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インサラータの事

サラダをイタリア語では、インサラータ: Insalata と言う。語源は「塩」だそうだ。

サラダとは必ずしも、生野菜盛りの事を指すわけではないのだ。リンク先から引用しよう。

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生野菜を主体にチーズやハムほかさまざまな食材を盛って塩を振った軽い料理
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オリーブオイルは欠かせず、バルサミコ酢やビネガー、レモン、ハーブや香辛料も使われる。

・ミックスサラダ Insalata di mista(インサラータ ディ ミ スタ)
・米のサラダ Insalata di riso(インサラータディ リーゾ)
・ポテトサラダ Insalata russa(インサラータ ルッサ)(ロシア風サラダ)
・海の幸のサラダ Insalata di frutti di mare(インサラータディ フルッティ ディ マーレ)

( http://www.jlogos.com/d045/8541014.html )

また別な機会にコラムで紹介しようと思うが、私の大好きな書籍 ”フェデリコ・カルパッチョ” シリーズ( 故 小暮修 著 )の1冊目「フェデリコ・カルパッチョの極上の憂鬱」の書き出し ”トウキョウのイタリア料理 la cucina italiliana di tokyo ” の中で、こんな事が書いてあり、私的には非常に腹落ちしている。

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スパゲティのメニューを豊富にした功労者は、イタリアには滅多にない「スパゲティ専門店」なるものである、ということだ。そこでは皆スパゲティを一皿と、せいぜい日本でサラダと呼ばれるクズ野菜の寄せ集めを付け合わせに食べる程度で食事を御仕舞にするするのだとか。
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「フェデリコ・カルパッチョの極上の憂鬱 (幻冬舎文庫)」P.10より引用( https://www.gentosha.co.jp/book/b2350.html )

私自身は幸いなことにほとんど好き嫌いがない。子供の頃から野菜がすごく嫌い、という事もなかった。ただ、フェデリコの言うように、ほんの申し訳程度の野菜に市販のドレッシングをかけて食べる、みたいなのは ”別に食べても食べなくてもいいんじゃね?”とは思って来た。シンプル、というよりはプレーン?それならば、最初からプレーンなまんまで美味い野菜を食べればよいのだ。例によって、漫画「美味しんぼ」に登場してもらおうか。究極と至高のサラダ対決である。

究極側が、”油と酢を使わない” ドレッシングで、野菜全体を満遍なく味付けている(まさに、薄いドレスを-ing している)「グリーンサラダ」。リンク先、マンガ食堂でも述べられている通り、「部分的にドレッシングがかかっている普通のサラダより、格段に食べやすい!」のは間違いないかと思う。しっかりと”調理をしつつ”シンプルに仕上げている。
翻って、至高側は鉢植えのトマトをまんま出す。これは、塩すらないプレーンの極致で、果物に近い感覚の旨味のあるトマトを食べりゃいい、と。(ま、これはこれで美味しいに決まっていれど、私的にはサラダではない。語源「塩」から外れるし、調理の持つ、”素材の旨味を最大限に引き出す”という観点が欠けているからだ。)
野菜ちぎって、ドボッとドレッシングかけるのは、なんか美味しんぼで言っている「根源的にそのままだと人間が大して美味しいと感じない”生野菜”というものを無理やり食べている」印象で、すなわちフェデリコの言うところの「日本でサラダと呼ばれるクズ野菜の寄せ集め」という表現に反論の余地はないなあ、と。トマト食ってりゃいいじゃん、みたいな。

・・・というわけで、(もちろん、調理の時間が取れず、横着する事も多々あれど、)自身でインサラータを作る時は、”ひと手間”加える事を意識している。最後にチーズおろすだけでだいぶ変わる、とかそんな程度で充分。

さて、非常にイタリアらしい、私がよくつくるインサラータは下の写真のふたつ。「タコとセロリのサラダ」「カプレーゼ(カプリ風サラダ)」。

タコとセロリのサラダ: Insalata di polpo e sedano
カプリ風サラダ: Insalata caprese

前者「タコとセロリのサラダ」は、大好きだった店、今は無き トラットリア SHUN の定番メニューだった事から。オリーブオイル、レモン汁、塩、胡椒。これほど爽やかな料理はなかなか思いつかない。セロリの香り(嫌いな人にとっては臭い?)を覆い隠すのではなく、むしろ引き出してタコの食感・旨味とコンビネーションさせる。セロリがあまり好きではない娘も(SHUNでの食事していたチビの頃から)食べるレシピである。
後者「カプレーゼ(カプリ風サラダ)」も非常にシンプルで爽やか、かつ美しい料理。イタリアン・カラー、バジルの緑、トマトの赤、モッツアレラの白。オリーブオイルに塩、お好みで胡椒。
(モッツァレラは水牛の乳でつくりたてなら最高だが、家庭ではなかなか・・・(笑) 。ナポリで、皿の上に水牛のモッツァレラの固まりがゴロンと置いてあるだけの前菜を食べたが、あれは美味かった~。ま、モッツァレラの話は、また別立てで・・・)

日本料理では何にでも「醤油」使いがちなのと一緒で、イタリア料理では何にでも「オリーブオイルと塩」使いがち。そして、シンプルに素材を引き立てるのをよしとする
サラダひとつとっても、否、むしろサラダこそが、イタリア料理の調理法に対して親近感を感じるところである。

をーっと、2000字超えたやんか・・・ひとまずこの辺で。
次回は、文章に登場した書籍にでもいく・・・かも。

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