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「好きを仕事に」で、幸せな瞬間が1年で2000回増えた

最近のnoteや講演で「好きを仕事に」「余暇が減っても惜しくないほど楽しいものを副業にしよう」という考えを伝えてきました。

ただ、私は「必ず好きを仕事にすべき」とは思っていません。人生で何に重きを置くかは人それぞれ。

「好きを仕事に」という風潮に何か違和感を覚える人は、無理して「好き」「楽しい」に照準を合わせようとしなくていいとは思います。

私が「好き」「楽しい」にこだわって仕事選びをしたいと考えるのは、自分の実体験に基づいた実感があるからです。

職場が辛かったあの頃

就活生の頃、私は編集者になりたくて出版社ばかり受けていて、内定をいただたうち第一志望だった会社を選びました。

憧れの出版社に意気揚々と入社したものの、実際に配属されたのは、子会社のコールセンターの庶務。編集に関するスキルは全く積めない部署でした。

しかも、教育係になったお局さんがかなりのクセモノ。

配属された翌週に、お局さんから「私は子会社採用の中途の後輩が欲しかったの!なんで数年で異動する本社採用の正社員の新人なんて育てなきゃいけないの?!私あなたのこと教えたくないから!」と宣戦布告(?)をされてしまいました。

職場内も、お局さんに気に入られている人と冷遇されている人の派閥に分裂していて、人間関係は常にギスギスしていました。

本社の先輩社員や他部署の上長から「辞めないでね」「困ったら人事に相談するんだよ」「いざとなったら産業医面談を受けたら」などと10回以上は心配する言葉をかけられたので、社内でも噂が立つほどの“ハズレ部署”だったようです。

業務内容も単純作業ばかり。どれくらい単純かと言うと、マウスの左クリックは使っても右クリックは一度も使わずに1日を終えられるレベルでした。後から聞いたら、「アルバイトでもできる仕事だけど、部屋に一人は正社員が必要というルールのために配属された」そうで…。

マニュアル以外のことは一切するな!という文化だったので、創意工夫を発揮することも許されず。

一定規模以上の会社なら、最初の数年は雑用は当たり前なのかもしれません。が、小規模な会社なので同期はどんどん仕事を任されていて、それを横目に自分は全くスキルが貯まらない日常は辛かったです。

それでも踏ん張って仕事をしていましたが、一時期お局さんからの攻撃がエスカレートしてしまい問題になり、社内では異例のたった1年での異動になりました。

編集部に異動してみたら

1年間、砂を噛むような毎日を職場で過ごしていましたが、運良く希望していた編集部に異動したらガラッと世界が変わりました。

上司が私のことを育てようと熱心に教えてくれて、先輩も親切。派閥やマウントも一切なく、社員が自律的にいい距離感で働いていました。

そして、どの案件を振られるかは上司が決めましたが、振られた案件は企画の立て方もディレクションの仕方も完全に自由。創意工夫の余地しかない!

年次が上の先輩とも対等にアイデアを出し合い、企画が優れていれば若手の案でも採用されるフェアな職場でした。

しかも、自分の案が採用された時も、先輩が嫌な顔一つせずフォローして企画の成功を応援してくださり、前部署で人間不信に陥りかけていた私は「みんなやたら親切だけど、何かの罠なのでは…!」とビビりまくっていました。いじめられていた野良猫ばりの警戒心。

次第に「上司も先輩も、私が一人前になることを本心で願っている」ことを理解して、のびのび働けるようになりました。

「いい人間関係で働くと、こんなに心地よいものなのか!」と衝撃でした。ちょっとした打ち合わせも雑談も、これまでは「隙を見せないように警戒する時間」だったのが「安らげる時間」に変わりました。

そして何より、仕事内容がとにかく楽しくなったのが一番の変化です。

憧れていた編集職で、文章やデザインの仕事をしていると、ほんのちょっとした作業もワクワクしたのです。

・企画が通った!
・いいキャッチコピーが書けた!
・デザイナーがセンスのいいデザインを上げてくれた!
・なかなか読ませる原稿に仕上がったかも!
・このフォントおしゃれー!
・監修の先生が決まって一安心!
・気づきにくい誤植を見つけた、えらいぞ自分!
・大変だったけどやっと校了した…!
・見本が届いた、刷り色がきれい!
・やった、増刷が決まった!

