「アイデアを盗まれるのが怖い」と悩む人が、一刻も早くすべきアクション
パラレルキャリア研究所代表の慶野英里名です。
4/14に行った、東京都が運営する創業支援拠点Startup Hub Tokyoでの講演で、個人でビジネスをはじめるなら情報発信をして仲間やファンを増やした方がいいという話をしたのですが、それに対してこんな質問をいただきました。
「アイデアを盗まれるのが怖いのですが、それでも情報発信をすべきですか?」
起業・開業を考えはじめた方、スモールビジネスをはじめたばかりの方の中に、このような不安を感じる方が一定数いるように思います。
結論から言うと、「心配している暇があったら、さっさと活動開始しましょう!」ということに尽きます。
まあ、革新的な新規事業だったら、コアの部分を盗まれたらまずい、みたいな話はあるかもしれません。特に技術に関する分野では、寡占できなかったら淘汰されるという場合もあると思います。
でも、たいていの場合、アイデア自体にさほど価値はありません。
まだ事業化もしていない段階の個人が思いつくアイデアくらいなら、たぶんどこかの会社のブレストでとっくに出ています。
本人にとっては、大切に温めた思い入れがあるアイデアで、思いついた中ではピカイチのものだったとしても、アイデア自体に市場をひっくり返すほどのパワーがあるケースなんてめったにないのです。
「こんな秀逸なアイデアを思いついている会社があるなら、とっくに事業化しているはずだ。まだ世に出ていないということは、誰も思いついていないはずだ!」
…と思う気持ちはわかりますが、他社でとっくに候補に挙がっているけれど「やらない」という選択をしていると考えるのが現実的です。
アイデアはよくても、自社のリソースやマーケットの規模や動向を考えたときに、勝算がない、利ザヤが薄いから実行していない。それだけです。
それに、誰かにアイデアを盗まれて自分の事業が立ち行かなくなるケースって、そんなにあるでしょうか?
マネされたことで自分が得るはずだった利益も奪われてしまうような小さな市場なら、おそらく自分一人が独占しても市場が狭すぎて立ち行かなくなると思います。
また、アイデアを大事に温めて盗まれる前に事業化に成功したとしても、その事業や市場が本当に魅力的ならすぐに大手が参入してきます。
潤沢なマンパワーと広告費を振りかざして、ゴリゴリにマーケティングされたら、あなたが持っているほんの少しの先行者利益なんて消し飛ぶでしょう。
そんな理由で、私はアイデアだけで勝負するとうまくいかない説を唱えています。
じゃあ、どうすればいいのでしょうか?
スモールビジネスで大切なのは、アイデア以上に、「行動に移し、改善しながら継続すること」「仲間やファンを巻き込むこと」だと思います。
「こんなことをやりたいな」というアイデアがあっても、行動する人は一部です。その中で、適切な改善を加えながら継続できる人はさらに少なくなります。
ライバルより頭一つ抜けるためには、アイデアをブラッシュアップすることより、行動に移すこと(実際に創業すること)の方が大切です。
そして、あなたが「盗まれるかも」と心配しているライバルは、本当にライバルなのでしょうか?
スモールビジネスの場合は、同業者がライバルにならないケースも多いのではないでしょうか。あなたが目をつけていたクライアントが同業他社に奪われても、入り込める企業はほかにたくさんあります。世界は広いです。
個人や小規模事業者の場合、競合を蹴落とすより、あなたの提供できる価値を認めるファンを地道に増やすことの方が大切になると思います。
また、一人が持てるスキルセットは限られているので、自分が得意でない分野のことは人に任せた方が効率的です。仲間を集めて、提供できる価値を増やした方が、勝算はあるのではないでしょうか。
「巻き込んだ人に何かを奪われるのでは」と心配なら、想定できるリスクに対する内容を盛り込んだ契約を結んで、商標もとって、などと具体的な対策を講じた方が建設的です。
アイデアを盗まれるのが怖いと立ち止まっているのに、契約書のフォーマットも持ってないし相談できる専門家もいません、という方は、心配性の割に具体的な対策が打てていないので、まず創業前後にすべきことの情報収集をした方がよい気がします。
繰り返しますが、アイデア自体にはさほど価値はありません。
多くの人がアイデアを温めるだけで行動しないので、差をつける術があるとしたら「とにかく行動すること、そして続けること」。
シンプルですが、実はできている人が少なく、意外にも有効な手段なのです。
パラレルキャリア研究所代表 慶野英里名
4/14の講演の様子はこちら
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