見出し画像

プロボノは「無料の学校」として活用できる

社会人が仕事のスキルを活かして行うボランティア「プロボノ」では、報酬がなかったとしてもさまざまな無形資産が貯まります。

無形資産の中には経験も含まれますが、「縁がなかった業界やコミュニティの中に入れる」というのは、プロボノの大きな魅力だと思います。

世の中は、知らないことで溢れてる

人が普通に働いて生活していくと、触れられるものって実はかなり限られます。

自分が働く業界・職種のごく限られた一部と、ご近所くらいしか関わらずに、生きていけるのです。

他業界・他職種の人に話を聞くとか、関わりがなかった場所に行ってみるとか、外側からちょこっと覗くことはできます。

ただ、外側から覗くだけだと、わからないことの方が多いです。

みなさんも、社会人になって初めて「この仕事はこんななのか!」と驚いたり、「他の業界の人は絶対知らないだろうな」ということがあったりするのではないでしょうか。

私は出版業界に入って、印刷現場がかなり「人力」なことに驚きました。

プリンターや複合機って、ボタンを押したらガーッと印刷された紙が出てくるじゃないですか。

でも、印刷工場って各工程で人が大活躍してるんです。

基本のCMYKという4色以外だと、インクを人力で調合して練って、目で見て色を確認して、インク壺に手動で入れます。「ラベンダー色」みたいなインクの容器を調達してガチャっとはめる訳じゃないんです。

刷った時の色の出方というのは、温度や湿度、紙の銘柄によってかなり違うので、現場の方が目で見ながら最適な色になるように微調整します。

一般的に、「職人」と聞いて思い浮かべるのは伝統工芸が多くなると思うのですが、印刷工場の現場の方は実は熟練の職人だと思っています。

こういうこと世間にはあまり伝わらないし、私も他の業界の現場については全くわかりません。

「ちょっと働いてみたい」は難しい

そして、他の業界を中から知るって、なかなか難しいんですよね。

興味本位で覗かれて手を止められても迷惑だし、外に情報やノウハウが流出しても困るし。かじりたい、くらいのモチベーションの人に色々教えても、ふらっとまた別の場所に去ってしまうかもしれないし。

千と千尋の神隠しで、「ここで働かせてください!」と言う千尋に対して、湯婆婆が「なんであたしがおまえを雇わなきゃならないんだい!?見るからにグズで!甘ったれで!泣き虫で!頭の悪い小娘に、仕事なんかあるもんかね!お断りだね。これ以上穀潰しを増やしてどうしようっていうんだい!」と喚きます。

湯婆婆はちょっと言い過ぎですが笑、人を育てるには時間もコストもかかるので、「ちょっとだけ教えてください!かじらせてくい!」という初心者は、プロの集団からすると関わるメリットが少ないのが正直なところ。

だからこそ、未経験者向けのスキル講座がたくさんある訳です。

ライター講座、カメラマン講座、動画編集講座、WEBデザイン講座…。その道のプロはたくさんいますが、弟子入りできる門戸も狭いし、「ちょっとだけ」というモチベーションでは会ってももらえないので、有料の講座が人気なのでしょう。

プロボノは無料で通える学校

「少しだけ、気になる業界に身を置いて、スキルアップする」って、なかなか受け入れてもらえないし、普通は有料なんですよね。

そう考えると、プロボノって無料で参加できて、邪険に扱われないどころか、感謝されるのです。

仕事だと思うと「儲からない」とネガティブに感じますが、「お金をかけずに知見や経験を増やせる」と考えると、かなりお得な気がします。

しかも、プロボノとして課題解決に携わると、講座などで座学で習うより「独特の風土や常識」「リアルな悩み」「内部にいる当事者の視点で見えること」などがありありと見えてくるので、ディープな知見がたまると思います。

私は「自業界以外の知見や経験があること」は武器になると考えています。

さまざまな知見を持っていると、そのジャンルに関わる時に最初からある程度の話がわかったり、勉強する時間を節約できたりします。

ある程度の相場感を持っていないと、調べたり検討したりするのに時間がかかり、機会損失を招くかもしれません。

私自身、船旅が好きでよく寝台付きの船に乗っています。プロボノで三宅島の自然を体験するスタディツアーを企画したことがあり、往復の手段で使う船についてもかなり調べたことも。

船に関する仕事をしようと思ったことはなかったのですが、会社で船に関するムックを急に作ることに。

かなりタイトな日程で、すぐに船会社への取材が始まり勉強の時間も取れなかったのですが、船好きが生きて船舶業界の方とスムーズにお話しできました。

チャンスにしてもピンチにしても、だいたい予告なくやってきます。

プロボノや趣味で知った他業界の知見が、意外なところで武器になった経験が何度もあるので、日頃からさまざまな場所に首を突っ込んでおきたいなと思っています。

パラレルキャリア研究所代表 慶野英里名

お読みいただきありがとうございます!
スキ・フォローお待ちしてます♪
@erinakeinoをタグ付けして
Tweetしてくださったらリツイートします!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?