見出し画像

事実の前に謙虚であれ

お客さまを立てましょう。

そんな風に言われることも多いのではないでしょうか。

初めて接客業についたとき、「お客さまは社長よりも偉い」と教わりました。何も分からない新入社員が大切なお客さまに粗相をしないようにとこのように教えたのだと思いますが、社長とお客さまでは役割が違います。
そこを分かっていないと、お客さまに振り回されることになってしまいます。

電話応対では、お客さまは嘘をつかないと考える

前提として、電話応対ではお客さまが嘘を言っているとは考えません。

「買おうと思ったら、売り切れだった!」
「買ったら壊れていた!」
「店員の対応が悪かった!」

そんなときに、こんな対応をされたらどうでしょうか。

「お客さま、そちらの商品は今朝1000個納入したばかりですよ?」

「当方では検品済みの商品しか出荷しておりません!」

「その店員については、今まで一度もそんなお声を頂戴したことがございません。お客さまの気にしすぎではありませんか?」

これでは、会社としての在り方が問われるような対応と言われても仕方がありません。まずはお客さまの言っていることに真摯に耳を傾けます。

「せっかく買いにいらしてくださったのに、売り切れだったのですね」
「わざわざ当社商品をお買い上げくださったのに、壊れていたのですね」
「わたくしどもの大切なお客さまが気に障るようなことがあったのですね」

せっかくお客さまが話してくださっていることを大事にしなくて、どうしてお客さまを大事にしていることが伝えられるでしょうか。

一方で、お客さまは上司ではありません。お客さまの言っていることは、決して指示・命令ではありません。

お客さまの話から、事実はどうであったのかを確認する

お客さまは、在庫のことも商品のこともどのように社員教育をしているかも知りません。お客さまが見聞きし体験したことが、いったいどのようなことなのかを、確認することから始めなければならないのです。

たとえば食べ物に「ビニールの破片が入っていた!」と言われた場合、皆さんはどんなものを想像されますか?
ビニール袋のような透明なシート?
青くて硬い固まり?
グミのような弾力のある物体?

もう少し詳しく説明をお願いすると、魚肉ソーセージのフィルムを剥くときの赤いツマミ部分のようだと説明されることがあります。それを「赤くて薄っぺらいものが入っていたということですね」と認識をすり合わせていきます。
そうすると、その食べ物(麻婆豆腐のレトルトパック)を回収しなくても、トウガラシだということが分かり、安心してもらえるかもしれません。

もちろん、必要に応じて回収すべきものは回収し、現場に問い合わせるべきものは問い合わせて事実を確認します。

会社として、お客さまにどう対応すべきかを考える

お客さまが「在庫がない」「壊れている」「対応が悪い」ということがどういう事実なのかを確認したら、それが会社にとってどういうことなのかを考えなければなりません。

お客さまの解釈と同じなのであれば、謝罪や交換などの対応が必要でしょう。

お客さまの解釈と異なるのであれば、それを説明しなければなりません。
そして、それもお手間をおかけしていることに変わりはありませんから、改善すべきことを見つけられるのではないでしょうか。

事実を無視してお客さまの言いなりになることも、お客さまを言いくるめようとすることも、両方とも適切な電話応対とは言えません。

事実の前に謙虚な仕事の仕方が伝わったでしょうか。

それでは、また。



世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。