逆噴射小説大賞2020 セルフライナーノーツ
おれだ。よく来たな。
ここは逆噴射小説大賞2020に応募した作品群のライナーノーツだ。
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正直なところ、職場復帰をしたばかりなおかつ繁忙期に突入という状況だったので、三発打てれば御の字と考えていたところ、はじまってみれば全弾撃ちつくしていたので、やはり逆噴射のエナジーはすごかったということなのでしょう。
初弾・簒奪者の守りびと
もっとも力を入れたのがこの一発目。レギュレーションが発表されたその日から執筆に取り組みました。実は発想のきっかけは、ちょうどそのころ読み返していた「銀河英雄伝説」から。エルウィン・ヨーゼフ二世とラインハルトの捻れた関係性が面白かったので、簒奪したほうが簒奪されたほうを命がけで守るというカセを思いつきました。
当初は、廊下を逃げている途中で王太子がサボタージュして座り込むというラストだったのですが、奥さんに「なんで？」と言われたので、もう少しセンセーショナルな引きをつくることにしました。おかげで最高の800文字になりました。ぐっじょぶ奥さん。
タイトルの読み方は「さんだつしゃのもりびと」です。
これはたぶん、結果発表を待たずして連載します。
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第二弾・七つの翼を持つもの
着想はマレーシア航空370便墜落事故から。2014年に行方不明になって、いまだに結末がはっきりしていないこの航空機が飛行していたら……というところから思いつきました。というより、自分の心の中にまだ残っているんですよね、この出来事が。墜落したという明確な証拠がないんです。ただ、燃料が尽きたから、ということで事故にされているわけで。
25年前くらい前のこと。コンビニでのバイト中、朝刊をスタンドに並べていたら、とある記事から目が離せなくなったんです。それにはこう書いてありました。「バミューダ海域で行方不明になった女性パイロット、72年ぶりに生還」と。いや、そうなんですよ。その頃の東スポは半年に一回くらいウソ記事をやらかすんですよ。パズーみたいなフライトゴーグルかけて微笑んでるお婆ちゃんの写真がどーんと。それが強く印象に残っていたんです。
つまり、そのふたつが悪魔合体して生まれた作品です。
セリフ回しには特に力を入れて、洋画のような仕上がりを目指しました。
ちなみに航空機の翼は5枚なので、あと2つがなんなのか、というお話です。
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第三弾・バトル・オブ・スノウフィールド
雪合戦。ええ。雪合戦ですとも。でも子どもにとっては、そこは勝利と名誉をかけた戦いの世界です。大人の日常生活よりもはるかに真剣で、濃密で。戦略も戦術も区別なく駆使します。腕力には頭脳で。頭脳には瞬発力で。瞬発力には駆け引きで。駆け引きには腕力で。それぞれの得意分野を自然に活かして戦います。ね、子どものころって、そうじゃなかったですか？
この作品。逆噴射小説大賞という特異な環境下での、叙述トリック効果を狙ったというのはあります。だから、ある意味では邪道だと思います。「まずリコがやられた」というのは「冒頭でひとり殺せ」の逆張りですから。
マサキの登場シーンは気に入っています。たぶん体重多めですよね、彼。
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第四弾・神と権力者のいない街
胡乱的なパワーワードがつくれないことにコンプレックスを感じていた自分としては、なかなか「重装宇宙服を纏った武装弁護士」というのは気に入っています。あと「月面童貞」も。
着想は、CMで流れていたトヨタイムズのトヨタがつくる月面探査車から。ちょうどSFを書きたいと思っていたところで、この有人与圧ローバのことを知ったんです。なんでも、宇宙服なしで日常生活が営めるとか。そうなると人間がやることはあんまり変わらないわけで。
どの国家にも所属しない月面には、軍隊も警察も存在しないのです。ならば、もっとも力を持つのは何者かと考えたら、弁護士だったんです。頭脳と弁舌で、ひとを正義と悪にふりわける。しかも自分たちだけは武装する。目をつけられたら終わりです。
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最終弾・救世主！ 天神キューティ☆エアリーズ！
なんでこんなの書けたんだろう。なんで。最後の一発だからもう気楽に撃とうと思ったらこれができてたんです。着想のきっかけ……なんかあるかな。思いつかない。
そう。強いて挙げれば、東京が舞台のストーリーが多いので、それに反発したくなったというのはあります。福岡の地名を説明なしで放り込んでます。ああ、そういえばラジオで一日警察署長の話をしていたから、それが耳に残っていて融合したのかもしれません。
なんとなくジェントルマンの系譜だなぁと、個人的に思っております。
エアリーズというのは牡羊座を意味するので、メンバー全員牡羊座という裏設定があります。5人グループです。
ちなみに「百道浜」は「ももちはま」と読みます。「大濠（おおほり）交番」は実在しません。なんなら天神警察署も実在しません。
ところが、なんと一日群司令は実在しました！
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まとめ
わたしにとって二回目の逆噴射小説大賞となりました。心がけたのは。
1. 物語をドライブさせること
2. ショートショートとして完結させないこと
3. 説明や設定開示は、展開のなかでおこなうこと
このあたりです。
あとはタイトルには常に頭を抱えました。センスの良いみなさんの作品をみると、まだまだ修行が足りないなと感じる次第です。
今回は、初参加の方々が5割を超えており、それだけにクオリティが爆上がりしていると感じます。一本だけでも二次選考を突破できたら嬉しいなと思っております。欲を言えば二本……。
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こんなサークルをしております。うぇるかむ。
逆噴射小説大賞2019からはじまった中編小説です。
電子書籍の表紙制作費などに充てさせていただきます(・∀・)