Vol 5.★密林から放つ進化したリズムは新しい時代の音楽革命に変わった。 内なるレボリューション。 Jupiter&Okwess international
国土のほとんどが密林に囲まれているコンゴは、奥地で暮らしているピグミーや少数の部族を除けば、あとは河の流域や 大密林の中の平野部で暮らしている。 ４0０以上の部族が住み、それぞれが異なるリズム、音楽、言語、文化を持っている。そして、現在はさらにそれらの伝統音楽をベースに進化させ、今に生きる音楽をも作っている。
近年、来日も果たした”KONONO No1" や "KASAI ALL STARS" などは、こういう音楽の代表格とも言える。前者はアンゴラとの国境近くのゾンバ簇の伝統音楽、金属製リケンベ(親指ピアノ)をアンプにつなぎ、ビビらせた音を増幅させ、拡声器から大音響で流して、"伝統爆音トランスミュージック！？"に変えた。
後者は、西南にあるカサイ州のリズム、"チルバ"に合わせ伝統楽器のバラフォンや太鼓、そこにベース、ギターが入る。独特な踊りと、繰り返されるゆったりとした土着的なリズムとで、まるで宇宙と繋がるような、原初に帰るような、やはり、アフリカは元祖トランスミュージックかと思わせる。 それぞれの民族のルーツであるリズムやメロディーを基本に、伝統楽器も使い、新しい要素も取り入れて現代に蘇るさせる。それを、”TRADE MODERNO" 新伝統音楽とも呼ぶ。
その中の一つ、2014年に来日した"Jupiter Bokonji"率るバンド、”Jupiter&Okwess International" を紹介しよう。
”キンシャサは音楽の街だ。ここでは、一家に一人はミュージシャンだ" と、言ったのは”Jupiter&Okwess International" のリーダー Jupiter Bokonji
Jupiterは、キンシャサ生まれ、グリオの家系で有名なヒーラーの祖母を持つ、赤道州のモンゴ族である。３０年以上、主流が続いている”ンドンボロ”（リンガラポップス）でもなく、また他のどれでもない彼独自のスタイルを追求し続けた。彼は’７０年代に父親の仕事の関係でヨーロッパに住み、青年期を過ごした。そこで、ブルース、ファンク、ジャズなど、いろんな音楽を聴いて、これらは、すでにコンゴにあるリズムやメロディーだ。コンゴにはたくさんの音楽要素が、すでに沢山あるのだということに気づいた。そして、’８０年代、コンゴに戻り、各地でいろんな伝統音楽を聞くため、国内を回り、その後、はじめて自分のグループ"Bangofolk"を作った。忘れ去られた民族のリズムとメロディーを再び復活させ、都会のセンスを吹き込み 大胆にミックス。また、彼は多くのことをヨーロッパから学び、自分の国の将来を考えた。
”コンゴの本当の宝物は長く続く争いの原因となっている豊富な地下資源ではなく、奪い合うことができない目に見えないものにこそ誇りを持って守り、未来に伝えていこう。 そして、この悲惨な状況から、本気で抜け出す為には、まず自分達が他に依存せず、自立の道を進まなくては”. と、コンゴ人に意識革命を呼びかける。
’９０年、新たに今のバンド"Jupiter&Okwss International"を作った。
人々は彼らの出す強力なコンゴ流アフロビートとエネルギーに惹きつけられ、彼らの人気は広まりアフリカ各地を回り、活動もこれからという矢先、’99年、再び、コンゴは内戦で大混乱に陥った。
しかし、2００7年、彼のグループを初めとするキンシャサのゲットーの才能溢れる若いミュージシャンたちを紹介するドキュメンタリー映画"Jupiter's Dance"がリリースされ、しだいに、その音楽性も国際的に評価されるようになり、2013年、5月、セカンドアルバム、"Hotel Univerce" が、キンシャサ録音、ヨローパでリリースされ、同年、ヨーロッパワールドミュージック部門で第2位を獲得した。そして今ではワールドツアーで世界を回るようになった。
” 国民は植民地支配者と政府によって、眠らされてきた。この泥沼から抜け出せ。目を覚ませ。その時が来た。”
と、人々に呼びかける。彼の心からのメッセージであり叫びである。
内なるレボリューション！ 密林から放つ進化したリズムは、新しい時代の音楽革命に変わった！！
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