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華道おやこ教室:朱風先生へのインタビュー

今回の「いまここ華道おやこ教室」の先生、朱風先生。
朱風先生は、幼少の頃よりお母さまに華道を習われ、小学校卒業の頃には師範を取られました。大人になってから、研究会に所属されました。

そんな朱風先生に、インタビューをしました。

朱風先生

ーー大人になってからはお花とはどういうつきあいをされていますか?

夫が教員をしているので、卒業式のときとか花束をもらってくるでしょ。その時にその花束をばらして自分の好きなように生けたりとか、あとは誕生日にお花をくれたりするのでそれを生けたりとか。
お花は、たくさんなくても生けることができるから、たとえ一本でも二本でもあれば組み合わせを考えて生けてるという感じ。
「一花一葉(いっかいちよう)」と言われています。ひとつのお花にひとつの葉っぱがあれば、生け花の世界が表現できると思います。

考えをしっかり持っている子どもたち

ーー子どもたちに教えるのはどうでしたか?

思っていた以上にこどもたちが素直で、よく話を聞いてくれていて、生ける中で説明したことを活かしてくれているし、とりあえず自分の考えを持って生けていたりするので、すごいしっかりしているなと思ったり、斬新なアイデアを出してくれる人もいるし。

扇形を切ったような花器の形から、クジャクをイメージして、剣山から広がるようにクジャクをイメージしたとか言って生けてたりしました。

ーー子どもたち勝手にテーマを決めたりするんですね。

特には何にも言わないんですけど、なんかこういう風に生けてみたとか、クジャクもそうなんですけど、このお花をメインにしたかった、と考えが言えるっていうのがすごいなと思いました。

身近なもので格好よく生ける

家でも枝一つあれば角度を考えて生けたり、長さとか角度を考えていけるだけでもいいかと。
コップに、ひとさし。それで、頭を使うというか、どういうふうにしたら格好よく見えるかなとかつい考えてしまいます。

ーー格好よくというのは、慣れてくるものですか?

たくさんのお花の作品を見てきたし、お花も習ってきたので、目で見て学んできた量は多いと思います。人がやってはるのをみて、なるほど、これはこっちのほうがいいのか、とかちょっとずつ覚えていきます。
もし一本でも枝があれば、その枝だったり、鴨川沿いを歩いてて、植わっているススキとかでも、格好よく生けられます。2本とか3本とかあれば、それぞれ高さを変えて生けてみる。

余白が命。

ーー朱風先生は、二胡も書道もされていると思うんですけど、共通点はありますか?

やっぱりなんか二胡にしても書道にしてもお花と似ていて、バランスが大切です。お花もいっぱいあればいいというものではないので、そこから引いていって、お花が入っていないスペースを考えたりします。余白が命です。どんどん足していくというよりは、いらないものをひいていってそぎ落としていくというつもりで生けています。

つい、あれば入れてしまう。あるから入れなあかんのかなと変に思い込んでしまう、そこから反対になくしていっても大丈夫というところに気づくまでに時間がかかりましたけど(笑)

ーー頭では理解していてもなかなかできないです。

できるだけシンプルに生けるようにしています。

参加者全員の作品
撮影:しらかわひろし

子どもたちの自由をどのように受け入れるか

ーー今回の事業を通じて、お子さん、保護者の方に伝えたいことは。

こどもたちには色々経験してもらいたいし、お父さんやお母さんたちには、こうでなくてはならないという既成概念を外して、もっと自由にしていいんだというのが伝わったらいいなと思ってます。

こどもたちはやっぱり自由の部分を持ってると思うので、親がいかに自由にさせてあげられるかが大事かなと思っています。

ーーお花に対する考え方と通じるところがありますね。

「生け花って難しい、生け花って形があるでしょ?」という印象を受ける方も多いですが、今回のおやこ教室では、絶対にこうして生けてくださいという制約を設けず、皆さんに自由に生けていただきました。

ーーアドバイスするときに気を付けることは

自由に生けてもらって、その次に、なんでこういうふうにしたか、何を一番に目立たせたいかを聞いて、そこを生かせるように周りを直していきます。どうしても生け花を生けると、お花をぎゅっと生けてしまいがちなので、それぞれのお花がひきたつようにするにはどうするのかを一緒に考えながら直していきます。
その時にあったアドバイスを、自然な感じに伝えています。

ーー子どもたちがどう主張したいのかを大事にされているんですね。

「これはこうしたいから」と自分の考えを言ってくれたら、できるだけそこを活かせるようにします。どうしたらよりよくなるのかということを気づいてもらえるようにアドバイスします。

言い出したらいっぱいあるけど、いかに簡単に生けられるかというのが最初の導入部分だと思っています。
とりあえず、よく見る。なんでもよく見る。そうすると、向こうから「こうしたらいいよ」とか「こうしてほしい」とか言ってくるような気がします。

ーー子育てもそうですね。

例えば赤ちゃんの時であれば、言葉が通じない分、何がしたいかよく見ることで、足が動きだしそうになったらそろそろこうしたいのかな、とか思って育ててきたところがありますね。よく観察することで子どもが言いたいことが伝わってくるような気がします。

私の親はなんでもこんなことしたらあかん、ああしなさい、もっとこうしなさいというタイプやったからそれは絶対嫌で、そうはしたくなかったので、とりあえず自分で考える、自分でこけて気づく、というふうに育てたかったのです。

ーー必要な見守りはされてて。

本当に必要なタイミングでは手助けをします。その見極めが大事と思います。

ーー親がこどもに没頭しすぎないというのは大事かもしれませんね。

そうそう、親がこどもに執着しすぎると、こどもが親から離れられないと思います。でないとこどもがかわいそうかなと。それぞれ個性があるので違うとは思いますけれど、適度な距離感を保つというのは大切なことだと思います。

あとがき

華道というと、かっちりしたルールがあるもの、よそ行きの非日常的なものというイメージがあります。しかし、朱風先生は、身近なもの、あるものを生けるということを大事にされているようです。
そして、こどもたちの自由も尊重しつつ、よりよくなるようにアドバイスする。その丁寧な姿勢が子どもたちにも伝わったのか、みな真剣にアドバイスを聞いていました。

いまここ華道おやこ教室は、今年度はこれで終了ですが、三味線・書道・茶道おやこ教室が続きます。ご興味おありの方はこちらをご参照ください。


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