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読んだ本の感想をひたすら書く その4

 そんなわけで第4弾。主には読書メーターに記録してある読んだ本から、気に入ったものを選んで感想を書いている。

怖ガラセ屋サン / 澤村 伊智 (著)

ホラーや怪談話入り混じった短編集。どの話もよくある小話に見えながらも深みにはまっていったら戻れなくなるような気味の悪い恐怖が潜んでいて、そこに澤村伊智らしい作風が感じられる。短編ながら戦略的に配置された複線がしっかり回収されるかのような第1話から引き込まれて一気に読んでしまった。

月の淀む処 / 篠 たまき (著)

現代において古びたマンションというだけですでにホラー要素があるんじゃないかと思えるような風景。そこに土着的な儀式と不穏な住人と来れば舞台設定は完璧。あとは主人公のフリーライター 紗季の体験するなんとも嫌な感触をともに感じてみたい。わかりやすいプロットで、物語の展開や怪しい人物は読めるかもしれないが、それでも怖いのが人間である。

invert 城塚翡翠倒叙集 / 相沢沙呼 (著) 

言ってみれば城塚翡翠の人物像は前作『medium』割れているわけだが、その前提があっての今作。全4編からなる中編集は犯人の視点から描かれ、当然読者には犯人がわかった上での倒叙ミステリとなる。前作のような全編を貫くどんでん返しは望めないものの、犯行のトリックを考えながら読み進める楽しさには満ちている。

同志少女よ、敵を撃て / 逢坂 冬馬 (著) 

苛烈を極める独ソ戦の最中、望むと望まざるとに関わらず戦争に巻き込まれていく少女の物語。しかも、狩人であった主人公 セラフィマはスナイパーとして戦争に参加することになるというのが目を引く設定だ。狙撃手の過酷な運命や、徐々に築かれる仲間との絆、そして激しい戦闘アクション。そのすべてが尋常ならざる緊張感で語られていく。第11回アガサ・クリスティー賞大賞も頷ける完成度だ。

フェイクフィクション (集英社文芸単行本) / 誉田哲也 (著) 

路上で発見された首なし死体。暗躍する新興宗教に繋がっていく事件。警察の捜査だけでなく、同じ事件を追う謎の男とプロボクサーを廃業した若者の視点から事件を追っていくストーリーはスピード感と緊迫感に溢れ、実にスリリングな話に仕上がっている。誉田哲也らしい刺激に満ちた文章に血湧き肉躍るサスペンス&ミステリだ。


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