編集の仕事をしていれば日常的にこなす普通の作業でも、その一つ一つが嬉しかったのです。1時間に1回くらい「嬉しいこと」「楽しいこと」が起こりはじめました。

人間関係が悪いと、こういう瞬間を真っ直ぐ受け止めにくいものですが、心理的安全性が担保されている環境だと「幸せ」と素直に感じることができました。

綺麗事を言えば、どんな仕事でも自分次第で幸せや喜びを感じられるかもしれません。

でも、実体験を振り返ると、どう考えても「単純な文字の入力」より「キャッチコピーの考案」の方が私にとっては楽しくやりがいのある作業でした。

最初の部署でも、チェックボックスにチェックを入れるだけの作業、封筒の宛名貼りと糊付け作業を「ミスなく早くできるよう工夫する」など自分なりに成長できるよう頑張りましたが、編集部で難易度が高く裁量の大きい仕事を任されたら、後者の方が圧倒的に成長しました。

やりがいのない仕事にやりがいを見出す姿勢はある意味正しいけれど、「だったら最初からワクワクできる仕事を選んで、そこで更なるやりがいを見つけた方が人生楽しくない?」と思うのです。

事実、編集者として働いてから1時間に1回くらい「嬉しい」と思うようになったので、仮に1日7回だとすると、だいたい年間で220日出社しているので、220×7で1540回です。

あれから7年経った今、初年度より感動はやや薄れているものの、相変わらず1時間に1回くらいは楽しく嬉しい気持ちになります。

仕事をしていれば辛いこともあるけれど、それ以上にポジティブな感情になれる回数の方が多い状態で働けています。

副業もはじめ、さらに幸せの回数が増加…!

さらに、今は副業をしています。

時期によって稼働時間は違いますが、だいたい週に10時間くらいを副業に使ったとして、年間に500回以上は幸せを感じています。

しかも、会社員の時より、クライアントと「個」の結びつきが強いせいか、「本気のありがとう」「本気の意気投合」が発生する割合が高いのです。

講演を聞いてくださった方から「人生が変わりました!」と言ってもらえたとき、憧れの経営者や気になる自治体と仕事ができたとき、企画したイベントが成功したとき。

ちょっと嬉しい、どころではなく「感激」レベルの喜びがちょこちょこあります。(…なんていい人生なんだ。)

大小さまざまな「嬉しい」「幸せ」が、本業と副業で合わせて2000回もあるなんて、砂をかむような新卒1年目の日々からは考えられない変化でした。

もちろん、環境をすぐに変えられない場合もありますし、好き=稼げるでないときもあります。不快でも乗り越えて成長しなければいけない場面もあります。

それでも、好きな仕事を好きな人とすることでクオリティ・オブ・ライフが格段に上がった実感があるので、自分の「好き」に敏感になって、なるべく「仕事」を「好き」に寄せた方が、幸せになる人が多いんじゃないかなあと思うのです。

「幸せ」「嬉しい」「好き」という感情の揺れは、曖昧で定量的に測りにくいものではありますが、回数を数えてみると「前の部署より笑う回数減ったな」「副業をはじめてから嬉しい瞬間が増えたな」と気づけることもあると思います。

「人生のどの時期に笑顔が多かったか、そのとき何をしていたのか」「今の生活でどんな場面で楽しいと感じるか」と振り返ってみると、自分が望むキャリアやライフスタイルが見えてくるかもしれません。


7/7(水)に「好きで稼ぐ」をテーマに、東京都創業ステーション・Startup Hub Tokyo丸の内にて講演を行います。オンラインで配信します。ご予約は上記の公式サイトから!

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