これ、自分が飲みたかったやつじゃない

注「編集部のおすすめ」は「本日の注目記事」に名称変更されました。

 スターバックスって、かなり細かいカスタマイズができるのが魅力なところで、常連さんたちはそれぞれ自分が好むスタイルで楽しんでいますよね。飲み物も、空間も。

 そこに店側が「今日のベストカスタマイズは、あのテーブルにいるマイケルです。おめでとう!」ってやりはじめたら「え? なにそれ?」って感じになると思うのです。だって、誰しも、自分のカスタマイズがベストだと思ってますから。

 マイケルは嬉しいと思いますよ。クラッカーとか鳴らされちゃったりして。他の方々は、マイケルのために拍手をしながらも「いや、でも自分のがベストだけどなぁ」って思って釈然としない気分を味わったりします。

 そんなことが繰り返されていくうちに、ベストカスタマイズに選ばれないことが悔しく思えてきたり、選ばれたいなって欲求を持つようになったりして、過去のベストカスタマイズの傾向を調べたり、マイケルのスタイルを真似したりするようになったとしても、別に不思議ではないと思うのです。

 そうやって、自分のベストからかけ離れたコーヒーを注文しているうちに、ふと気づくのです。「なんであんまり美味しくないもの飲んでるんだろう」って。「これ、自分が飲みたかったやつじゃない」って。

 このとき、ふたつの選択肢があって。

 今日も誰かが選ばれるのを心頭を滅却して讃えながら自分にとってのベストカスタマイズを飲む方法と、もう行かない方法です。

 noteは、参加して間もない人に、この選択肢を突きつけてしまっていると思います。

 おそらく「編集部のおすすめ」は、noteというサービスの黎明期から草創期にかけて、とても重要な役割を果たしたのではないかなと推察します。

 サービスが成熟していく過程で、役割を終えつつあるのではないでしょうか。

 毎日10,000もの記事が投稿されるほど大きくなったサービスで、全記事に目を通して、優れたものを見つけるなんて、もはや不可能でしょう。スタッフを山ほど増員しても、ピックアップの質が落ちたとか言われるでしょうし。

 noteはすでに、優れたクリエイターが優れた記事を紹介し合っているので、それで十分なのではないかな、という気がします。

 揺さぶられる心に整理をつけられない人のことを、整理をつけられた人が、努力不足だと指摘するのはちょっと賛成できないのですが、これも個人的な感覚のことなので仕方ないかもしれないです。

 それでも、noteが心頭を滅却しないと居られないような場所だったら、それはもう男塾だと思うので、油風呂に落とされるまえに逃げ出します。

 編集部の皆さん。いつもハードワークお疲れ様でございます。

 わたしは心穏やかにコーヒーを飲みたいだけなので「今日のベストカスタマイズ」にピックアップされる可能性をゼロにしたいのです。スイッチをオフにしたら対象外にしてもらえる機能って、追加できないものでしょうか?


電子書籍の表紙制作費などに充てさせていただきます(・∀・)