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時を刻む中華飯店

おはようございます。
今日もご覧いただき、ありがとうございます。

少しお久しぶりのエッセイとなってしまいました。

というのも、この期間東京出張(勝手に)に行ってまいりまして、いくつかj貴重な食体験に夢中になっていたからなんですね。

大きな中華体験をしてしまった24歳春。ぜひその全記録を読んでください(壮大、、)




今日の食日記

中華の申し子とまではいかなくとも、中華を愛した24歳。

言わずもがな餃子の虜で、中華にがっつく時間が精神的にも胃袋的にも大好きだ。

ガチ中華なる本場の中華体験に身を投じてみたり、夜行バス直前まで中華料理を梯子して見事に胃もたれの朝を迎えてみたり。
世の人々はニンニクに警戒心を抱きすぎだ!とニンニクをがっついた次の日に、母に見事に口臭を引かれしっかりとなえてみたり。


今思えば、中華が大好きだが、勢いが必要だったのも確かな事実なんだよなと。


味わう滋味深さはそこにはなくて、空いてしまった何かを満たすかのように、異国中国の力借りて、美味いを連発するのだった。

今でもその日々は変わらず送っているのだが、中華がストレス発散メシになることほど悲しいことはない(流石にそこまでではないが、今のところ)。

美味しい中華は永遠で、特別な中華体験だったなら、きちんと食体験の1ページに書き記しておきたい。

そんな時、大尊敬(大先輩)平野紗季子氏の推しの一人、中華可菜飯店にいくと、中華の時を刻んだ(no raisin sandwichのロイヤルカスタマーことイガラシカナさん)。

忘れられない一夜だった。

憧れのお店、憧れの人に出会う体験をした翌朝は、昨夜が幻だったかのような喪失感に虚しくなったほど。



今日のお店

僕が栃木に移住してから、姉がカナダから帰国した。

そして、お金のない4月、まさか自分の24歳の誕生日を迎えてしまったではないか。


そんな特別な日、特別なご飯を食べにいくための一晩がそこにあったのだから、逃すまいと。一ヶ月前の一斉予約のあの日、携帯を握りしめDMを送ったのだ(愛を込めて)。

願いが伝わってか、永福町のあの円卓に座ることができるのだと連絡が届いてからは、一ヶ月この景色を妄想しない日はなく、あっとういうまにその日が来てしまった。

かなりの緊張した面持ちに憧れの円卓を眺める永福町のあの景色が姿を現した。流石に痺れた。圧倒された。


これぞ夢の舞台、中華可菜飯店

静かな夜の街、円卓に席に着くいたのは一番乗り。

円卓中央のお花を眺めながら呼吸を整えた。

憧れのかなさんとは既に顔を合わせてしまい、ふんわりと挨拶を交わしてしまったことに小さく反省する。

とにかく味わう、中華の時を刻もうと、一点集中円卓を見つめた。

中華には生ビールと無意識にルーティン化してしまっていた情けない僕が選んだのは、特製花椒ラガー。

周囲のお客様にぎりぎり聞こえるくらいの小声で、隣の姉と乾杯した。

スッキリ抜ける花の香り。
ゴクゴクと心地よいホップの喉越しの先にあるのは、ピリリと主張する山椒のような痺れる余韻。
心地良すぎて歓喜した。


姉には「ごめん、集中するから」と何度言ったことだろう。

僕は騒がしい円卓の中、確実に中華の時を刻み始めてしまった。

前菜の一皿(説明はあったが、メニューが決まってあるわけでもなく、忘れてしまったのはご愛嬌で)。


前菜三種の神器

良く締まったプリプリの真鯛にネギのささやかな青臭さと山椒の涼しい後味が効いた一品。僕の知っている中華はどこにもいない。
マスタードとお酢が効いたウドの和物。繊細で少し滋味深ささえあるから、かしこまってしまった(味はもちろん絶品だ)。


春巻きは必ずしも萌断とは限らない

次に出てきた春巻きには、豪快さなんて少しもない。
半分の切り口から丁寧に丁寧に口に運ぶと、蒸しエビのほくほく感と空豆の素朴さ、澱粉で閉じた出汁の旨味がジュワッと溢れる。
半分で良いのだ。


豚肉の脂がとろりたまらん

ミニ蒸篭からはわずか一つの焼売が顔を出す(聞いたことないぞ)。
ごろっと粗挽きの脂が美味しい豚挽肉の濃厚な味わいに八角のほんのり甘いほっとする余韻。
一粒だから大切だったのだ。

二杯目の鉄観音割。
鉄観音茶の焼酎漬けを鉄観音で割ったなんとも清らかで繊細な一口。
お茶の風味にきちんと焼酎のアルコールと喉越しがある。
格上げされたお茶はそりゃ中華料理を引き立てる。


病みつき具合が群を抜く

胡麻油の香りにしっかりと山椒と唐辛子を乗せた鶏肉の炒め物はお酒が止まらないし、中華料理でさわらに出会うなんて思ってもいなかった。


ふわっふわさわらに溶けた

和食らしいほろっとしたさわらの紹興酒蒸しは、魚醤の深い味わいが決めての絶品中華の一皿だった。


ジャスミンライスが主役すぎる

締めのジャスミンライスのお粥は、さりげない鳥だしが優しくて、ジャスミンライスの豊かな香りを一番に考えたお粥だった(中華の締めがまろやかすぎる)。


最後まで優しい

最後は白牡丹茶と共にクリームチーズの杏仁豆腐で全てを繋げた。

幸せだった。夢だった。

あの円卓からの景色、繊細な一皿の数々。

まだまだ未熟な僕が出会うその一コマ一コマは、感動の連続以外に何者でもなくて、夢の断片をひたすらに集めたような時間だった。

最後まで抜かりなく「応援しています!」を伝えた僕をきっと覚えてくれているだろう。もう一度ありがとうございました。とお礼を伝えたい。

どんな料理だって丁寧に時を刻むことができる。
僕は食が好きだ。

これからだってその可能性、未来を楽しみ、微塵な力だが繋げていける人になりたい。そう改めて思える宝物を手にした夜だった。


美味しいひとときに、ごちそうさまでした。
では、また次回。



今日のお店:中華可菜飯店(東京都杉並区永福町2丁目50−21)



*Instagramでは暮らしにある食をすきなだけ発信しています*
暮らしのヒントになれば、と。
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