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ボディポジティブ・性器の呼び名を親子で考える大切さ

初めてのクラウドファンディングコーディネーターのお仕事は、
リナという5歳の女の子が自分の体をぼうけんする、
という衝撃のドイツ語絵本を紹介するプロジェクトでした。


クラウドファンディングでは、公開初日で第一関門を突破する
ほどの盛り上がりを見せました。なんとか目標金額を達成し、
現在本は無事ご支援いただいた皆様のもとに届き、
初の日本語版のドイツへの到着を待っているところです。


一緒にプロジェクトを応援していた時、
いかにこの本への関心が高かったかが伺えました。きっとその
ワケは、この本は単なる性教育の本ではないからです。


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この本を制作したのは、オーストリアの男性を含む4人の人たち。
本にしようと思ったきっかけは、女の子のママたちが、
あそこの呼び名がわからず困ってると気付いたことだったといいます。


そういえば子供のころ、家ではなんて呼んでたっけ?
はっきり言って、覚えていません。だってほとんど呼んだことが
なかったんですから。


おマタ・あそこ・ほと・ヴァギナ???


勇敢なオーストリアの女性二人は、アンケートをとり、たくさんの
パパたちとも議論し、情報を集めました。


作者チームの唯一の男性であるフローさんの娘さんが7歳の時
手鏡であそこを見ていたというお話もかわいく描かれています。

パパとしては、そういう場面であたふたしてしまいそうなのが
容易に想像できますよね。
でもリナちゃんのパパは違いました。


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しかし何故、タオイストジャパンのタリカさんはわざわざこの本を
日本で出版するという大変なプロジェクトを立ち上げたのでしょう?


タリカさんのお仕事は、セクシャリティの解放と体と向き合って自分を
認めるというとっても深い内容です。
人として生きる喜びや、心とカラダがきちんとつながっていないと
ひとが本当の幸せを感じることはできない、と普段から
発信したり、お話ししたりしているので、
この素晴らしいプロジェクトに参加させていただくことに
決めたのでした。


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さて、ドイツ語ではムムとか、モシとか、可愛い呼び名が結構あります。
その背景には、女性軽視だったり文化背景などもあるようですが、
私が驚いたのはオーストリア、はたまた他のヨーロッパ諸国でも
ママたちが心地よく呼べる名前がなかった、という事実でした。


親子で決める呼び名の大切さ


少し現実的なお話になりますが、実は大人になった女性の実に半数以上が
家族や親戚から何かしらの性的暴力、または不快な接触をされたことが
ある、という事実があるそうです。


そしてその時の一番の問題は何かというと、女の子を助けてくれるはずの
お母さんが見てみぬふりだったり、真剣に相談にのってくれなかった、
ということらしく。


これは一体なぜなのでしょうか?


もしママと娘が小さい時から恥ずかしいこと、いやらしいこと、という
先入観を持たずに体のことを話していたらどうでしょう?
私たち大人には、固定観念という厄介なものが植え付けられています。
それは育った環境または見聞きしてきた経験からくるものだと言われて
いますが、子どもだって裸の写真や変なシーンを見たら、
きっと心のどこかがモヤモヤしたりするのですね。


だけど、お家に体の絵が描いてある絵本があって、パパとママと、会話ができていたらどうなるか?想像してみていただきたいのです。


体をすごく神聖なものとして、はたまた自分の体ってすごいんだ!そう感じることができたなら、素晴らしいことではないでしょうか。


著作権もあるため、ここには載せられない素敵な絵があります。
女の子の性器が美しく描かれたイラストです。こんな美しい絵は今まで
見たことがありません。この絵を見た女の子は、きっと自分の体に
ポジティブに、そしてこの絵を見た男の子たちは、女の子の体への
イメージが美しい、大事なものなんだ、と大切に思う気持ちが
芽生えるんじゃないでしょうか。


子どもへのそうした配慮は全て親である私たちのマインドセットが
軸になります。私たちの性への意識のブロックを外してみましょう。
いやらしいというネガティブなイメージは過去のものにしないと
いけないのではないでしょうか。


新しい今の時代を生きていく子どもたちへどう伝えていけるのかは、
私たち次第です。


このプロジェクトに関わらせていただいたことで、今まで自分が
サードカルチャーキッズ(TCK)というお話をするときに問題になる
価値観の違いととても深く繋がっているなと感じました。


当たり前は当たり前じゃない、そんなことを考えるきっかけになってもらえたら嬉しいです。

タオイストジャパンのホームページは▶︎こちら

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▽「わたしのからだ、だいすき!」著者より、日本の皆さまへ
  
思春期を迎える子どもたちが、自分の体について興味を持ち、主人公リナのように自分の性器ともっと自然に向き合うことができるように、私たちはこの児童書を通してお伝えしたいと考えています。そのため、リナの冒険のお話と共に、身体に対するイメージ、衛生面、体毛、ヌード、性教育などの重要なトピックにまつわる知識も提供しています。これらのページの隅には、小さな虫眼鏡が付いています。
 言語は現実を創造し、それを形に変えていきます。正しく、偏見のない性器の呼称は、身体に対するポジティブなイメージの基礎となり、それに伴い人としての自信を深めることができます。
 本書では 、不安やタブーにとらわれることなく、外陰部をテーマとして扱っています。なぜなら、身体のすべての部位を偏見にとらわれず命名することは、思春期の子どもたちのアイデンティティ形成にとって非常に重要であると考えているからです。
 様々な性別のなかで、本書では少女のリナに焦点を当てています。私たちは今の社会の多様性に責任を持って対応したいと考え、そのためイラストでは、人とその身体性を多彩で多様な形で表現しようとしました。
本書は、子どもたちの希望や興味に応じて、全体または部分的にでも読むことができます。この本が皆さまの疑問に答え、耳を傾け、年齢に応じた答えを出すための良い機会になり、そして良い空間を与えてくれることを願っています。


□カタリーナ・シェーンボーン = ホッター(心理学者 / 教育者 )
心理士。女性の健康と性の教育者として若者との性教育のワークショップで幅広い経験があります。
最初は3〜5歳対象で絵本制作を考えていましたが、女性性器名称を知らない人が多く、
大人にも絵本に興味を持って欲しくなりました。
特にターゲットはなく皆さんに読んでいただきたいです。

□リサ・シャーロット・ソンバーガー(美術史家 / 幼稚園教諭)
幼稚園の教師であり、金細工職人、美術家です。
女性器に対して名前を考えたことがなった人が殆どの中、絵本を使ってディスカッションで新しい発見があったなど嬉しい反応がありました。

□フロー・ザッフェルマイル(作家) 
子供と青少年の劇場の作家。
リナの大冒険は、イタリア語版も出版が決まっています。
日本の方ともこの絵本について話し合っている瞬間が嬉しいです。
この絵本が突破口にからだの違いを受け入れること、自然に子供と会話できること、子供の興味を見つけること、親が絵本を通して会話できることを願っています。
□挿絵はすべて新星イラストレーター、アンナ・ホラックの作品です。 

 
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こちらの記事はリナのぼうけん「わたしのからだ、だいすき!」を応援するクローバーLifeアート代表・TCKままのグローバルコミュニティ主宰、リヒター恵子がお届けしました。リヒターのすべての活動は▶︎こちら

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