置される多くの人材は、このようなスキルセットを持ち合わせていないのが現実です。

結果として、事務検査は形骸化し、単なる形式的なプロセスとなりがちです。このような状況は、銀行業務の効率性や信頼性を損ない、最終的には顧客サービスの質の低下にもつながります。


改善への提案

事務検査の効果を高めるためには、以下のような取り組みが考えられます。

教育と訓練
事務検査を担当する人材に対して、定期的な教育プログラムと訓練を提供し、専門的な知識とスキルの向上を図るべきです。検査員自身が業務プロセスを深く理解し、潜在的な問題を効率的に特定できるのが理想です。

技術の活用
最新のテクノロジーを活用して、事務検査を自動化することで、ヒューマンエラーを減少させ、効率化させるのも一案です。例えば、AIや機械学習を用いて、疑わしい取引を自動的に検出するシステム導入が考えられます。

組織文化の変革
事務検査を単なるルーチンワークではなく、銀行の安全性と信頼性を守るための重要な業務として位置付け直し、検査員のモチベーションと自負を高めることが重要です。事務検査の成果を正しく評価する風土が必要です。


結論

「プロフェッショナルでない人材による事務検査は効果が薄い」という私の問題提起は、銀行業界における深刻な問題の一端を示していると考えます。

ただ、これは改善の余地がないわけではありません。適切な教育と訓練、技術の活用、そして組織文化の変革を通じて、事務検査の質を根本から改善することは十分可能です。

事務検査改善の取り組みは、銀行業務の課題に対応する上で不可欠であり、最終的には顧客満足度の向上にも寄与するのではないでしょうか。

事務検査は、銀行で「使えない人」のための仕事ではなく、銀行の信頼性と安全性を守るための重要な業務であるべきです。この認識の変化こそ重要な取り組みです。

この記事が、銀行業界における事務検査のあり方を再考するきっかけとなり、業界全体の改善に向けた一歩となれば幸いです。

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