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世界を読み解く一冊の本

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「世界を読み解く一冊の本」シリーズの試し読みやスペシャルコンテンツを読むことができます。
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記事一覧

【試し読み】空海『三教指帰』 空海が稀代の専制君主にあてた憤懣(ふんまん)の書

2018年に刊行を開始した、古今東西の古典・新古典を、もっとおもしろく、深よみ・深ぼりするシリーズ 「世界を読み解く一冊の本」がこのたび完結しました🎉 シリーズの締めくくりは、ジョージ・オーウェルと空海の二冊。 ここでは、藤井淳『空海『三教指帰』――桓武天皇への必死の諫言』からプロローグの一部を公開します。 いまではお大師さんとして親しまれる真言宗の宗祖、空海(774―835年)ですが、若き頃は官僚を目指し学業に励んでいました。親戚からの期待を背負って、遷都されて間もない

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【試し読み】オーウェル『一九八四年』 ディストピアを生き抜くために

 ディストピアSF小説としてだけでなく、「英語で書かれた20世紀の小説ベスト100」や「史上最高の文学100」といった企画でも名前の挙がる、ジョージ・オーウェルの代表作『一九八四年』。1949年に刊行されて以降、その舞台設定となった1984年をはるかに超えた現在に至るまで、なぜこの小説は世界各国で読み継がれ、さまざまな創作物あるいはジャーナリズムに影響を与え続けているのでしょうか?  本書『オーウェル『一九八四年』――ディストピアを生き抜くために』では、本邦におけるオーウェ

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【試し読み】ボルヘス『伝奇集』迷宮の夢見る虎

 ブエノスアイレスが生んだ幻想小説の巨匠ホルヘ・ルイス・ボルヘス。  1944年に刊行された『伝奇集』(原題はFICCIONES)は20世紀文学の傑作として奇想奇譚を愛する読者を魅了しつづけています。  「バベルの図書館」「八岐の園」「死とコンパス」など17編の名作を収録したこの短編集は、夢と現実、虚構と現実が織り混ざり、謎や象徴や巧智がはりめぐらされたボルヘス世界の魅力がつまった作品です。 『伝奇集』の初版 ブエノスアイレスのスール社から1944年に刊行された。  読者

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【動画】ブックデザインを読み解く!デザイナー・岡部正裕さんインタビュー

書店や図書館に行くと、ついつい本を手に取ってみたくなります。カラフルな本、モノトーンな本、つるつるした紙の本、マットな手触りの本……本の中身を見る前から、「顔」ともいえる装丁を見ていろいろな印象を受け、いつの間にかその本を開いています。 そして読んだ後、「あーあの本ね、読んだことあるよ」と談笑する時、(内容をすっかり忘れていたとしても)どんな装丁をしていたか、きっと思い出しているのではないでしょうか。 本の一部であり、個性である装丁は、どんな風に作られているのでしょう。

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【試し読み】エーコ『薔薇の名前』 知の巨人が仕掛けた世界の断片とは?!

 記号論の大家ウンベルト・エーコによる大ベストセラー『薔薇の名前』。 そんな『薔薇の名前』に何度も挫折してしまう…。中世ヨーロッパの世界にリアリティがもてない…。本書『世界を読み解く一冊の本 エーコ『薔薇の名前——迷宮をめぐる〈はてしない物語〉』は、担当編集のそんな悩みから始まったものでした。険しい山道を登るには、ガイドが必要です。その役を買って出てくれたのが、中世ヨーロッパ史の専門家である、著者の図師宣忠先生でした。政治情勢、修道院、異端審問、建築から、はては眼鏡に至るまで

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【試し読み】知ってるつもりの『百科全書』

さて、『百科全書』とはなんでしょうか?  たしか、昔のフランスの百科事典……そう「18世紀フランスで、ディドロとダランベールが編纂した百科事典、いわゆる啓蒙思想の集大成……」と高校の教科書などに書かれていたでしょうか? 教科書的な知識だけで知ってるつもりになっていても、『百科全書』が実際に、誰によって、どのように作られたのか、なぜ歴史に名を残したのか、そこに何が書かれているのか、その全体像を知ることはとてもむずかしい。なにせ全28巻もあるんです(そしてフランス語ですし……)

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【試し読み】カンタベリー物語 神が細部に宿る、豊饒な物語世界

「英詩の父」ジェフリー・チョーサーの代表作が『カンタベリー物語』です。 カンタベリー大聖堂への巡礼の途上、職業も身分も異なる巡礼たちが語る多種多様な物語は、キリスト教を支柱とする一枚岩的な世界とは異なる、中世ヨーロッパの豊饒な世界を描き出し、物語文学のジャンルを拡張する画期的な作品でした。 これまでに何度も映画化されていますが、1972年公開のパオロ・パゾリーニ監督版『カンタベリー物語』は同年のベルリン国際映画祭金熊賞も受賞しています。 本書『チョーサー『カンタベリー物

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【試し読み】『西遊記』 子ども向けの本ではない?

 『西遊記』は16世紀の中国、明の時代に完成した神怪小説(*注)です。三蔵法師が、孫悟空、猪八戒、沙悟浄らを供に、経典を求めて天竺(インド)を目指して旅する、という物語はみなさんご存知でしょう。実在の僧侶玄奘がインドを旅した史実をもとに、さまざまな逸話を吸収して発展したこの巨編は、拡散と膨張をくりかえし、現在でも映画、アニメ、マンガなど、あらゆるメディアに変換されつづけています。子供のころに絵本や児童文学で『西遊記』を読んだという方は多いと思います。 (*注)神仙、妖怪、妖

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【試し読み】万華鏡のように多くの解釈を引き出す聖典の世界。『クルアーン』

 イスラームの聖典クルアーン。ニュースなどで、この本を粗末に扱ったことで国際問題になった、ということを聞いたことがある方もいるかもしれません。  あるいは、クルアーンを手にテロや暴力を肯定する過激派の姿を見て、「恐ろしい本だ……」と感じた方も少なくないかと思います。  本書『クルアーン—―神の言葉を誰が聞くのか』では、クルアーンをなるべく色々な立場から分析し、一面的では捉えられない――しかしすさまじい力をもった――その秘密に迫ります。  たとえば、先ほど紹介した過激派の例は、

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【試し読み】『言海』 日本語の基盤を作った初の近代国語辞典

 名著を読むための入門書シリーズ「「世界を読み解く一冊の本」の第1弾『大槻文彦『言海』』の「序」の一部を公開します。 シリーズについてはこちら↓  本書『大槻文彦『言海』』は、1889〜1891年にかけて刊行された日本初の近代国語辞典『言海』について、明治政府による国家事業として企画された経緯や、幼い娘と妻を失いながらも17年もの歳月をかけ、まさに命懸けで編纂を進めた大槻文彦という人物に焦点を当てながら、その社会的な役割を解説します。  三浦しをんさんのベストセラー

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【試し読み】旧約聖書 激動の歴史と思想の衝突を読む

 長谷川修一『旧約聖書――〈戦い〉の書物』の刊行を記念して「序」の一部を公開します。シリーズ「世界を読み解く一冊の本」7冊目です。シリーズについてはこちら↓  本書『旧約聖書――〈戦い〉の書物』は、2000年以上前に複数の著者によって書かれた旧約聖書が、いかに「一冊の書物」として成立していったのか、その成り立ちや内容、背景にある古代イスラエル史を概説することから始まります。  基本をおさえたところで本書はさらに、旧約聖書のテクストが描く「歴史世界」と激動の古代イスラエル史

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