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得意を仕事にするなら、「絶対優位」「比較優位」どっちがいい?

「絶対優位」「比較優位」という考え方をご存じでしょうか。

絶対優位とは、「マーケットの中で自分の順位が高い」ということ。

比較優位とは、「自分の得意なものの中で順位が高い」ということ。

です。ざっくり言うと。

もともとは貿易などを分析するのに使われる概念ですが、パラレルキャリアの方向性を決めるのに役立つのではないかと思います。

絶対優位と比較優位が一致しない

絶対優位と比較優位が完全に一致していたら、それは幸せなことだと思います。

本人が一番やりたいことをやって、市場でもいいポジションを取れるわけですから。活躍しているスポーツ選手などはそうですよね。

でも、世の中の多くの人が、特に何かの分野でナンバーワンになることもなく働いています。

自分の得意をフルに活用できず、自己不全感に悩んでいる人も多いですよね。

「絶対優位が特にない」「比較優位を持っている分野の仕事ができていない」と悩むのであれば、そのギャップがある前提で戦略を立て直した方がいいと思います。

自分のカードを整理する

まずは、自分の「比較優位」を洗い出してみましょう。

仕事に役立つものでなくてもひとまず挙げます。

私は「金魚すくい」が結構得意で、得意なことランキングの3位には入ると思います。これによって人生で得したことは、お祭りで金魚を多めに持ち帰れる以外には特になかったのですが、そういう「役に立つか分からんスキル」も得意なら入れておきます。

人と比べて優位でなくても、自分の中で得意なことだったら、それは「使えるカード」になるポテンシャルを秘めています。

「ちょっと得意」くらいのものも入れて、50個くらいは書き出してみるといいと思います。

さて、書いてみると、自分がイキイキできること、好きなことが列挙されていると思います。

まずここで気づきたいのは「比較優位は誰にでもある」ということです。

「得意なことが思いつかない」という人は、おそらくそのジャンルのトップクラスの人と比べるから「だめ」と感じるのであって、本人の中での「得意/不得意」は必ずあるはずです。

私の場合、「料理上手」と名乗れるほど得意ではないですが、掃除よりははるかに得意なので料理もランクインさせておきましょう。たぶん私の得意なことランキングの26位くらいです。

手持ちのカードで戦う4つの戦略

列挙してみると、「意外と手持ちのカードはあるかも」って気がしてきますよね。

でも、問題はたくさんあるカードのなかに、絶対優位で戦えるものが今のところないこと。

「このショボいカードで戦える?」と不安になるかもしれません。

そのままだと戦闘力が弱いので、4つの戦略を考えてみます。

①得意を組み合わせる

そのままだとショボいカードでも、組み合わせると希少性が増すことがあります。たとえば「文章が得意」な人は多いですが、「文章が得意で、WEBデザインもできる」だと、「取材をして文章を書いてWEBサイトまでワンストップでできますよ」という売りができ、一気にライバルが減ります。「文章が得意」に、「金魚すくい」を組み合わせたら、お祭り系の記事を書けるかもしれません。「金魚すくい」だけでは世間では何の役にも立たないのですが、強めの得意と組み合わせることで、ショボい得意が輝きだすこともあります。

②絶対優位になれる場所を探す

「比較優位の上位だけど、世間的にはショボい」と感じているなら、「ショボい」と思われず重宝される場所まで下りていけばいいのです。デジタルマーケティングのプロほどの知識はなくても、ちょっとインスタに詳しければ田舎のSNSに全く詳しくない会社から「インスタを立ち上げたいから、〇万円で初期のサポートをしてくれない?」なんて依頼が来たりします(私の実話です)。企業なら小さな市場の中をチマチマ開拓するだけでは生き残れない可能性もありますが、副業ベースの個人だからこそとれる戦法です。

③比較優位の下位でも可能性を探す

得意なことランキングの下位の方でも、市場の中で希少性が高ければ芽が出る可能性があります。ライバルの母数が多くても、年齢・性別・その他の属性などで希少性が高いものがないか、見渡してみましょう。たとえば、バイク好きは多いけれど女性は少ない、ヨガ好きは多いけれど男性は少ない、など、男女で偏りがあるジャンルもあります。比較優位の下位に価値がないと決めつけず、「自分が入り込める穴がないか?」とフラットに検討してみるといいと思います。

④カードの優位性を高める

シンプルに、「自分の中では得意だけど世間的には大したことない」ものを、世間でも認められるレベルに引き上げるというやり方もあります。①②③のどれを選ぶにしても、1枚1枚のカードの戦闘力が高い方が、勝てる可能性は上がります。使おうと思ったカードは、どこかの場所で絶対優位になれるように地道にレベル上げをする必要があります。

スキル以外のカードにも目を向ける

また、意外かもしれませんが、「スキル」だけがカードになるとは限りません。

「自宅の部屋が余っている」「会議室やホールを安く借りられるつてがある」など、スペースにアクセスしやすい環境なら、そこを利用して何かができるかもしれません。

住んでいる地域や、知人の多い地元も、地縁を活かして仕事を興せる可能性があります。

一見、何のプラスにもならない属性でも、実はビジネスの種になるかもしれません。

実際、複雑な家庭環境をマンガにして収益を得ているブロガー、乾燥肌で悩んだ経験をもとにスキンケア情報を発信するYoutuber、太めの体形を活かしたモデル活動をしている方などもいらっしゃいます。

何がカードになるかは自分だと気づかないので、人から驚かれたこと、褒められたこと、場合によっては貶されたことなど、「人と違う」ことがわかるフィードバックに耳を澄ませてみると気づきにつながると思います。

パラレルキャリアだからできるパターン

本業として独立をするなら、絶対優位のポジションが目指せ、自分の中でも得意なことで勝負した方がいいと思います。優位性がないと食えないですから。

逆にパラレルキャリアでやりたいなら、絶対優位でも比較優位でも下位だけど「やりたいこと」に挑戦しやすくなります。

優位かどうかはひとまず気にせず、好きなことのレベルを上げつつ、自分が活躍できそうな小さなマーケットを探し、うまいこと入り込むのです。

現状の比較優位なものを振り返ると、天性の才能もゼロではないとは思いますが、ある程度時間をかけてきたことが多いのではないかと思います。

上達には、ある程度の時間が必要です。時間をかけて取り組むうちに、量が質に転換して、レベルアップします。

今は得意でないことも、習得を目指して努力すれば徐々に優位性が高まるはずです。

だからこそ、「絶対優位ではないから×」「比較優位ではないから×」と早々に見切りをつけないことが肝心です。

やりたいことが優位でなくても、努力とポジショニングによって、勝ち目が見える確率は上げられます。

パラレルキャリア研究所代表 慶野英里名

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