マガジンのカバー画像

シリア

45
2007年~2008年に、シリアに行ったことを機会に、続くシリアの縁。いまでも交流のあるシリア国内外の友人たちの言葉、ヨルダンやレバノン、トルコのシリアに触れたときのことを紡ぎま…
運営しているクリエイター

2019年2月の記事一覧

2018年12月 アリム

渡航許可書の申請は、しなくてよくなった。自分は、家族で唯一の男だから(当初は徴兵免除対象者も、渡航許可書の申請が必要だった)。最悪な政府だ。こんな政府で、ごめん。 シリアの中は、ロシア製の車でいっぱいだよ。毎日、ロシア語の番組を流れる。もちろん、政府を称えるような番組。2,3年前ぐらいから、小学校ではロシア語が必修になったよ。ロシア語を話せる人が、ちゃんと教えている。 アサドが勝つことは、明らかだ。ただ、このあとどうなるか。アサドの父は、だれも止めることができなかった。で

2018年9月 ゼイン

東グータのドゥーマ出身。現在は、トルコに暮らす。 友人の結婚式に参列するため、トルコからベイルートに来ていた友人。はじめて、彼の“これまで”を、聞くことができた。そのきっかけになったのは、彼にシリアに戻りたいか、聞いたとき。 「政府が許すならね。自分は、ブラックリストに載っているから」 シリア危機前、彼は政府機関で働いていた。シリア危機勃発後、はじめの2年間は、極めて反体制派グループは、極めて平和的なグループだった。にもかかわらず、政府は、力で対峙するものを抑え込もうと

2018年9月 マラム

「CVには、最後に“n”をつけるんだ。自分の名前は、典型的なムスリムの名前だから。名前を見ただけで、選考から落とされないように」 *** レバノンも、シリア人に対する姿勢は悪いという。レバノン人は、もともとシリアから来たのにね、と微かに笑った。 *** 日本からのお土産のお礼に、シリアポンドのお札をくれた。 「残念だろ?」 差し出したのは、破れた部分をあちこちセロハンテープで貼ってあった、お札。 *** 「払いたくない。でも、仕事を失うわけにはいかない」 帰

2018年 ハキーム

ダマスカスでは、カフェはビジネスが生まれる場所になっている。これまで、ダマスカス郊外にオフィスを構える会社が多かったが、戦闘で破壊され、安全でないからダマスカス中心部で人と会うようになった。周りに人がいるから、誘拐に会うリスクもないから。 カフェでは、いろんな会社がお金を払って自分たちのスペースを予め借りておく。つまり、貸しオフィスビジネスを、カフェがやってるんだ。もしその日、借りた会社の誰も使わなくても、会社は毎月のレンタル費用を払っているから、カフェは損失がない。カフェ