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会社員って、どの地域にも居場所がなくて寂しいよね

2021年を振り返ると、東京在住ながら多くの地域とお仕事ができた1年だったと思います。

山形県、茨城県、神奈川県、富山県など、様々な地域の企業や自治体とお仕事をでき、完全にリモートワークで取り組んだものもあり、「どこに住んでいても誰とでも働ける時代」になったなあと実感しました。

でも、その一方で「もっと東京でもいろいろしたいな」という思いも抱きました。

会社のある中央区でも、住んでいる港区でも、滞在時間は多いのに有機的なつながりは全くないのです。

「都会だから」という一言ですまされる訳ではなさそうです。

都会にも都会の地域があります。

でも、そこで有機的なつながりをつくっているのは、大多数が地元の経営者と地元に永住している方ではないでしょうか。そこに会社員が入る余地は多くはありません。

会社員って、在住地域でも、在勤地域でも、居場所がない人が多い気がします。

特に、私のような「賃貸暮らしで子どももいない」という属性の人にとっては、地域に入っていくきっかけが何もありません。

もし地域コミュニティに所属しても、地元に代々住む人に比べてあまり相手にされないケースも多いはず。

実際、「商店会で老舗の不動産屋さんの声が大きすぎて、新興店が離れてしまう」という事例も知っています。地域に根を張ろうとする店ですらそうなのだから、家に寝に帰るだけの人が「しがらみを乗り越えて地域に溶け込もう」なんて思えるはずがありません。

それでも、「一番長く時間を過ごす場所で自分の居場所がない」というのは、寂しいことだと思っています。

思えば、その寂しさは子どもの時から感じていました。

私は小学校から高校まで、地元の学校ではなく電車で通学する学校に通っていました。

だから、「地元の友人」というのが一人もいません。厳密に言うと、習い事や公園で同世代の友達は少しできます。

でも、その子たちは基本的に地元の公立のクラスメイト同士でもともと仲がいいので、同じ温度感では友達になりにくかったのです。

距離感で言うと、「同じ会社の全然付き合いのない部署の、面識だけある人」くらいの感じです。顔を合わせれば挨拶はするし、ちょっと会話もするけど、ご飯に行くほどでは全くない、的な。

「地元がない」という漠然とした寂しさは感じつつも、深く悩んだりコンプレックスを感じたりするほどの問題ではないので、「まぁいいや」と思って過ごしてきました。

大人になって、どこにも自由に行けるようになり、気づけばネットも発達しました。

ネットを上手に活用すれば、居住地に関わらず、同じ興味関心の方と交流することができます。

だから、私は家から遠くても興味のある場所に自由にでかけてきました。この数年は「パラレルキャリア」という旗を掲げたことで、同じ関心を持つ方と繋がることができ、物理的ではない居場所を得られたように思います。

リモートワークの普及で、冒頭に書いた通り多くの地域で仕事ができるようにもなりました。

私なりに、「地元」以外の居場所の開拓を続けて、一応は形になってはいます。

が、一周回って、「誰とでも働けるようになったのに、半径100m以内の人と仕事をしてないって、変だ!」という気持ちが湧いてきたのです。

学生時代は「地元の学校に行っていないから、地元の友達がいないのも仕方ない」と、少数派なりに納得していましたが、大人になって冷静に考えてみると「地域から弾かれている人」の方が圧倒的に多いことに気づきました。

地元がない、のは私だけの問題ではなかったのです。

なんてもったない!と思います。

地域は本来は社会活動の場になり得るし、フリーランスなどとして働きたい方にとっては仕事のチャンスが転がっている場でもあります。よく見知った人の方が仕事は頼みやすいですから。

でも、在勤地域にも在住地域にも入っていけないことで、多くのチャンスが人知れず失われているんです。

政治参加という意味でも、在勤/在住の分断で失われているものも多いと感じています。

投票は住民票のある地域で行われますが、東京では住んでいる人の多くが日中を他の地域で過ごしています。

睡眠時間以外の多くを過ごす場に、自分の声を届けられないのです。

日本の地方自治には「直接請求」が認められていることもあり、ハードルはありますが「地元のことを地元で決める」ことができるポテンシャルはあると思います。

でも、寝に帰るだけの居住地の課題に腰を据えて取り組もうとは、なかなか思いにくいですよね。

もし住民投票があったとしても「大して帰属意識も持っていない地域のことなんて、なんでもいいや」と行かない選択をしてしまうのも、地域と人が分断された現在の状況では残念ながら自然な心理かもしれません。

地域のポテンシャルは感じつつも、地域と人が分断されていることにモヤモヤしています。

モヤモヤに対する解決策はまだ見つかっていません。

もったいないなとは感じつつも、「地元の有力者に気に入られて仲間に入れてもらいたい」とまでは特に思わないのも正直な気持ちです。

「いつか、在勤地域や在住地域に入り込めたら嬉しいな」という気持ちは忘れず、「都会の地元」で自然なご縁をゆるやかに捕まえられたらいいかなぁと思っています。


パラレルキャリア研究所代表 慶野英里名(けいのえりな)

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